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2018年06月26日01:46

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人間失格

人間失格

強い人間とはどんな人を指すものだろう。
本当に強い人間とは、一体どんな考えの持ち主で、どんな行動を常に行っているのだろう。

素朴ながら、脳裏の片隅からたまに浮き出る疑問だ。

人間失格はある方面意味での『強さ』が垣間見えた。
1:好きな事柄を好きと表現出来る。
2:初対面の前で歌を口ずさむ。
3:分からない事を自力で詮索して探し当てる事が出来る。
4:表現や思考の表と裏が少ない。
5:思った言葉を思った通りに口から吐き出す。相手の気持ちは取り敢えず後回しで、先ずは突っついてみてから対応を考える。

これらの行動や考え方、表現などは、俺も持っている。しかし、上記の順番を追って『てぃーのバージョン』を書き足すと、以下のようになる。
1:好きな事柄を好きと表現出来る。
 :多くの会話を通して理解した相手のみに口にする。単に『仕事仲間』くらいの間柄では作業内容だろうがプライベートだろうが好き嫌いの表現はなかなかできない。
2:初対面の前で歌を口ずさむ。
 :ダメ。恥ずかしい。自ら呼び込んだ罰ゲーム的要素。死ぬ。
3:分からない事を自力で詮索して探し当てる事が出来る。
 :こんな所ばかり素直なので聞いてしまう。失敗こわい。探すのめんどい。
4:表現や思考の表と裏が少ない。
 :初対面ほど自分を隠す。表と裏どころか自分がどんな対応をしているのか知り得ない。
5:思った言葉を思った通りに口から吐き出す。相手の気持ちは取り敢えず後回しで、先ずは突っついてみてから対応を考える。
 :初対面の場面だと、恐らくこちらからの声掛けはほぼ皆無。あるとすれば業務的な内容の確認など。第一印象と言う表現通り、考える事はあるが、そのままをストレートに言う事は出来ない。

こんな感じだろうか。
そんな人間失格と俺との考え方や行動性の違いから、正直、俺からすれば掴みどころが見えなかった。
それでも懐かれたのか、どんどん俺に入り込もうとするそんな彼の性格は…正直、苦手だ。
対面2回目でマイミクの一人を指し『あの子、付き合っている人居るんですか?』という質問は正直驚いた。まだお互い慣れない筈の時間しか付き合いが無いというのに、ほぼ直球な質問に面食らった。
正直もここまで来ると、ある意味でこわい。自分は懐かれている立場なので文句の言いようは無いが、それにしても身の回りの人物に対し、くっきりはっきりと判別するその態度は誇らしげであり、確かに俺には無い性格だが、正直な表現が時に人を傷つける事を思うと、自分になくて良かった性格だと確信している。

数日もすれば、どうして人間失格はこんなに自分に自信を持っているのかという疑問が湧いた。
やや干からびたmgrに指摘を受けてもフンと言って反抗心を露わにし、気に入らない客層を見ては「どう思います?」みたいな質問をしてきたり…。
仕事方面は機敏で真面目なのだが、好きな事を好きと表現して率先する一方、そうではない分野には見向きもせず、俺の指示にもなんとかして逃れうとするその行動は…。
ワガママだ…。

彼の性格の源を発見したのは偶然だった。
どうやら彼はサッカーが好きで、相当の能力を誇っていたらしい。
俺のサッカー知識は名ばかりなので詳しい事は一切無いが、過去の日記を拝見するあたり、地域ではなかなか期待されていた一人のようだった。

