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2018年09月01日17:22

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土曜ギリギリ日記316:検察側の罪人

東京・蒲田で老夫婦が刺殺された。この老夫婦はモグリのカネ貸しをやっており、動機は金銭トラブルと思われた。地検刑事部の最上検事は、この事件の担当に新任検事・沖野を指名、帳場での捜査会議に参加させる。刑事たちの捜査から被害者夫婦からカネを借りていた人間たちがリストアップされていく中、沖野から報告を受けた最上は、そのリストの中に忌むべき名前を発見する。それは松倉重生…最上が学生時代に懇意にしていた女子高生を殺害した容疑をかけられ、証拠不十分で自由の身となっていた男だった。最上は正義の裁きを下すべく、老夫婦殺害の本ボシとして松倉に捜査を絞るように指示を下すが、その独断ぶりに沖野は疑問を抱き…


「検察側の罪人」。観てきました。かなりの問題作です。



以下、検察側のネタバレ。



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初期研修最終日の教壇に立つ最上(木村拓哉)の淀みない語りと聴講する沖野(二宮和也)のやりとり。そんな冒頭からカットの切り替え早い早い。原田映画らしいスタートでワクワクです。沖野vs諏訪部の尋問シーンのスピード感もなかなかでしたねー。最上が挙げる誕生日の人名も久住由季のフェイバリットソングも、もちろん洋物。原田監督のキザ演出・ハリウッドかぶれな特徴が、バッチリ出ていました。キムタクのカッコつけぶりが原田監督のセンスにしっくり来るんですよね。諏訪部や運び屋女のようなアンダーグラウンドパーソンの描きかたもまぁー劇画っぽい。そう、「原田眞人の映画」を期待して行ったら大満足の一本なのは間違いないですよ。


しかし、エンタメ・クライムドラマとして果たして面白いのかどうか?


実は、正直ハナシはそんなにキャッチーじゃないんですよね。正義のために無実の人間を罪人に仕立てようと暴走する検事、というキャラは別に斬新でもないし、その検事に立ち向かう若手検事たちという配置もよくある感じ。「正義とは何か?」というテーマだって、何を今更…って感が否めません。だからこそ、原田眞人監督はかなり乱暴にこの「ありきたり話」に色を塗りたくっていきました。最上が松倉に対して執念をもって復讐していくサマがこのストーリーの核なんですけど、その動機が圧倒的に弱い。そこで監督は、最上の歪んだ正義感に説得力を持たせるため、丹野議員のエピソードとインパール作戦を盛り込み、政府の右傾化ナチズム化に義憤を強くする人間というキャラに仕立てました。その意図は解るけど、結果的にそれが巧くいったかといったら…疑問です。丹野周りの描写があまりに本筋と関係なくチョイチョイ出てきて、本筋が停滞するだけだった気がしました。反対に、沖野は「政府の言いなりとなる愚民」のメタファーとして巧く機能していたと思いますが…

原田眞人監督のメッセージは、「国民に耳を貸さず暴走する今の日本は問題だ! そんな日本を憂いて独り善がりの正義を振りかざすのも問題だ! そして問題だらけの世の中に声を上げずにいるのも、やっぱり問題だ!」てなことなんだろうけど、「日本のいちばん長い日」で味をしめたのか、こんなメッセージを込めまくりすぎて、エンタメとしては全然楽しめないという珍妙な映画になってしまったと言えるでしょう。キムタクのパプリックイメージは、そう簡単に覆せません。あまりにカッコ良くて、最上がダークヒーローになってしまっています。最上はヒーローとして肯定するのではなく「ヤベェ奴」として描かないと、メッセージの整合性が取れないと思います。故に、キムタク起用は大失敗だったと言っておきます。

対して、ニノは良かった。見たことない狂犬ぶりに拍手です。
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