最近、歳を取ったせいか、分際をわきまえないものが嫌いです。
というのは、分際をわきまえない人は、経験的に内容がないから、相手にしても仕方がないと思うからでもあります。
といっても、学部学生が、「あの学説はおかしい」というのは、大いにアリでしょう。経験が薄い人が仕事についての意見を言うのも、大いにアリです。
ここでいう分際とは、力量や世間的な地位や評価のことではなく、本質的な資格のことです。
たとえば、勉強していない小商いをしているだけの親父が、「大学出ても意味はない」というのは、分際をわきまえていないです。売れていない中卒や高卒の作家志望の人がそういうのならば、わかります。前者は文化的なことをしていないのですから、ドダイ、言う資格はありません。
同様に、
「一生懸命仕込み中」というラーメン屋の休憩時間中に掛かる札もおかしいと思います。
どうせ、客が少ないから店を閉めてくつろいでいるのに、なぜ、客に向かってそんなことが言えるのか。おいしいものを作って激賞されても、「お口に合いましたか。ありがとうございます。」というのが筋ではないか。全く理解不能ですし、その程度の常識もない店は、うまかった試しはありません。
今回の西鉄の広告は、分際を超えています。
お前は、牧師か、坊主か。
安全や輸送のことならどんなに偉そうに語ってもいいでしょう。たとえば、世界の運輸産業の現状や、資源エネルギー問題、人間の注意力と判断についてなら、どんなに大言壮語しても理解できますが、このポスターは理解を超えています。
しかし、
皆さんが主張する、
性犯罪の誘発や、価値観の押しつけという批判については、正直な話、基本的には賛成であるものの、
どうも素直に「そうだそうだ！」といえません。
それでいいのか…という引っかかりを覚えます。
他人の批判を避けたい（いわゆる「炎上」を避けたい）という心理を内面化すると、バカになるからです。
ＳＮＳをやっている人は、こういう心理を経験していると思います。
Ａ党を批判すると、Ａ党支持のＸ氏に悪い。Ｂ教を批判すると、お母さんがＢ教信者であるＹ氏に悪い…
そうやって、人はどっちつかずになり、頭がアフォになるのだと思います。
西鉄という交通機関のポスターとしては、論外ですが、
どんなものであれ、少数意見をいう自由は、内面的に担保するべきだと思います。
■「無防備力も、女子力」 中づり広告に批判、西鉄が撤去
(朝日新聞デジタル - 06月15日 21:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5157848
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