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2018年06月02日23:16

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世界の鋤田さん

写真家鋤田正義氏のドキュメンタリー映画SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬を
観て来ました。

最近気力がなくてこのミクシー日記も随分と久々です。
たまに文章を書くと文系出身者でもない自分はスラスラとは文章が思い浮かんで来ないのが
痛い所ではあります。


僕がわざわざ解説するまでもなくTレックスの写真やデヴィッド・ボウイなどの写真で世界的な
知名度を誇る日本が生んだ偉大な写真家さんなんですが僕は過去鋤田さんに二度お会い
したことがありその都度日記に書いた記憶はあります。

最初にお会いしたのは確か鋤田さんの写真展でその時はカメラマンの服装でカメラを
持っていたのもあったのかもしれませんが、有名人特有のオーラみたいなのはありました。
二度目はディスクユニオンで自伝のサイン会があった際に新宿のユニオンで、パンタさんと
一緒にトークイベントがあり、その後に自伝にサインをして頂きました。

その際は最初にお会いした時と違い、カメラを持っていなかったからスイッチが入って
いなかった為か、終始リラックスモードで物腰の柔らかい紳士的なおじいちゃんという印象
だったように記憶しています。

アーティストを称えるドキュメント映画ですから、当然鋤田さんの人柄や仕事ぶりを熟知している
関係者が証言し何が凄くて何が素晴らしいのかを説く映画になるのはこの手の映画ならどんな
映画でもそう大差はないんですが、この方は特にデヴィッド・ボウイとの仕事が有名ですが
何故にボウイがご本人も英語があんまり話せないとよく仰っていますが、片言英語の東洋人に
これほど心を許し人々の記憶に残る素晴らしい写真を撮り続けられたのか僕は自伝も
読んだりしてそれなりに鋤田さんの人となりに触れてきたつもりだったのですが、この映画を
観て自分はかなり表面的な部分しかわかっていなかったことがよく理解出来ました。

ボウイのポートレイト写真を撮ったプロの写真家さんは世界中で100人以上いたらしいですが
鋤田さんの他にもミック・ロックなども有名ではあるんですけど、何故に鋤田さんだけが特化
してボウイを撮った写真家として有名になったのかそこの部分が正直謎ではあったんです。

僕は全然詳しくはないんですが、日本人のギターリストのMIYAVIなどもこの映画に出演
していまして鋤田さんは一緒に仕事をしてるシーンもあるんですが、自分の年齢の半分にも
満たない言ってみれば若造のNIYAVI氏に対してもまったく偉ぶらず敬語で話していましたし
劇中でもここが自分の反省点であると何度も口にしてる箇所がありました。

どんな人と接していても腰が低くてまったく偉ぶらず自分の仕事に対しても第三者的な視点で
恐ろしく客観的に自分を俯瞰し世界的なアーティストなのに驕る姿も微塵もないと!
まあ超人的に頭も良いし映画監督のジャームッシュも言ってましたが、好奇心に充ち溢れ
観察眼もあり人間も出来てるから長い間第一線で活躍し続けられるんだろうなあとは
僕みたいな凡人でも当たり前に嫌と言うほどわかりましたよ。

僕は写真の素人なので専門的なことはよくわからないのですが、それでも鋤田さんの写真が
他の写真家とはまったく違うスペシャルなことぐらいは理解はしています。


この映画は技術的にとか芸術的にどこがどのように優れているのかそれを解説する写真に
精通している人が観ないと何を言ってるのかわからないように出来ているのではなく
何で様々な偉大なアーティストと仕事をしても、その都度印象的で美しい写真を残すことが
出来たのかその最大のポイントが何であったのか、そこの所に上手にフォーカスが絞られて
いるように感じました。


先ほども書きましたが、英語もさほど堪能でない鋤田さんがボウイと何であそこまで公私共に
信頼し熱い友情も交わしていたのか、なるほどこういう人ならボウイが生涯の盟友のように
感じるのもわかるなという気がしました。映画を観ると彼らはある意味似た者同志だから
お互いを強くリスペクト出来たからあんなに高い次元で至高の芸術作品が創れたんだと
いうのが本当に本当にパズルのピースが組み合わさるかのように合点がいったんですよ。
僕の頭の中ではですね。

様々な素晴らしい写真を撮って来た方なので、ボウイよりYMOのアルバムジャケットの方が
印象深いんだと仰る方もいるでしょうし人それぞれの鋤田像があるのかもしれません。
しかし僕はマーク・ボランの写真よりYMOの写真よりボウイの写真が印象深いと思ってる口
なので、個人的には何故にボウイがあそこまで鋤田さんには心を許したのかがとっても
よく理解出来たのが一番のこの映画の収穫だったんです。


しかしまあ日本人の方なのに、日本より海外での方が知名度も人気も高いように感じましたし
写真展を海外でやっても鋤田さんが登場すると海外のファンの方々が写真を撮ったりサインを
ねだったりする様子が伺えます。

海外じゃもう伝説のスター扱いですが、日本だと音楽家や写真家などが文化人として人々の
生活に浸透してないなあと映画を観て思いましたね。映画でフィルムに映る外国の方は
若い人も大勢いましたし次の世代に人気と尊敬が伝わっているように思います。
何だか日本人が主役の映画を観てる気分にイマイチなれなかったのが、残念な所では
あったように思います。


日本では確か僕の記憶だとAKB48のMVだったかな?の監督なども仕事として鋤田さんは
こなしていたように思いますが、AKBのMVを観てファンになったように見える若い世代が
映画を観ている観客にはほぼいるようにも思えませんでした?

8割以上の方が僕より年長者で、日本って文化とか芸術が日常生活のレベルまでNext Dayな
世代につながっていかない文化的に貧しい淋しい国なんだと感じてがっかりもしました。
いつもいつも昔から思ってるんですが、こういうの何とかなんないもんですかね?

あとマジでびっくりしたのが映画なのに、パンフレットがなく普通に本屋さんでも売ってた映画を
観る前に僕も買っておいたSUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬の単行本がパンフレット
代わりのようです?一応映画館でも売ってはいましたが、今までの人生で映画のパンフが
映画館に行かずに買えるというか映画公開前に手に入ったことなんか一度も経験が
なかったので、店員さんにパンフレット下さい!と言ってしまいそれがそうですと説明されて
しどろもどろで、既に持っていた自分はならいいですと弱弱しく答えました。。



映画ですから普通は起承転結がありミック・ロックの映画を観た時もドラッグに溺れて破産
して落ちる所まで落ちてまた這い上がったとか、そういう展開はこれネタバレになるのか
わかりませんが、先ほども書きましたが人格者の鋤田さんにはまったくの無縁ですので
あくまで映画という視点だけで観ると盛り上がりもヘッタクレもないので、全然面白くも何とも
ない映画ではあると言えるのかもわかりません?

なので観る人を選ぶ映画なのかもしれませんが、僕には感動的で人として尊敬して見習うべき
所の多い映画だったと感じています。僕が同じ偉業を成していたら200%天狗になって傲慢に
なりその後落ちぶれまくってるに違いない怖いなあと思いながら観ていました(笑)


鋤田さんの関係者及びリスペクトしている方々が無数に出演してコメントを寄せていますから
鋤田さんに少しでも興味がある方にはお薦めの映画だと僕は思います。
未だ枯れてる様子は画面を観る限り微塵もなかったので、これからも素敵な写真を拝見出来る
ことはほぼ間違いないように思います。映画で78歳だって仰ってましたよ。
しかしまあ空を飛ぶ鳥の如く自由でパンクなカッコ良すぎるおじいちゃんでありました♪
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