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2018年08月07日23:45

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世界バレエフェスティバル2018 Aプログラム

東京文化会館
2018/8/1水 18:00-
2018/8/3金 18:00-
2018/8/4土 14:00-
2018/8/5日 14:00-

ABプロが5回ずつとマラソン公演の今回のバレエフェス。大好きなシルヴィアとサーシャが来るのももう最後かもと思って気合いを入れて観に行ってきました。4時間半なんてワーグナーに比べたら怖くない!と思ってたけど、さすがに連日だと観るだけで体力気力を消耗します^^;

初日の感想はまず、すっごいダンサーがよくもこれだけ集まったものよ!でした。Aプロは驚きある作品が少なかったものの、やはりどれもレベルは高く、これだけのものを日本に居ながらにして観られることは幸運だよなぁとしみじみ思った次第です。あと東フィルの演奏が本当に安定していて、時には音楽に聞き惚れてしまうことも!

以下、演目ごとに感想を。

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
チェロ:伊藤悠貴(「瀕死の白鳥」)
ピアノ:原久美子(「瀕死の白鳥」、「タランテラ」)

― 第1部 ―

■「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ

初日はちょっとばらんばらんな感じがした二人ですが、日に日にまとまっていって最後は素晴らしいパフォーマンスでした。カマルゴの肉体美はボッレ様に次ぐレベルなのでは。この人にはクランコ作品を踊っていてほしかった・・・(T_T) バデネス、最後の方の、背中の矢をさっと抜いて弓につがえて放つ、このシーンがすっごく男前でかっこいい!

■「ソナタ」
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ

直前にマラインが怪我降板することになり、急遽アイシュヴァルトのパートナーにサーシャが。マラインもとても好きなダンサーで楽しみにしていたので降板は本当に残念。ですが、サーシャがAもBも2回踊ってくれるなんて大ファンとしてはやはり嬉しいです。
この作品、昨年北京のガラで初めて二人で踊ったらしいのですが、その後回数を重ねて深くなっていました。シルヴィアと踊るサーシャは勿論大好きなのですが、シルヴィアよりお姉さん感のあるアイシュヴァルトとサーシャの組み合わせも好きなんですよね・・・背は違うけど、ジョエルと踊っていたときのサーシャを思い出します。
明確なストーリーはないけど、お互いを大切にしながら人生を共に歩んでいく二人、を表現しているのかな。ラフマニノフの優しい音楽に一体化した彼らの動きが本当に美しく、そして二人の持つ哲学的な雰囲気が貴くて貴くて。地味な作品だけど、彼らが醸し出す大人っぽくしっとりした空気に会場が包み込まれたようでした・・・。

■「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン

コチェトコワ、以前にもガラでジゼルを踊っていたと思うのですが、そのときから彼女のジゼルはとても好きなんですよねー。お洒落でポップなinstaでの顔とは違い、青白い幽玄の世界にいるような体温と重さを感じないちょっと冷たいジゼル。ジャンプのときも音がしなくて。そしてシムキンのアルブレヒト、ノーブルでよかった。彼は本当に、一つ一つのポジションが正確で美しいなぁと思います。沈んだ顔で踊ってたけど、結構細かいワザいっぱい入れていて、さすがダニール!とほくそ笑みました。Bプロはドンキですね!弾けた姿が観られるのが楽しみです!

■「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
オレシア・ノヴィコワ
デヴィッド・ホールバーグ

やっとホールバーグが舞台に戻ってきた姿を観ることができた!と感無量。この方もまた、彫刻のように美しいなぁと。今回、本当に次から次へとタイプの違う美しい男性ダンサーが出てきて、バレエは見た目だけじゃないと思うけど確かに眼福な公演だとは思いました。
ホールバーグもノーヴィコワもとてもいいダンサーだと思うのだけど、私はどうもこのアポロという作品は苦手です。Bプロの眠りが楽しみ!

