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2018年05月29日16:52

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命の使い方

命の使い方。
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ある町に、とても信心深い人がいました。その人は欲しい物が有っても我慢して、家族の為にお金を使っていました。なぜなら自分を優先する様な身勝手な人間を、神がお救いになる筈が無いと思っていたからです。

近所の人がお洒落してパーティに出掛けるのを見ては、嫉ましさに蓋をして「あんな事をしていたら、いずれ天罰が下るに違い無い。面白おかしく生きてる人間を、神がお赦しになる筈が無い」と蔑んでいました。

服屋の店先に素敵な衣装が展示されているのを見ては、買いたい衝動を我慢して「贅沢する人間を、神がお認めになる筈が無い」と言い、躊躇無く購入している買い物客に対して「無駄遣いだ」と苦々しく思っていました。

全ては天国へ行く為だと自分に言い聞かせ、必死に我慢し、耐えていました。その度に周囲に対する怒りや妬みは肥大して行きましたが、「神は全てをご覧になっている。あいつらは必ず地獄に堕ちるんだ」と考えていました。

やがて寿命が尽き、この世を去る時がやって来ました。「これで漸く天国へ行ける」と大喜びしたのも束の間、連れて来られたのは何と、辺り一面、真っ暗で闇に覆われた地獄だったのです。驚いたその人は、神様に大声で弁明しました。
「私は生きている間、欲しい物も買わず、行きたい場所へも行かず、やりたい事も我慢して家族の為に尽くして来ました。それなのに、なぜ私が地獄にいるのですか!地獄へ行くべきは、楽をして何の犠牲も払わなかった連中の方では無いのですか!?」

すると神様が現れ「だからお前は地獄に堕ちたのだ」と言われました。

「!?」信心深いその人は訳が分かりません。今まで必死に神様に気に入られる行動を選んで来た筈だからです。

しかし神様は続けます。
「私はお前に命を与えた。そして凡ゆる幸せ、豊かさ、喜び、楽しい経験、美しい物を用意しておいた。なのにお前は、それら全てを”下らない””贅沢だ””けしからん”と言って踏み躙り、蔑ろにして来た。私が与えた人生の全てを、他人への怒り、憎しみ、嫉妬、侮蔑に費やして来た。私が与えた命を、お前は無駄にしたのだ。これを神に対する冒涜と言わずして何と言うか?」

今まで「こうあるべき」と思い込んでいた正しさを真っ向から否定され、言葉も出ません。全ては神の愛だったのに、それと気付かず何と勿体無い事をしたのかと後悔に押し潰されそうです。知らない間に涙が溢れていました。

「お前は今、自分を責めているが、私は誰の事も責めはしない。例え間違った道を選んだとしても、私は誰の事も見捨てはしない。さぁ、顔を上げて周りを見なさい」

涙でぼやけた視界で辺りを見回すと、先程とは一転して、そこは光に満ちた世界だったのです。
「!!」

「驚く事は無い、お前は最初から天国にいた。しかし他人を責め、自分を責めていた為に光を見失っていたのだ。お前を地獄へ堕としたのは他でも無い、お前自身だったのだ」

神の愛の深さを感じたその人は、やっと自分のして来た過ちも、他の人が選んだ生き方も受け入れる事が出来ました。全てはただ、神の愛なのだと腑に落ちた瞬間でした。
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この話はキリスト教圏の寓話なので、冒頭の「信心深い人」は「敬虔なクリスチャン」と有りますが、日本では馴染みが薄い為、表現を変えています。

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