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2018年06月03日19:17

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5月の読書記録

4月よりは読めたけれど、個人的には6千頁行かなかったのが、ちょっと不満。
後半、哲学思想関係の本に若干偏っていた感が…
ナイスが144というのが嬉しいかな。

2018年5月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5662ページ
ナイス数:144ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■トマス・アクィナス――理性と神秘 (岩波新書)
新書としては珍しく、手元において繰り返し読みたいと思わせた一冊。新書にしてはかなり突っ込んだ内容で、ある程度キリスト教は哲学の素養がないと理解が難しいが、トマスがいかにアリストテレス哲学や先達が残したキリスト教思想及び聖書そのものと対峙し、自らの壮大な哲学体系をものにしたかということが、ひしひしと伝わってくる。個人的にとりわけ驚かされたのが、あの有名な晩年のエピソードの解釈。それは決してそれまでのトマスの著作活動の意味を無化するものではなかったという説には目から鱗。ただ、トマスへの道は果てしなく遠いが。
読了日:05月31日 著者:山本 芳久
https://bookmeter.com/books/12515630

■廣松渉マルクスと哲学を語る―単行本未収録講演集
「本当に関係一次性や事的世界観が新たな哲学的地平を啓くことになるのか?」。本書を読んで改めてそんな疑問を抱いてしまった。かつて、廣松の著作でその概念に触れたときは、「ええ、そんな考え方があるんだ」と目から鱗が落ちた思いをしたものだが、今回本書を読んでみて、どこか大風呂敷を広げている感がどうしても否めなかった。確かに関係性によって規定される部分は大きいだろうけれど、本当にそれで全てが語り尽くせるのか?どんなに理論を展開しても、実体は実体として残るのでは?という気がしてしまう。それは今後検証されるのだろう。
読了日:05月30日 著者:廣松 渉
https://bookmeter.com/books/1138433

■『ふしぎなキリスト教』と対話する
『ふしぎな〜』を読了したときは、「思ったより、しっかりした内容だな」と思ったのだけれど、実は思った以上に問題点があるとの指摘にちょっとびっくり。それに気づかなかったことを反省することしきり。それはともかくとして、本書はその『ふしぎな〜』とまさに対話することによって、キリスト教をわかりやすく解説したもの。『ふしぎな〜』の価値を認めつつ、突っ込むべきところはちゃんと突っ込むというメリハリの効いた語り口に好感が持てる。また、これまで自明と思っていたことがそうでもなかったということに気づかされたのが大きかったか。
読了日:05月26日 著者:来住英俊
https://bookmeter.com/books/6993231

■続・ゆかいな仏教 (サンガ新書 72)
本書で度々言及されているように、日本に土着した仏教と本来の仏教思想との間に、殆ど別物とさえ思われるくらいの乖離があるのに驚き。日本人が仏教に対してイメージしがちな抹香臭さや、暗くジメッとした感じが、いかに日本特有のものかということがよく分かる。また、日本において、ただお経を唱えるだけで、その意味するところを理解しようとする動きがあまりなかったという指摘には考えさせるものが。上から与えられたものを粛々としていただくという日本人特有のメンタリティーが働いているのか?これが新たな仏教理解の嚆矢になるかも。
読了日:05月24日 著者:橋爪大三郎,大澤真幸
https://bookmeter.com/books/11494411

■「五箇条の誓文」で解く日本史―シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ (NHK出版新書)
五箇条の誓文なんてすっかり忘却の彼方だったけれど、本書を読んで、その重い歴史的意味に少なからず驚かされた。それにしても、本書日本近代史を振り返ってみて、その行き当たりばったりのアバウトさいい加減さに改めて呆れた。技術面や新しい文化を取り入れ自らのものにしていく柔軟性は優れているものの、こと政治的なことになるとどうしてこうもグダグダになってしまうのか?とりわけ印象的だったのが、比較的理性的な判断を下していた人が、あっさりとその見方を翻すこと。また、そのようにせざるを得なかった側面もあるのは、歴史の皮肉か。
読了日:05月23日 著者:片山 杜秀
https://bookmeter.com/books/12673161

■ゆかいな仏教 (サンガ新書)
これってゆかいな仏教というより、アバウトな仏教ではないか?対談形式ということで、もっとさくさく読み進められるかと思いきや、これが意外と難物。これまでにもある程度仏教関係の本を読んできたはずだが、その知識が全くというほどいかされない。所々「へえ〜」と思える箇所はあるものの、一通り読み通して、仏教の全体像が見えてきたかというと、かなりあやふや。とりあえず、日本における仏教というのが、仏教本来のあり方とはかなりかけ離れていること、キリス教などの一神教とは、殆ど真逆と言ってよいほどかけ離れ散ることは理解できたか。
読了日:05月22日 著者:橋爪大三郎,大澤真幸
https://bookmeter.com/books/7468065