■「コッペリア」
振付:アルチュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ

なぜロイヤルの二人がコッペリアなの?!と悲しく思っていたのですが、登場したサラの余りの愛くるしさにすっかりやられて、毎回幸せな気分で見ていました。サラってどちらかというとクールビューティーなイメージだったのですが、彼女本当にクレバーな人なんだろうなあ。あの可愛さも、考えに考えられた(いい意味での)演技の賜物なんだろうと思うのです。そういうところが好き!フェデリコも相変わらずの年齢不詳っぷり。
しかしねー、この二人なら先日映画館で観た素晴らしいマノンの再現(デグリューは違うけど)を、とつい思ってしまうのは仕方ないですよね。

― 第2部 ―

■「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
ヤーナ・サレンコ

先輩降板、そしてその代役だったはずのセザールも怪我、ということで結局ソロの瀕死になってしまったヤーナ。彼女はいいダンサーだと思うのですが、うーんでも瀕死で観たいわけじゃないんだよなあ・・・という思いがぬぐえず。演奏は素晴らしかったです!
東バの秋元さんにバジルをやってもらってドンキとか面白そうなのに!

■「カラヴァッジオ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ

今回はボッレ様を呼んでいただいて本当に嬉しい!容姿もテクニックも衰え知らずの驚異の43才!カラヴァッジオは彼の生涯を描いた作品ではなく、彼の絵画をモチーフにした作品だそう(プログラムより)。まさに動く彫刻としか言いようがない美しいお姿がライトに浮かび上がる様、本当に美術品を見ている気になりました。そしてそのボッレと並んでも引けを取らない凛々しい美しさのメリッサ。うーん、彼女がよくボッレに呼ばれて一緒に踊っている意味が分かりますね。こんなに美的に釣り合う人、そんなにはいないのではないかしら。

■「くるみ割り人形」
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ

ヌレエフの変態的に難しい振付を、若い二人がよく踊っているなぁ、と母のような気分で見てしまいました。日に日に良くなっていったと思います。それにしてもこの振付、難しい割には美しい!とか楽しい!とか素直に思える見せ場がなくて勿体ない!衣装、さすがパリオペ、という感じでとっても美しかったですぴかぴか(新しい)

■「・・・アンド・キャロライン」
振付:アラン・ルシアン・オイエン
音楽:トーマス・ニューマン
オレリー・デュポン
ダニエル・プロイエット

ご贔屓のシルヴィアとサーシャをのぞいたら、Aプロではこれが一番好きだったかも。オレリーの、この作品を選んだセンスに脱帽。「アメリカン・ビューティ」という映画は見たことないのですが、あらすじをネットで読んで作品を観たら、胸に響くこと・・・。これ、死に面した彼のモノローグ、なんでしょうか。ダンスはモノローグをそのまま表現しているわけじゃないけど、でも確かにその世界観を表現しているように思いました。観るたびとっても切なく哀しくなって、しかも回数を重ねるほど伝わってくるものが多くなって。作品のコンセプトも素晴らしいし、演じた二人も超素晴らしかった。オレリー、まだこんなに踊れるのか!と衝撃。そしてダニエルのあの軟体動物のような、でもキレある踊り、観られて超嬉しかった!彼、シェルカウイのTezukAで観て以来、物凄く気になっていたダンサーなんです。オレリー、ダニエルを連れてきてくれて有難う!

■「ファラオの娘」
振付:ピエール・ラコット(マリウス・プティパに基づく)
音楽:チェーザレ・プーニ
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ

この作品、ここ一年ほど、スミルノワ×チュージンorオフチャレンコで何度か観ていたのですが、この二人で観て初めて、あーこういうザ・ボリショイな演目なんだ!って分かってすっきりしました。スミルノワは大好きなんですけど、アレクサンドロワみたいなドヤ感ないんですよね。この作品に限っては思いっきり見栄切った方が楽しいと思います。そして、ツイッターで囁いてた人もいたけど、確かにアレクサンドロワはステパネンコ姐様を彷彿とさせるオーラが出てきたような・・・^^; ウラドはさすがボリショイ、ジャンプの高さと降りたときの足のポジションとかきれいだなと。そして相変わらず姐様にラブラブな様子がうかがえるカーテンコールが微笑ましいハート

