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2018年08月31日16:47

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障害者雇用の偽装(水増し)行為に対する障全協声明 〜障害者雇用施策等の根本的な見直しを求めます〜

         障害者雇用の偽装(水増し)行為に対する障全協声明
         〜障害者雇用施策等の根本的な見直しを求めます〜

                                               2018年8月30日
                         障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)

8月28日に公表された中央省庁の障害者雇用再点検結果では、6,867.5人の報告数のうち半数以上の3,460.0人が偽装(水増し)報告されていた実態が明るみになりました。また、同様の偽装(水増し)は自治体でも行われ、報道調査では、37府県で不正があったと伝えています。

2016年に改正された障害者雇用促進法では、法の目的で「障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保」が謳われ、改正の理由で「障害者権利条約の批准に備え、障害者である労働者が障害により差別されることなく、かつ、その有する能力を有効に発揮することができる雇用環境を整備する」ことを明確にしています。

こうした法律があるにもかかわらず起こされた今回の偽装(水増し)は、国民への裏切りです。障害者の雇用施策を主導する立場であり、法を厳守すべき行政機関が違法行為を行ったという、国の根幹を揺るがす深刻な問題です。なにより働く機会を奪われ続けた障害者の怒りや憤りは計り知れません。私たちは、国・自治体の違法行為に強く抗議するとともに、徹底した検証と早急な改善策を講じるため、以下のことを求めます。

1、各省庁や自治体の偽装(水増し)手法のすべてを明らかにするとともに、原因究明を徹底的に行うこと。

2、今回の偽装(水増し)の検証や再発防止、その後の対策等の検討にあたっては、幅広い障害者団体の意見を聞き、公の場(国会含む)で議論すること。

3、不足している約3,500人の障害者を国の責任で早急に雇用するよう対策を講じること。

4、各省庁や自治体で現在雇用されている障害者がどのように採用され、実際の職場では、どのような合理的配慮が行われているのか、また、労働の内容等を明らかにすること。

5、官における障害者雇用にも、少なくとも民間企業と同等の監視やペナルティを課すこと。

今回発覚した偽装(水増し)は、障害者雇用率が義務化された42年前から続けられてきたと言われています。こうした問題が起こる根底には「障害者を雇っても役に立たない=生産性がない」という優生思想の考えがあると言わざるを得ません。経済性や効率性のみが追及され、生産性の高い労働者が「価値がある」という社会は、必ず障害者を切り捨てます。このような考えを乗り越えられない背景には、現在の自己責任や家族責任、住民同士の助け合いを強要し、成果主義や市場主義を主導する「骨太方針」に基づく改革があります。こうした施策の転換を国の責任で行うべきです。

最後に、障害者がおかれている労働環境は、まだまだ不十分なものです。非正規雇用が多く、雇止めや低賃金等、虐待や差別を受けているケースも少なくありません。また、雇用されない障害者の収入は低く、年金や福祉的就労等の収入を合わせても「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることはできません。私たちは長年、障害者の働く権利の保障を求めて運動してきましたが、未だに、多くの課題が取り残されています。それゆえに、雇用施策と福祉施策の垣根を越えた連携等、障害者雇用施策の抜本的な見直しが必要です。

障害者権利条約には「障害者にとって利用しやすい労働市場及び労働環境において、障害者が自由に選択し、又は承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利」があり、締約国はこれを保障する責務があるとしています。今回の不祥事を根本的に解決するためには、障害者の雇用施策や所得保障制度を権利条約の水準にする必要があり、国全体として早急に取り組むことを強く求めます。 
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