【民事法】アメリカ占領下の沖縄の裁判所と特別送達
初出LIMM2009年1月
特別送達とは
弁護士をやっていると特別送達便をみることがけっこうあるが、これはどのよ
うな
ものであろうか。現在では最低料金は1040円となっている。
昭和23年に「訴訟書類」から名称が変更されたもので、民事訴訟関連ではその
郵便
物を配達したことについて郵便配達員が郵便送達報告書を作成した裁判所に報告
する
ものであり、その報告書にいつ(何時のオーダーまで記載される)、どこでだれ
に送
達されたかが記載されている。通常は報告書は訴訟の一件記録に綴じられている
。
特別送達以外の書記官送達や執行官送達の場合は書記官・執行官が送達報告書
を作
成する。
沖縄の司法機関・特別送達料金の変遷
このような裁判所主導型の送達は英米法にはないが、アメリカ占領下の沖縄で
は送
達はアメリカ型の当事者主導型だったのだろうか、それとも日本式の特別送達に
よっ
たのであろうか。
沖縄の司法機関は米国にならい、日本の司法機関とは異なった組織になってい
た。
那覇に所在のものをみていくと以下のとおりとなる。
1967年12月31日まで琉球上訴裁判所 中央巡回裁判所 那覇治安裁判所があり
、
1968年1月1日に中央巡回裁判所・那覇治安裁判所は廃止され、那覇地方裁判所
・那
覇家庭裁判所・那覇簡易裁判所となる。
名称は完全にアメリカ型であったが、送達は日本方式でおこなわれた。これは
郵便
が昭和23年ころまで日本郵政に追随していた影響かと思料される。
ただし、料金体系は日本と全く異なったものを独自に制定している。
特別送達 書状 書留 合計
1949年8月1日〜 6円 1円 5円 12円
1951年2月1日 15円 3円 10円 28円
1953年12月2日 15円 4円 10円 29円
1958年9月16日 13¢ 3¢ 8¢ 24¢
1959年7月7日 10¢ 3¢ 5¢ 18¢
1971年9月1日 30¢ 4¢ 15¢ 49¢
1972年2月1日〜復帰 30¢ 5¢ 15¢ 50¢
(『沖縄1874−1972 立川憲吉・石澤司コレクション(財団法人日本郵趣協会
)』
より)
1949年から日本本土と異なる料金となっている。
日本の特別送達料金の変遷
この時期の戦後の日本の特別送達料金の変遷は以下のとおり。
特別送達 書状 書留 合計
昭和20年4月1日〜 40銭 10銭 30銭 80銭
昭和21年7月25日 2円 30銭 1円 3円30銭
昭和22年4月1日 10円 5円 1円20銭 16円20銭
昭和23年1月1日に訴訟書類から特別送達と改称
昭和23年7月10日 30円 5円 20円 55円
昭和24年5月1日 45円 8円 30円 83円
昭和26年11月1日 50円 10円 35円 95円
昭和36年6月1日 80円 10円 40円 130円
昭和41年7月1日 100円 15円 60円 175円
昭和46年7月1日 100円 15円 100円 215円
昭和47年2月1日 100円 20円 100円 220円
昭和51年1月25日 400円 50円 300円 750円
昭和56年1月20日 450円 60円 350円 860円
平成1年4月1日 460円 62円 360円 882円
平成6年1月24日〜 540円 80円 420円 1040円
(『日本切手専門カタログ 戦後編2008(財団法人日本郵趣協会)』より)
本土では急激なインフレがあったが、沖縄ではなかったため、昭和23年から昭
和26
年にかけては沖縄の料金が極めて安くみえるようになっている。その後は1ドル
360円
としてみると復帰まであっているようであるが、実際は1ドル500円程度の実力
だった
ので、復帰直前に値上げがなされている。復帰直後は沖縄県民は円建てになって
だい
ぶ損をしたと思っていたようである。
郵便料金は混乱期には1年ごと(あるいはもっと短い期間)で変遷している
。昭和
26年から12年間安定していたり、沖縄では昭和26年から12年間安定していたりす
る。
高度成長期だとだいたい5年ごとに値上げしている。14年間特別送達の料金が一
定だっ
た現状は、経済の停滞を反映しているようでもある。
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