― 第3部 ―

■「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン
タマラ・ロホ
イサック・エルナンデス

タマラ姐さんのクールなカルメン。赤いバックに彼女の堂々としたシルエットが浮かび上がるシーン、めっちゃかっこよかった。彼女、相変わらず体幹が強くて見事なバランス力だなぁと思いました。一方、イサックのホセは今までアロンソ版を観てきた中では一番情熱的。このホセの踊りってカクカクした動きだと思ってたんだけど、イサックは物凄い滑らかに踊っていて別の振付観てるみたいでした。私、イサックのこの情熱的な演技、好きだなぁ。アクラムのジゼルのアルブレヒトも、3キャストの中で一番キャラが強かったです。

■「ルナ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
エリザベット・ロス

日本にたくさんファンがいるロス姉様。私は彼女にさほど思い入れがないのですが、真っ白なタイツで全身を包まれて真っ赤な口紅の彼女の姿、美しいなあと思いました。

■「アンナ・カレーニナ」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ

アンナが恋人ヴロンスキーと居ながらも愛する息子を思い出して心が乱れるシーン。彼と彼女と息子の幻影の三つ巴というジョン得意の構造だけど、いややっぱノイマイヤーってこういうの作らせたら上手いなぁ、と唸りました。音楽の使い方も上手い。転調だったかメロディの感じが変わるところで息子が出てきたり・・・。寂しげな風情のアンナが超絶美しい。これまだ、実は全幕観てないのです。息子役は東京バレエ団研究生の山下湧吾さん。出待ちしてたらそばを通って行かれたのですが、とってもチャーミングな方でした。

■「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー
レオニード・サラファーノフ

この作品は、演奏が素晴らしくて、それにぴったり合った踊りと、両者が拮抗したパワーで成り立っていたなというのが私の印象。タランテラってテクニック勝負の作品だと思ってたけど、ああこれって観る音楽なんだな!って初めて実感しました。でもタランテラの女性パートは、だいぶ前に観た小野絢子さんの可愛めニュアンスたっぷりの演技が忘れられないのです・・・。

■「アフター・ザ・レイン」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:アルヴォ・ペルト
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス

これも、ふかーく印象的だった作品。もうフェリが素晴らしかった。立っているだけで、そこから物語が立ち上ってくるダンサーですね・・・。全体的な雰囲気からは何か「祈り」のようなものを感じました。世界に引き込まれて目が潤んでしまった。ゴメスがこういう、人外感ある役を踊っているのは初めて観たような気がしますけど、透明感があって凄くいいですね。

― 第4部 ―

■「ドン・ジュアン」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:クリストフ・ウィリバルド・グルック、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

初日から持ち前の集中力でレベルの高いパフォーマンスを見せてくれた彼らですが、最終日は凄かった。二人ともあの短い時間に完全に役に没入し、会場にいた観客もそれに呑まれていた(ように思う)。息をするのも忘れるくらい濃厚な演技でした。二人の大ファンの私は、こんな入魂の演技の瞬間に立ち会えたことが幸せ過ぎて途中からボロボロと涙が止まらなくなりました。
長いウェーブの金髪のシルヴィアがとてつもなく美しかった。彼女の役はangel of death、彼を死に誘うために現れたのだが、その彼女も彼に恋をしてしまう。悩みながらも彼女は彼を死の淵に連れて行く。序盤、ピュアな存在に見えた彼女が、後半舞台後方から出てきて彼を追い込んでいくときはとても怖かった・・・。サーシャのソロはヌレエフが初演しただけあって無駄に難しい小技がたくさん入っているけど、それを実に軽々と踊るサーシャ素晴らしい(今回Aプロ、彼は絶好調だったように思います)。あそこを涼しい顔で踊るからこそ、この後死の天使が再び現れて苦しむ彼とのギャップが大きくて作品がドラマチックになるのだよな。あ、あと、幕が開いたとき下手にマントと帽子で佇むサーシャの姿が超絶美しかった。彼が静止している状態で発している何とも言えないオーラ、凄く好きなんです(暑苦しくてすみません)。
実はこの作品、一カ月ほど前にハンブルクのニジンスキーガラで観たのですが、そのときよりもバレエフェスの方が数段ドラマが濃くなっていました。
そういえば、この作品は難しいリフトがたくさん入っているのですが、彼らがやるとそれがテクニックの見せ場じゃなくて、ちゃんとストーリーの一部に見えるのが流石。十字になった彼女を背負うシーンがあるのはキリストの受難からの引用かな。あと、サーシャが体の前で片手で彼女をリフトするシーン。これ、金曜土曜は拍手が出て驚きました。ここは感情の波が高まるところなのに、それをぶち壊すなんてひどい。バレエは技を楽しむものだ、という意識が強い人達が多いんだなあ。あまりに一面的な見方。お稽古バレエの市場が大きいことが悪い影響を与えているのかな、なんて考え込んでしまいました。あ、でも最終日は彼らの気迫にのまれて誰も拍手できませんでした♪

