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2018年07月13日02:36

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ドイツとオーストリアに行ってきました #6 塩の砦と至福の食卓

<四日目 後半戦>
ソーセージとビールで元気満タン
さぁて、こっからこのザルツブルグのシンボル
ホーエンザルツブルグ城を目指すのである

日本語表記ではホーエンザルツブルグ「城」であるが
ドイツ語ではこの城を「Schloss(城)」ではなく「Festung(砦)」と呼ぶ
この街がカトリック教会の支配下にあったとき
ある大司教が周辺諸国の攻撃を恐れ
市内を見渡せる場所に築いた純然たる砦なのである
大司教は戦争だけでなく市民の反乱にも備えられるよう砦を強化し
後に凄惨なる新教徒迫害の舞台ともなった

立地が良かったのか金をかけた恩恵か
この砦は幾度となく戦いの渦中にあったにも関わらず
一二世紀に完成した当時ままの姿をほぼ保っているのである

で。
ご覧の通りのロケーションである
ここへ行くためにはこの山を登らねばならんのである
難攻不落のホーエンザルツ攻め、状況開始

しかし今は二一世紀
文明の利器ケーブルカーが存在する
ごめん
かつて砦へ物資を運んでいたトロッコ跡を
前世紀半ばぐらいから既に観光用ケーブルカーが走っている

前回の訪問では
このケーブルカー代数ユーロをケチってホーエンザルツ攻めを強行し
ひでー目にあったのである
今回はこの魔法のザルツブルグカードを声高らかにドローすれば
カードの効果により無料で乗れるのである

問題は今いるゲトライデ通りからケーブルカー乗り場までの道順である
真紅に輝くヨメサンの新型アイホーンが唸りを上げてルートを検索する
それに従っていざ出発

<夫婦移動中......>

……なんか、これ坂登ってね?
しかも猛烈な勢いで

しかし今まで恥ずかしくて書かなかったが
ねこるとのイニシエの記憶よりはるかに高い精度で
ヨメサンのアイホーンは我々に進むべき道を示してきた

それでもこれ、登ってね?
ほら、街があんなに遠く――

訝りながら息を切らしながらふらつきながら坂を登ること約三十分強。
ついに我々はたどり着いた
難攻不落のホーエンザルツブルグ城
その門の前に

結 局 登 っ ち ま っ た じ ゃ ね ぇ か !

怒りとかそういうのはなかったです
ただ無事に着いて良かったという思いと
それからとりあえず座りたいという願いだけ

門の中には門番はいなかったが
チケット売り場と回転バーのゲートがあった
ちょうど欧米マダムがチケットを買うのに手こずっていて
我々は金属手すりに体をあずけながら順番を待つ

マダム「ごめんなさいね、もう少し待って頂ければ……」
ねこると「いえ、お気になさらず……僕らここで休憩します」

ほどなくぼくらの番が来て
さっきのやり取りを聞いてたチケット売り場のおっちゃんが苦笑しながら僕らを迎える

俺のターン、ドロー!

とやりたいところだが
あいにく口ン中ァバッサバサである
震える手でカードを取り出し
瀕死のハスキーボイスで
「これ使えますか?」
と尋ねると
おっちゃんは笑いながら
「もちろん有効です。どうぞ」
とゲートを動かしてくれた

中にあるちょっとした売店でペットボトルを二本買って
併設されたオープンカフェの一席に陣取り
ヘバりながら体力を回復するねこると&ヨメサン
ちょっとした街を思わせる城内も結構な傾斜である
各建物はそれぞれ当時の暮らしや砦の歴史
オーストリアの軍事史なんかの博物館となっている

そう
この軍事史博物館で
かつてねこるとは展示されている鉄砲や刀剣の写真を
撮って撮って撮りまくったのであった
今回も撮りまくった

前回は安っちいフィルム式カメラであったが
今回はスマホ内蔵とは言え
千三百万画素のデジタルカメラである
やっぱり資料集め好きの血が騒ぐのである
あちこちいろいろ回ったが
市内を一望できる展望台に
どこんと大砲が置いてあったりして
やっぱりここは砦なのである

周辺諸侯の侵略から
民の怒りから
小心者の権力者の威厳を護るために作られたその砦は
今は街のシンボルとして
トリップアドバイザーが選ぶ死ぬまでに行きたい世界の名城25選のひとつとして
ザルツブルグ市民のアイデンティティを護っているのである

がっつり観光すること一時間強
降りるのはもちろんケーブルカーである
城の中からなら流石にすぐ見つかったwww

今度こそ、

俺のターン、ドロー!

