工場の新人として採用された若者2人…益田と鈴木は、どこか暗い陰を引きずっている。益田は理想に燃える元雑誌記者。上司を殴って業界を去り、肉体労働者に身をやつしている。いっぽう鈴木の方は、過去は全くの謎。寮でも周囲と距離を置いて、誰とも親しくならず、最初から同僚たちに嫌われてしまう。益田はそんな鈴木の心を開き、次第に「友達」と互いに認識し合う仲になっていくが、ある日益田は、鈴木がその昔幼児を惨殺した〈少年A〉であることに気付いてしまう…
「友罪」、観ました。
以下、ネタバレのために家族を解散したのにお前が家族作ってどうすんだ…
瀬々監督の映画です。「ヘブンズストーリー」を見た時に、あぁ、この監督は犯罪被害者の心に寄り添う薬丸岳的視点の人なんだなぁと感じたもので、今回いよいよ薬丸岳原作を映画化と知り、そのシナジー効果に相当期待して臨みました。
生田斗真のアイドル臭が消えない演技はハナにつくものの、瑛太の狂気を孕んだ眼と喋り方・佇まいには圧倒されましたね。
しかし、よかったのはその一点のみ。後ははっきり言ってグダグダで、残念ポイントのてんこ盛りです。
ヘブンズストーリーのような長尺ならまだ描きようがあったと思うんですが、とにかく佐藤浩市と富田靖子のパートが雑で薄い!群像劇にするなら、益田&鈴木の部分とバランスを取ってほしいところですが、あくまで薬味程度の配分で、大声上げて「はいここ、クライマックスです」という解りやすい演出で濁すという適当さ。大声と言えば、予告でいかにもな見せ方をした生田斗真の絶叫も、かなり陳腐で意味がない。夏帆のAV女優役も、昨今のコンプライアンス風潮のせいか、ソフト過ぎます。「北の国から」の宮沢りえのほうがもっと頑張ってたぞ。
安い演出、中途半端な物語構成、無理矢理な群像劇感、とにかく欠点が悪目立ちする作品でした。イマイチ!
1973年ローマ。石油王JPゲティの孫息子ポールが誘拐された。身代金は1700万ドル。ゲティの息子と結婚しポールを産んだものの、ゲティ家とは距離を置いていたアビゲイルは、息子の命を救うため、ゲティにカネを払ってくれるよう頼みこもうとするが、ゲティはビタ一文支払わないとマスコミに発表してしまう。そしてカネの代わりに元CIAの交渉人チェイスを派遣して、犯人グループの説得に当たらせるのだった…
「ゲティ家の身代金」。リドスコの実録ドラマです。
以下、ネタバレの身代金。
大富豪の怪物っぷりを楽しむ映画としては、「フォックスキャッチャー」なんてのがありますな。本作のゲティは、フォックスキャッチャーのデュポンと同じポジション。常識が通じない孤独な怪物ですよね。クリストファー・プラマーが、まさに名演。プラマーさん以外に説得力ある人いないだろうと思わせて、代役とは信じられません。アビゲイル役のミッシェル・ウイリアムスは安定の演技。話もまずまずスリリングだし、退屈はしない映画ではありました。
しかし…
実話ベースだからやむを得ないとは言え、若干物足りなさもありますね。アビゲイルとゲティの対立は思ったよりソフトだし、ゲティからカネを引き出す下りもカタルシスが無いし。チンクアンタの掘り下げも弱い気がしましたしね。イタリアのカラビニエリが無能ゆえのハラハラ感は良かったですけどね〜。あと、やはりリドスコらしくタブー無視の耳チョンパはナイスでした。
イタリアが舞台なので、それなりのスケール感はあるし、70年代再現度も高いし、見応えはあります。まあまあオススメ。
あ、あと見る影もない風貌でティモシー・ハットンも出てきます。何役か分かったらエライ!
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