■変調「日本の古典」講義  身体で読む伝統・教養・知性
安田登氏による後書きの最後の箇所に本書の本質が込められていると思う。確かに内田氏の著作の内容は読後あまり頭に残っていないことが多い。でも、読書中の高揚感や読後の「ある知見に触れた」という感覚は確実に自分の中に残っていて、それが思わぬところでポっと出てきたりする。タイトルからして、幾つかの日本の古典を主題的に取り上げて論じたものと思いきや、内容は良くも悪くも雑多。例によって他の内田氏の著作で幾度となく触れた話も少なからずある。それでも、それが面白い。本書で改めて能の奥深さに触れたのが、最大の収穫だったか。
読了日:05月21日 著者:内田樹  ,安田登
https://bookmeter.com/books/12503188

■何が私をこうさせたか――獄中手記 (岩波文庫)
陰惨かつ凄惨な内容なのにもかかわらず、そうした暗さを感じさせない著者の力強い文体に引き込まれて殆ど一気に読了。行く先々で出会うエゴイスティックな大人達による理不尽な仕打ち。それさえをも自らの糧とし、血肉化していく著者のバイタリティと強靭な精神性にはつい頭を垂れたくなる。個人的には甘言を弄して朝鮮まで連れてきながら、完膚なきまでに虐待を続ける父方の祖母及び叔母とのエピソードがとりわけ印象的だった。また、苦難の中にあってこそ、他の弱い者達と連帯しようというスタンスは、今だからこそ学ぶべきものだと痛感する。
読了日:05月17日 著者:金子 文子
https://bookmeter.com/books/12519772

■力学入門 - コマから宇宙船の姿勢制御まで (中公新書)
根深い理数系コンプレックスを抱いているくせに…というかそれゆえにというべきか、忘れた頃に手にとってしまう理数系の新書。科学の中でも物理学…とりわけ力学には興味を抱いていたので読んでみたが、ある程度現代力学のイメージはつかめたものの理解のほどは甚だ怪しい…というより後半は殆ど字面を追っていたという塩梅。これは多少なりとも高校レベルの物理を齧った人向けではないだろうか?イラストで説明している箇所は、多少は理解できた気になるが、数式が出るとやはりお手上げ。文系人間にはそこでもう一歩踏みこんだ説明が必要である。
読了日:05月16日 著者:長谷川 律雄
https://bookmeter.com/books/10122637

■旧約聖書入門2: 現代に語りかける父祖たちの物語
内容はさておき、「この調子でこのシリーズは本当に完結するのだろうか?」ということが気になってしまった(笑)。タイトルは「入門」と銘打っているが、その中身はというと入門というより、詳細な聖書解説。確かに語り口は平易ではあるが、専門的な内容も少なからずあるし、とにかく説明が細かくて、聖書初心者が読み通せるものでは到底ないというのが、正直なところ。これはやはり、実際に聖書を読み進めていくうえでの手引き書として活用すべきものだろう。個人的には信仰に生きる道を選んだ人達の苦難のエピソードがとりわけ印象的だった。
読了日:05月16日 著者:大野惠正
https://bookmeter.com/books/10081867

■太陽と乙女
著者後書きでは「ちびちび読むように」とあるが、ほぼ一気読みしてしまった。著者の母校の側に長らく住み続けている者にとって、著者の学生時代のエピソードの数々には、軽い驚きと興奮を禁じ得ない。以前から思っていたことだが、著者とはどこかですれ違っていたに違いないという思いを一層強くした。また、気になるのは本書でかなり頻繁に奥さんについて言及していること。本書で伺える限りでは、著者にかなりの理解がある優しい人というイメージなのだけれど、真相はいかに?後、多少文才があるからといって作家にはなるべきでないと改めて痛感。
読了日:05月15日 著者:森見 登美彦
https://bookmeter.com/books/12417419

■シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 世界は四大文明でできている (NHK出版新書 530)
企業トップといえば、ある程度の高等教育をうけたはず。それなのに改めてこのような講義をうけねばならないとは、日本の教育って一体何なのだろう?という疑念がふとわいた。それはともかくとして、タイトル通り、世界の四大文明のその思想的宗教的背景を手際よくわかりやすくまとめた良書。個人的には普段はなかなか触れることのないヒンドウー文明の章がとりわけ興味深く読めたか。それと、一般的には仏教が大きい存在と思われるのにもかかわらず、儒教に焦点が当てられているのも驚き。この辺りは、認識を改めなければならいのかもしれない。
読了日:05月11日 著者:橋爪 大三郎
https://bookmeter.com/books/12368821