しかし冷静に考えてみれば
これは俺のターンではなく
ザルツブルグカードのターンである

……とか言ってるうちに地上へ
はやっ
その間、約120〜180秒

……はやっ

降りてきたのはゲトライデ通りにほど近い中央広場
かつてナガノファンのモギリのおっさんがいた大聖堂のすぐ近く
我々はわざわざ乗り場と反対側に歩き
山道を上っていたのである

まいっか←

流石に小腹が空いたねこると&ヨメサン
そうだ
オーストリアに入ってからまだカフェに寄ってないのである
ちょいと方向転換して
広場に面したカフェ「トマセリ」へ。
ここは1705年創業、ザルツブルグ最古のカフェとされる店である
ケルナーに挨拶をするとどこでもどうぞ、と言われたので
二階のテラスに上がる
今欲しいのは濃いコーヒーではないということに気づいてしまったので
不本意ながら二人とも紅茶を選択
そしてせっかくだからスイーツを食べよう

実はうちのヨメサン甘いものは好きなのだが
体が受け付けないのか量を食べられない不憫な体質
今回は二人で一個をシェアすることに
そして出てきた画像二枚目
店の名を冠したその名も「アイス・トマセリ」
ヨーグルト風味アイスとブラックベリーの甘酸っぱさが冴える
たいへんさっぱりしたスイーツであった

ほっこりしながら食べ進める中
先に異変を察知したのはヨメサン
彼女が周囲を見回すのでどうしたのかと思っていると

日本語が聞こえるのである
隣の席に中年の御夫婦

あら、関西弁と思っているうちに
もうひと組

ねこると「しまった、囲まれたぞッ」
ヨメサン「どうやらそのようだな……」

その御夫婦も近くに座り
やがて始まるテーブル間交流
聞いてみると(てか、いやでも聞こえる)
このふた組はそれぞれ別の観光ツアー客
思いがけず日本人を見かけたもんだから嬉しくなってつい……なんて言ってる
こちらへ話しかけては来なかったがとにかくウルセーのである

まぁいい
我々は目の前の幸せに集中すべきだ
彼らも是非そうするべきだ

とか言いながら
アイス・トマセリを平らげたら
軽くコーヒーでも頂いてから出ようと思っていたのだが
なんだか居心地が悪くなって
何故か浄財がわりにケルナー(給仕)のおっちゃんにチップをはずみ
早々に退散
なんか色々と惜しいことした

さて、とはいえステキなスイーツで心は癒された
ゆっくり歩いて帰れば腹もこなれるかというところ

あとはSPARでワイン買って
夕食を済ませるだけである

荷物がちょいと増えてたので先にSPARでワイン物色
今日のアテはスモークサーモン100g2.99€である!
あっ
よく見たらこれForelleて書いてある
つまりこれはシャケではなくてマスである
まぁいいか← (実際旨かった)

一旦ホテルに戻ってワインを冷やし
ヨメサンのアイホーンで周辺のレストランを検索
ええ感じのレストランが見つかったのでレッツゴーである
そこは木々の生い茂る公園のようなオープンテラスを備えた
たいへん美しいレストランであった
テラスのすみっこ、壁際の席に陣取ることに

人の良さそうな壮年のケルナーさんがメニューを持ってくる
英語のメニューがよろしいですかと聞かれたので英語のメニューをお願いしたのだが
料理名はドイツ語の音で覚えているので英訳されるとかえって困ることに気づくねこると
ヨメサンは日本語以外の言語に対応していないのでどのみち翻訳せねばならんのだが……
先にビールとワインだけ注文し、
俺のだけメニューをドイツ語に変えてもらう

しかしこのケルナーさん
給仕能力が半端ないのである
まぁまぁ広い範囲のテーブルを担当しているようなのだが
各席ににこやかながらも油断のない視線を送り
万遍ない気配りを提供している
呼ぼうと思って顔を上げると
確実に目が合うのである

というわけで画像三枚目は
ねこると注文のザルツブルガーシュニッツェル
ザルツブルグ風の定義は判別出来なかったが
ミュンヘンで食ったものに比べてわさびの風味はないものの
衣にしっかりと味が付いたシュニッツェルをレモンの風味が引き立て
たいへん美味しゅうございました

ヨメサンはバックヘンデル
シュニッツェルの鶏肉版つまりフライドチキンなのだが
普段少食のヨメサンが旨い旨いとあっちゅう間に平らげてしまった
さらに付け合せの酸味の効いたマッシュポテトをいたく気に入ったご様子

実に感動的なディナーであった
会計の際いかがでしたかとケルナーさんに聞かれたので
ヨメサンがめっちゃ食った旨伝えると
ケルナーさん満面の笑みでサムズアップ

可愛らしさも備えたおじさんなのであった

歌の達人をドイツ語でマイスタージンガーと言うならば
彼はケルナーという職業の誇りを知るマイスターケルナーである

大好きな街ザルツブルグで
またもやねこるとはステキな人に出会ったのであった


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