生ぬるい会社というと、従業員に優しいホワイト企業のように思えるが…
とんでもない。その逆だよ。
うちのオフィスの入っているビル内で空調工事が始まる。
もちろん、一部止めるだけだろ…と思ってたら、
So Sweetだった事に気付かされた。
オフィス全体のエアコンが使えんやと…
それも、6月頭まで…!?
殺す気か!!と所内大ブーイング。
冷房の効いていないうちのオフィスなんて、
居心地の悪さは監獄以下だ。
…まあ、監獄にぶち込まれる経験はしたことないが。
こうして、夏日なのに冷房のない、地獄生活がスタート。
「俺しばらく直帰するからな。こんなクソ暑いとこで仕事なんかできるか!」
半ギレで出ていくマネージャー。気持ちはわかるが、電話代が高くつくぞ…
俺だって外に出たい。
営業車だろうと電車だろうと、冷房なしに比べりゃ天国だ。
しかし、来週の東京行きを控え、準備に追われ、出られない…
今度は業務の人が変わるから打ち合わせして、しばらく営業兼事務でサポートしろだと…
だ・か・らぁ!!それを大阪から呼んでやらせる理由が分からんっての!!
東京にも人いるだろ?
こんな事なら、最初に東京に行ったときにタダ酒飲めるからって、
部長の誘いに乗らなきゃよかったと今更ながら思う。
そして今になり、「ずいぶん飲ませてやったよな?女の子とも結構遊ばせてやったよな?」と、
その借り返せとばかりの便利屋扱いだもんな…
ムカついてきたら、余計暑い。
こちらの殺気を感じ取ったのか、事務の子がオフィスの奥から、
骨董品みたいな扇風機を出してきた。
「お、恐ろしい旧式やな…発火とかせんやろうな?」
「大丈夫ですよ…たぶん。」
早速、最強にして回す。
これで少しは涼し…
「…な、生ぬるい風が…」
幽霊でも出てくるんじゃ…と思うような生ぬるい風がオフィスを流れる。
余計空気よどむわ。
「ま、まあ、ないよりはいいよな…ありがとう。助かった。」
出してくれたのに文句は言えず、礼を言う俺。
扇風機で気づいた俺、ポツリ。
「しかし、よく扇風機なんてあったな。」
「うちのサーバー、熱くなりやすいんで、扇風機で風を送ってたんです。」
「…それ、かえって危なくねえか?」
新型のサーバーをクールダウンさせる為に、骨董品のような旧式の扇風機…
しばらく、違和感が消えなかった。
今はただ、このオフィスをクールダウンしてほしいもんだ。
東京から帰ってきたら、涼しくなっとけよ。
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