「万引き家族」
言わずと知れた今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品です
是枝裕和監督は海外での評価が高い監督ですが、とうとうやりましたね
おめでとうございます
リリー・フランキーさん、安藤サクラさん、松岡茉優さん、樹木希林さん、全員の演技・絡みが素晴らしくてグイグイ引き込まれました
子役の2人(城桧吏くんと佐々木みゆさん)も良かったです
最初の万引きのシーンで『どんな家族なんだ?』となり、普通に見えた家族が実は他人同士が同居しているだけと分かってくると、『どうやって集まったのか?』『なぜ血のつながらない、他人同士の集まりが魅力的な家族に見えるのか?』となり、最後は『家族を家族たらしめているのは何だろう?』というところまで考えさせられてしまう重厚なテーマを持った作品です
家族の絆って強いかと思えばもろくて、もろいかと思えば強くて・・切ないです
この映画で安藤サクラさんが大好きになりました
「アーリーマン」
『ウォレスとグルミット』シリーズのアードマン・アニメーションの新作です
原始時代とローマ時代を合わせたような世界を舞台に平和に暮らしていた部族の少年と横暴な領主がサッカーで対決するという楽しいストーリーです
いつもながらのユーモアと小ネタ満載でサッカーの起源から特訓までストップアニメーションで描いています
作り込みを見るとすごい出来ですが、今年は『犬が島』や『KUBO-クボ-』など日本をテーマにした芸術性の高い作品が多かったので見過ごされた気がします・・残念!
「ジュラシック・ワールド/ 炎の王国」
前作ではハイブリッド恐竜とT−REXの戦いが凄かったジュラシック・ワールドですが、今回はその島で火山の噴火が始まり、恐竜たちを救出しようとしたオーウェン(クリス・プラット)やクレア(ブライス・ダラス・ハワード)たちが恐竜をブラックマーケットで売ろうとする組織から恐竜たちを助け出す?という実に詰め込みすぎなストーリーです
火山噴火の中での爆走シーンやボス恐竜との対決シーンは大迫力です
CGではなく精密に作られた恐竜のキャラ立ちがハンパないです
実は3部作みたいでエンドロールの後に次回作の予告シーンがちょこっと流れます・・・なんだか別の映画になってしまうような気がしないでもないですが、とても楽しみなりました(笑)
「ピース・ニッポン」
単に『日本の観光PR映画』だと思っている方が多いでしょうが、内容は長期間撮り続けた四季折々の景色だけで日本人でも初めて見るような映像のオンパレードです
個人的には、花火と紅葉、そしてやはり富士山の映像に感動しました
そう、今までテレビや旅行で散々見てきた日本人の自分でさえ感動できました
日本という国はいろんな意味で奇跡的な国なんだと再確認できる映画です
外国人向きというよりも日本の小中学校の授業の一環として全生徒に鑑賞してもらいたいと本気で思いました
いや、マジで
「ビューティフル・デイ」
昨年のカンヌで男優賞と脚本賞を受賞した作品なのに、なぜか午前とレイトショーだけという上映時間でした
どうしても観たくてレイトショーへ・・・鮮烈な映像にすっかり魅了されて余韻に浸りながらタクシーで帰宅・・今年前半の傑作ではないかと
非公式に行方不明者を捜す男:ジョー(ホアキン・フェニックス)に政治家から家出した娘を探して欲しいと依頼がくるところから物語は始まります
娘のニーナを救い出した後、父親が自殺したことをニュースで知りますが、直後に再びニーナがさらわれてしまいます・・間違いなく過去最高のホアキン・フェニックスを観ることができます
あまりの変貌ぶりに最初誰だか分からないくらいでした
時おり挿入される過去のフラッシュバックが言葉少ないジョーの人間性を膨らませていき、トラウマだらけの彼の行動に感情が揺さぶられます
一方ニーナは自己防衛からか、全ての感情を失ったような状態でしたが、ラストで人間らしい輝きを取り戻します
最後の台詞が全てを失った2人の再生を予告するのか、ただの皮肉なのか・・
人物像・映像美・空気感・BGMが渾然一体となり、まるで夢の中を彷徨うような感覚で鑑賞できました これは90分に詰め込まれたリン・ラムジー監督の『タクシードライバー』です
むしろデ・ニーロの『タクシードライバー』が子供っぽく思えましたよ
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