でも世界は広い。
『可能性』と言う意味合いでサッカーの能力を図るとすれば、世界的な選手になれる人物は…実はほぼ全員がその対象になる。
その中でサッカーをまず好み、理解し、努力を重ねた人物が『世界的プレイヤー』として近付く話であり、才能といった能力は俺の中で無視される。むしろ『運』が全てと言っても過言ではない。
『才能』とはその他の外野が勝手に付け加える根拠の無い判断要素の様なものであり、加えて言うなら『才能』は誰でも平均的に持つものだと思う。
必要なのは努力と経験だ。…と言いたいが、日本の場合はそれ以前に金が必要になる。
どれだけ優れたプレイヤーであっても金の有無でスタートラインがだいぶ異なり、更には『サッカー』との繋がりを親や知り合いが持つかどうかで話もだいぶ異なってくる。
サッカーで世界的に有名なプレイヤーがいたとして、その子供が全くサッカーに興味を示さなくても、世間は勝手に期待のまなざしで舞い上がってくれる一方、世界に通用するプレイヤーであってもその周囲がサッカーに無縁ならば、だれも見向きしないといった具合だ。

特に日本のあらゆる連盟はボランティア精神が低く、結果的に金の量で判断を下す場面が多い。
一流選手に憧れる無名プレイヤーはあらゆる場面で出費に見舞われる。特に遠征が重なった時の費用は一般家庭の生活ではとても補いきれるものではない。
人間失格の場合は両親が小さな工場を運営していたと聞くが、いつの日か遠征の話を持ちかけた時に『もう、家には金が無い』と告げられたらしい。

どうにもならない挫折感を味わった事だろう。子どもという立場で無知だったとはいえ、自分の将来の夢が一家を食い潰す寸前まで追いやっていたのだ。
『人間失格』『悪魔の左足』『死の外科医』など、コロコロと変化する彼のミクシィネームも理解出来た。
『悪魔の左足』はサッカーにちなんだネームだろう。どれだけの技術を持っていたかは計る事も出来ないが、彼の周辺では相当に名があった証とも表現できる。
『死の外科医』。サッカーに関連付けるとすれば、きっと選手生命を左右するような出来事が事故としてあったのだろう。
そして結び付いた『人間失格』。夢を諦めた瞬間。様々な意味が込められていると推測できるが…果たして?

相当に期待された時期、相当に周囲の目を引きつけた時期が彼には存在し、きっと有頂天になった時期もあったと思われる。異性に関する視線意識は常に敏感だった。
そんな時期を彼は忘れる事が出来ず、結果、常に周囲から脚光を浴びていなければ我慢ならない性格を作り上げてしまった事は、彼のミクシィ内部の対応で深く理解出来たつもりだ。
単純には自分を見てくれない人は必要ないと言いたかったのだろう。

すき屋勤務中の彼はよく歌を歌っていた。その姿は歌声に反して楽しそうなものではなく、どこか人の気を引こうとする何かがあった。厨房に入ってくるときによく見た姿だ。
声を掛けると必ず顔色が変わった。笑みを浮かべ、純粋な喜びを含めた笑顔が見える。
自らの話題制作はプライドに障るのだろう。何かの拍子に自分が話題となり、その中心に立つことこそが彼の喜びなのだろう。
だから自分に無関心な人物や厳しく当たる人物は容赦なく切り捨てる行為に及ぶのだ。
人の上に立つ優越感を知る人間の行為なのかもしれない事も、他人を見下す彼の言動から見て取れた。
でも、その全ては俺から言わせれば強がりでしかなかった。

結局彼は金の力に押し潰された。
本当にサッカーが好きなら、もっともがけば良かったのに…と思いつつも、それは俺と彼が出逢う以前の話で過去の事だから、当時ではどうしようもなく、そういった発言をする為の接触時間も少な過ぎた。

結局、彼はポンと消えてしまった。
あまりにもあっけない最後だったが、俺は個人的にホッとしていた。
行動や発言、人に対する物事の考え方が『ヒロ』に似ていたからだ。

後日、彼が働くと聞いたブックオフに何度か足を運んだ。
大きなお世話かもしれないが、彼はまだ若い。本当にサッカーが好きなら、無一文なりに名を知らせる方法を捜す価値くらいはあるのではないかと説教を交えるつもりだったが、数回に渡って足を運んでも接触は出来なかった。そういったお互いの運命なのだろう。

