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2018年07月26日18:35

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モルモン書 和訳上の留意点について

モルモン書和訳上の留意点について

1. 古語

モルモン書英訳版は古文体で表記されているために古語も含まれており、その取扱いに配慮する必要があります。例えば、magnifing は現代語で「拡大する」「強める」と言う意味に用いますが、古語では「賛美する」「礼賛する」「尊重する」と言った意味ですし、cry は「請う」「求める」「祈る」と言う意味で使われています。

2. 慣用句

どこの国の言語でも「慣用句」或いは「慣用表現」と呼ばれる表現方法が沢山ありますが、御存知の通り直訳したのでは本来の意味が正しく伝わりません。例えば、good morning を直訳すると「良い朝です」などと言うことになるのでしょうが、誰もそうは訳さないで「おはようございます」と訳すでしょう。また、It's a piece of cake は「朝飯前だよ」或いは「そんなの簡単だよ」とも訳すでしょう。また同じ日本語でも「骨を折る」を「尽力する」ことの意味でも使いますが、英文からの直訳で「首の骨を折る」も同じ意味に用いることは御存知の通りです。また、面白い処でkick back は「くつろぐ」です。
 モルモン書でも、ニーファイの最初の言葉、I, NEPHI, having been born of goodly parents, ・・・は「私ニーファイは良家に生まれたので・・・」 であり、単なる「良い両親」以上の意味のあることがお分かりになるでしょう。またニーファイ第一書3章15節や、4章32節で使われている直訳で「主は生きておられる」は、へブル人の慣用表現で「主(エホヴァ)に懸けて誓う」と言う意味であり、日本語の習慣で言い替えるならば、「命に懸けて誓う」となります。

3. 二重敬称・敬語

通常 Spirit と表記されている単語は一般的に「御霊」と和訳されています
が、この日本語は「魂の敬称」であり、それ故、the Spirit of the God のように、体言 Spirit を至高者である神 God が修飾する熟語では、「神の御霊」ではなく「神の霊」、同じく Angel of God も独立した表現を除いて、至高者である神に帰属していることを二重に言い表すことになるため、「神の天使」ではなく「神の使い」と和訳する方が適切であると判断しました。要するに、御霊も天使もその単語自体に既に「至高者、神」を含んでいるからです。

4. 地球文明と地球圏外宇宙文明のタイムラグ

原文から英文に翻訳したジョセフ・スミスは、この地球の科学技術圏外、即ち他の惑星から持ち込まれたウリム・トゥミム(既に、数千年前の古文書である旧約聖書中に登場)と呼ばれる極めて高性能の自動翻訳機能を有する道具を使用して原文を読み取ったのであり、ジョセフ・スミス自身がモルモン書の扉のページで前置きしている通り、原文から英文への翻訳でこれ以上に正確なものはないでしょう。また金属の薄板に一度刻んだ文字を、消しゴムで消すように簡単に消せないだろうこと、またその理由で綿密な推敲の余地のなかっただろうことを考慮しても、大きな間違いの少ないことに驚くものです。言い添えるならば、むしろ原文中の多少の誤りや重複などは同じ人間としてのぬくもりを感じさせるものがあります。

 当和訳は原著者の思いを汲み取りながら分かり易い日本語の文章を心がけ、また補足文は【】にしました。

                      
                   <<2018年07月 古川 正義>>
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