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2018年08月08日15:54

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初登山、富士山編前半

「いったい俺はどこに行くんだろ？」
時間は午後７時、御殿場ルート6合目あたり。

天候は風雨が激しく、雷も真上で激しい。
暗闇に独り富士山を登っている

2018年正月
例年のように、年越しの深夜に近所の神社に初詣に行く。
そして一年の目標を誓ってくるのだが……
①地元のマラソン大会に10km完走
②富士山登山

まず、マラソン大会は座骨神経痛にて棄権

そして富士山登山。
今まで登山をしたことなかった自分は、先ず登るのは日本一の山と決めた。

そこからは、登山用品を揃えるのに色々と情報を集め、また登山に関しての知識も集める
勿論、富士山の情報も。

いろんな人にアドバイスを聞いた時に、
「中年のおっさんで初心者は吉田ルート」
と言われ、俄然やる気を出し御殿場ルートに決定。
勿論、単独……
無謀だの自分を過信しすぎ、そのまま帰ってくるな

等々言われたが、御殿場ルートに単独登山決定。
そこからは、登山の日程を決めるべく、過去の富士山の天候を調べ、一番晴れる可能性の高い、8月7日8日と決めた。
勿論、職場にも休みをもらうため頭を下げ、前後4日間有給をとった。

登山一ヶ月前から、気象予報を気にかけていたが、
何故か今年は全国的に異常気象
大雨災害や異常な進路の台風、猛暑

実際、登山3日前にはまた台風が発生し、関東方面へと進路が予想され、
登山日8日は登山指数最悪に風速27mを予想された。
急遽、登山日を１日繰り上げ6日7日に変更。
ここで大きな誤算。
6日に登山にしても、御殿場口5合目登山口には昼過ぎになる。

富山を始発の電車、新幹線を使って急いだか、登山口に着いたのが13:40分。
7合5勺の山小屋の消灯時間が21時。
時間的な不安を抱え、いざ登山開始。

はっきりいって舐めていた。
登山道は火山砂利と石で、傾斜もあり凄く歩きにくい。しかも、登山用の歩き方やリズムがわからない……

登山開始1時間で疲労困憊。
50m歩いては休憩の連続。
足の指先から太股まで痛い、重い、辛い。
呼吸も苦しい。
代わり映えの無い景色
上も下も霧や曇で見えない

「いったい俺はどこに行くんだろ？」
時間は午後6時すぎ、御殿場ルート6合目あたり。
天候は風雨が激しく、雷も真上で激しい。
暗闇に独り富士山を登っている
回りには下山者の姿もなく、誰も居ない。孤独の中をひたすら足を持ち上げ、気持ちを保ちながら登る。
激しい雨と霧、風。
そして、約100m以内の近場に雷が落ちた。
衝撃音などなく、静かに落ちた。
一瞬、何があったのかも解らず、唖然としていたが、その後の「バリバリ

」と激しい音で
落雷の現実を知る

足場は砂利と石
激しく降る雨
視界が100mの霧(曇)
暗闇にヘッドライトの小さな光だけ
誰も居ない
体力も精神力も限界が近い
10m登っては休み、気力で足を上げる。
途中、呼吸のリズムが狂うと一気に肺が熱くなる。
休憩も腰をおろすと、二度と立ち上がれなくなるような気がして、立ったまま休憩。その間も容赦なく風雨が襲う。

途中、予約先の山小屋から電話があり、かなり心配してくれた

ようやく、遥か上に山小屋の明かりを見つけ、安堵と明かりまでの距離に絶望感を覚えたが、とにかく登るしかない。
10m進んでは休憩しまた10m進む
水を飲み、ﾋﾞｰﾌﾞｼﾞｬｰｷｰを食い、足を持ち上げる
休憩中も、風と雨が襲ってくる上、足に踏ん張りがなく身体を支えるだけで疲れる。酸素不足でいきなり肺が熱くなる。

本当に富士山を舐めていた
まさかこんな天候になるとは……
いや、そもそも
俺が天候に嫌われたか？
台風か？
その前の大雨から狂っていたのか？
(被害者には不適切な表現かもしれない)

何もかもが予想外だった
自分の体力も。

まてまて
富士山や天候ではなく、俺がおかしいのか？
生まれてから今まで、たくさんの経験をした。
楽しいことも悲しいこともたくさんあったなぁ
やはり俺の人生は、こんな感じで辛い道のりなのか？

って、心が負けそうになってくる
辛い、苦しい、足が痛い
まだ登るのか？
足の感覚が無いし、両手の親指が痺れてきた
ひたすら10m進んでは休憩しまた進む

途中、最初の山小屋を通過。残念ながら予約した山小屋はまだまだ先。それでも先が見えてきたことが、人の気配や存在を確認しただけで安心する

足を引きずり持ち上げ、呼吸が乱れると肺が熱くなり深呼吸を繰り返す
一歩一歩、歩く

気づいたら10m先に山小屋が見えた。
山小屋の人が心配して外で待っててくれた。
山小屋の手前の階段を必死に登り、ようやく山小屋に着いた。
出迎えてくれた山小屋の人が神様に見える。
時間は午後８時を過ぎていたが、快く迎え入れてもらい、熱いお茶とカレーライスを頂いた。
特にお茶が美味かった。

寝床を用意してもらい、横になったあとは
何時寝たのかわからないくらい深い眠りに落ちた。

途中、夜中にトイレで目が覚め、外に出ると
あの嵐のような天候が嘘のように、満天の星空が輝いていた。
ポラリス(北極星)を眺めながらタバコを一服し、今更ながら、よく頑張ったと自分を誉め称えた。

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