そして彼の運命は彼の持つ自らの性格に潰された。
べぇちゃんから人間失格が何かしたのかと問い合わせがあった。聞けば警察が訪ねて来たらしい。
べぇちゃんは真相を知らなかったが、俺はすぐに理解出来た。
彼の日記に麻雀で大勝した自慢話が載せられていた。勝ち金額を写真に収め、丁寧にアップロードまでしており、時間まで記されている。…と同時に、これまでの戦績なども。
優越感こそ全ての彼の本来の姿と思えた。
…が、同時に『賭博』としての証拠も完璧な仕上がりだった。
大敗を喫したカップルとやらが腹いせに警察署にでも駆け込んだのだろう。
その数時間後に『人間失格』のミクシィがホームページもろとも削除されている事から、その後の察しは2つに1つ。
逃げたか捕まったか…。俺の予想は後者と思われる。
自分の優越感に浸れるミクシィを自ら削除するとは到底思えないからだ。

結局、彼とのその後の再会は無く、彼の夢見た方角のサッカー人生もその時点で完全に潰えてしまった。
今頃どうしているのかなんて想像もつかないが、どうか傲慢な自分を切り捨て、幼い頃の視線で好きな事に励んでいてくれるのであれば、それは形違えども成功への道しるべになっているのではないかと思う。


てぃーのの視野

多くはスポーツ界の『普通』なのだろうが…。
夢への目標に向かう為に金が必要という現実は非常におかしな話だと思う。
チーム運営費用をはじめ、フォームをつくる為に必要な準備品や個人的に練習する消耗品に関する資金消費はどうしようもないが、選手として選ばれて遠征する為に別費用が発生するのが理解出来ない。
選手として選ばれるが、金が無ければ出場は出来ないと言い切っている。
一回の出場に1000円2000円なら誰も文句は言わないのだろうが、バスや飛行機の利用となるとそうもいかない。滞在時間だって数週間~数カ月なんてものも耳にした事があり、当然ながら一般の生活を営む家庭から捻出するには維持が難しい。
こういった話を聞くと、俺は思う。今回は人間失格の話なので彼に合わせた視点となるが、率直にはこうだ。
『彼は本当に必要とされていたのか?』
世界的な一流プレイヤーの数は、同じ目標を夢見る人種にとって限られた数だ。一握りと表現されるように、たかが知れている限界数である。
その中に食い込むためには並々ならぬ努力が必要な訳だが、何をするにしても切れない存在が運と金である。
強くなる為に他チームとの試合は必須だろうが、生活を脅かせてまで参加を促す理由がどこにあるのだろうか。賭け事とはわけが違う。
そもそも運営費の全体の何パーセントがそういった旅費に役立っているのかも疑問であり、回収する月の月謝の低さも気になるところだ。
サッカーに限らず、最終的な金額が膨大になるのであれば、予めその後に必要とする費用を交えた運営費用を月謝として集めれば、多くの人が未来の不確定な選手候補は名乗りを上げずに安定した生活の道を辿れると思うのだが。
まあ、現実的にそういった金額を晒せば参加者が一気に減少するのでそうはしないと思われるが、騙すように伏せた状態でズルズル期待させるのも無責任な話だと思えて止まない。
そして金が尽きればその場でサヨナラという現実も日本ならではと言うか、それこそ無責任な話である。

いずれにせよ、日本の○○連盟など、何かに象った組織は『夢』への助成意欲が皆無に思える。
その一方で、既に夢を達成した人物への譲歩は凄まじく、まさに『有る所には有る、無い所には無い』という表現を見事に完成させている気がする。
これでは無名が有名になる事は難しく、『可能性』の意味も捻じ曲げてしまっている気がする。金の捻出さえ維持できれば、ある程度の水位までは上り詰める事が出来る。…というシステム。これってどうだろう?
選手候補とその家族には何一つメリットが無い半面、チームに関わりのある人物や企業だけに旨みが発生している気がしてならない。

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