■「シェエラザード・パ・ド・ドゥ」【世界初演】
振付:リアム・スカーレット
音楽:リムスキー・コルサコフ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー

アリーナとヨハンのファンの方にはごめんなさい、と最初から謝っちゃう。コジョカルの踊り自体は美しいし、彼女、出産後一年経たないのにスタイルもテクニックもトップの状態に戻していて本当に凄いな、と素直にリスペクトします。が、だからといって、バレエフェスに全く踊れないコボーをパートナーとして連れてくるっていうのは、観客に対するリスペクトがなさすぎではないか。あと、リアム・スカーレットの舞踊言語は美しいけど、この作品はテーマが全然ない気がしました。シェヘラザードだけどコジョカルの演技からはゾベイダは全く感じられず。むしろ、どなたかがおっしゃってましたが、ニキヤと修行僧みたい。作品として主張がなさすぎて、とっても退屈でした。

■「ヘルマン・シュメルマン」
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
ポリーナ・セミオノワ
フリーデマン・フォーゲル

オーソドックス過ぎる作品が並ぶ中にフォーサイス入れてくれて有難う!って感じでした(フォーサイスもコンテの古典な感はありますが)。
久々に観たポリーナが男前で、いやーかっこよかった。彼女の筋肉質な体にこういう作品は凄く似合う。硬質なポリーナと、柔らかい動きのフォーゲルの組み合わせも面白い。そしてフォーサイスの動きは興味深いなぁとしみじみ思いました。古典バレエの動きが基礎にあるんだけど、テンションかけて引っ張ったり、ねじったり、時々インやフレックスを使ったり、っていうことで全く違うものになる。

■「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ

ドロテとマチューって、美男美女でとてもお似合いの組み合わせ。そしてこのシーン、音楽が本当にいいんだよなあ。東フィルの素晴らしい演奏と二人の隙のない演技のおかげで、毎回高揚した気分にさせていただきました。

■「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン

ミリアム可愛いハートハートハートって観るたびに思ってしまう。あのほっこりした笑顔を客席に向けられると、もうそれだけで幸せな気分に。だけど、彼女ってテクニックも盤石で、常にどの瞬間を切り取っても正しいポジションにあるなぁとしみじみ感心しました。連続フェッテも、二回転は入ってないけど、一回転ずつが物凄く美しくてしかも音楽に合わせてある。あれはあれで、二回転入れるより難しいかもしれないです。
マチアスも、全幕のときよりだいぶ調子が上がって来てるかな、と思いました。回を重ねるごとに細かいワザがどんどん増えていったような。高いジャンプ、きれいなつま先、そして長い脚なのに細かい足技が本当にきれい。
二人とも、全幕のときより「ドヤ!」感があってお祭りな感じでした!


ふー、感想書くのも時間かかりますね・・・。明日はBプロ初日。その前に書きあげられてよかった。台風にめげず行ってきます!
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