■内村鑑三 悲しみの使徒 (岩波新書)
かつて、これ程の熱意を持ってキリスト教信仰に生きた先達がいた…内村についてはある程度知っていた気になっていたが、本書で改めてその特異ともいうべきあり方に驚かされた次第。そのカリスマ性がゆえ、大きな影響力を持ち、信奉者を得たのにもかかわらず、それが日本における大々的なキリスト教普及に至らなかったのは、ある種の限界があるのだろうか?とつい考えてしまった。また、一期一会ともいうべき、幾多の弟子たちとの関わりは、まさに古の賢人を巡るエピソードを思わせるもの。師匠と弟子との関係はかくも一筋縄ではいかないものか?
読了日:05月09日 著者:若松 英輔
https://bookmeter.com/books/12588032

■女子と就活――20代からの「就・妊・婚」講座 (中公新書ラクレ)
基本的に就職を控えた女子大生向けだが、女子を取り巻く就職、及び結婚、妊活のリアルは男子にとってもリアルである…ということで、男性が読んでも得るものは少なくない。また、企業及び大学の就職担当者も一読すべき。それに本書のテーマは社会学的様相も帯びているのでは?本書が出て早六年。その間に女子を巡る労働環境は更に色々な様変わりをしているだろうが、本書で問われている問題は今日にも通じると思われる。今後、同じ趣旨の本が出てくるのだろうけれど、その内容がどんなものになるのか?それは女子だけではなく、日本の問題である。
読了日:05月08日 著者:白河 桃子,常見 陽平
https://bookmeter.com/books/5544815

■聖書入門 (講談社選書メチエ)
キリスト教が根付いている国とそうでない国との落差を改めて感じた…というのが第一印象。確かに新旧約聖書の内容をかなり手際よくまとめてはいるものの、キリスト教及び聖書への予備知識が一切無い人向けとは到底いいがたい。ある程度聖書に親しんできた人が知識を整理するためのものではないか?と個人的に思う。とりわけ、信者にとってもとっつきにくい旧約聖書については、もう少し突っ込んだ説明が必要だったのでは?聖書の内容に関連した、各種芸術作品を紹介しているのも興味深いが、このあたりにも日本と西洋との落差を覚えてしまう。
読了日:05月08日 著者:フィリップ・セリエ
https://bookmeter.com/books/11227613

■いとも優雅な意地悪の教本 (集英社新書)
「何を言っているのか自分でもよく分からない」。著者がよく繰り返す言葉だが、本書ほどその言葉が当てはまるものはなかったのでは?という気にさせられる。それなりに面白かったり、「なるほど」と思うところもあるのだけれど、「結局何だったの?」という疑念が湧いてしまう。そこは著者自ら開き直っているのだから、読者としては脈略のない細切れの話から、自分なりに吸収できるものを見つけていく他はあるまい。それこそが著者一流の意地悪なのかもしれない?とりあえず、意地悪というのが、ある種の嗜みであることは心にとめておくべきかも?
読了日:05月07日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/12251855

■遥かなる水の音
これまで読んだ著者の作品の中でも、出色の出来…と思っていたら、複数の賞を得たということで納得。著者お得意の複数の登場人物のモノローグで織り成されるというだけでなく、そこに死者の声に参加させることで、より物語に厚みを増している。異文化との接触、同性愛をめぐる葛藤、男女間の微妙な駆け引き…異国の地で織りなす様々な人間模様をここまで鮮やかに描き出す著者の筆力は只者ではないと思う。当初はただの嫌味なフランス人でしかなかったジャンが徐々に周囲の人達にその優しさが理解される過程が印象的。またラスト近くの展開が感動的。
読了日:05月03日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/572187

■日本文学の大地
「面白いけど、何だかな…」今回もこれまでと同じ印象を抱いてしまった(笑)。確かに、著者のアクロバティックな読みは、非常に刺激的なのだけれど、「果たしてそこまで言っていいのか?」という疑念がどうしてもわいてしまう。逆にいえば、こういう大胆な読みに対して、既存のアカデミズムが沈黙を守っているという旧態依然的なあり方が問題でもあるけど。個人的には津島佑子の作品の原案となった「夜の目覚」がとりわけ興味深く読めたか。色々と問題があるにせよ、日本の古典文学がいかに豊穣な世界を孕んでいるかを知るにはうってつけではある。
読了日:05月02日 著者:中沢 新一
https://bookmeter.com/books/9261579


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