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2018年04月23日04:43

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濱野智史のAKB論@アイドル学会

アイドル学会(第3回)
4月21日(土) 法政大学市ヶ谷 ゲート棟G401教室

『前田敦子はキリストを超えた 宗教としてのAKB48』の著者である濱野智史氏の体験的AKB48論。
濱野氏がAKBにハマっていた2011〜12年くらいの体験談が中心。
講義全体を客観的に記録したものではなく、個人的に印象に残った部分を中心にまとめたメモです。

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今日、これからする話はバランスをとるのが難しい。
アイドルで卒論や修論を書こうと思っているような学生さんには基礎知識に近い話。
一方、アイドル研究にはそれなりの歴史があるが、研究者の多くは「メディアを通じたアイドル」を研究対象にしている。AKBで言えば、総選挙は、マスメディアを通したAKBの典型例。しかし、今日、話したいのは、マスメディアを通さないAKB、現場のAKBについて。

●AKBのファンは大きく3つに分けられる。
  在宅派      メディア、TV、YouTube
  接触厨(レス厨) 現場(ライブ)
  楽曲派(地蔵)  あくまでも曲が好き

濱野氏は、2011年に在宅からスタートして、2012年1月を機に接触厨になった。

●好きになるメンバーが単数か複数か
  単推し
  箱推し
  DD(誰でも大好き)

ジャニーズのファンだと1人を10年以上応援することが多いように感じるが、AKBファンの場合、DDが多い。

●接触厨=認知厨
握手会というのは、1人当たりの持ち時間が10秒。
最初は、訳も分からず握手をするだけだったが、そのうち、この10秒間で有意義な会話をするためにはどうすればいいかを、考えるようになる。単なる握手ではなく、「関係性を作る」ということが、握手会の目的(本質)になる。

その結果、握手会は、10秒間で1000円の攻略ゲームのようになり、攻略情報や攻略本が出回るようになる。2011年に『AKB48握手会完全攻略ガチマニュアル』。10秒間というのは意外と長く、上手くやれば3往復くらいの会話ができる。

これが進むと、アイドルに認知されたいという自己承認要求が出てくる。実際、握手会では、奇抜な格好をした人や名札を付けている人が一定数いる。彼らはアイドルに自分のことを覚えてほしくてそうしている。認知されると、仲間に自慢する。ドヤる。

キャバクラと同じと言われれば、その通り。ただ、濱野氏としては、数千円も払ってだらだらと話すキャバクラに興味はない、1000円で10秒間の方が自分に合っている、とか。(^^;;

●ぱるる(島崎遥香)の話
ぱるるといえば、握手会での塩対応。男性に対しても女性に対してもそっけない態度で、握手だけしている。ちょっとニコリとするのは相手が子供の時くらい。
濱野氏は、AKBの著書を出した際に楽屋かどこかで挨拶させてもらった。その時に「よく来ていますよね?」と言われて、自分が認知されていたことを知った。その後は、握手会でも、自分の時だけ親しげに話しかけてくれるようになった。

ちなみに、ぱるるにとっての最後の総選挙が8位に終わった数時間後に、濱野氏に娘が生まれた。もちろん、名前は遥香ではないし、娘をアイドル業界に入れたいとも思わない。

●AKBの総選挙
票数が多いのは上位の16人くらい。それ以下のアイドルは、投票数が多くても投票した人の人数は数百人程度。しかし、数百人のファンが1人のアイドルを支えているという感覚が重要。「自分たちが支えている」という実感が得られる。

●AKB劇場
劇場の収容人数は数百人なので、営業的にはほとんど利益が出ていないと思われる。
座席の前の方には、接触厨・認知厨のファンがいて、後や端の方に楽曲派のファンが腕を組んでみている(地蔵と呼ばれる)。
劇場で、ぱるると至近距離で目が合った時があり、「彼女は自分のことを見ていた」と感激した。

●AKB以降のビジネスモデル
AKBや乃木坂はメンバーが多く100人規模。
メンバーが増えるとマネージメントが破綻する。全員にマネージャーをつけることは不可能。全国握手会のスケジュール連絡も困難で、メンバーもホームページの告知で知る。一般ファンと同じタイミング。

これは簡単にマネできないので、これに追随しようとすると以下の2パターンに分化する。
  地下型    メンバーは5〜6人。CD販売と握手会が必要。
  ライブ型   ライブだけやる。

●考察厨
劇場などに行って考察・評論をブログにアップする人のこと。一時期より、減ってきている。
AKB評論家などもそうだが、数が多くなってくると全部見切れないので、評論が成立しなくなるのではないか。今のネットはTwitterなどの短文が主流になっているので、長文の評論は流行らないのかもしれない。

●秋元康
AKBのことを、突き放して、他人事のように見ているところがある。
一見なにげない歌詞に思えるが、よく読み込むと感動してしまうことが多い。一人ひとりのメンバーをよく観察して、それをちょっと変換して歌詞にしている――と言っていたことがある。
2チャンネルなどに書いてあることをネタに使ったりする。ラジオ番組のハガキを読むような感覚で、2チャンネルも読んでいるのではないか。
初期のAKBは、現在のAKBとはかなりテイスト・方向性が違う。

(稲増先生)
10年以上前に、秋元康を招いて連続講座をやったことがある。その時に「今度またアイドルをやる」と言っていたので「おニャン子の後、何度も失敗しているのに、また言ってるのか」と思っていたら、AKBが大成功したので凄いなと。(笑)

(感想)
濱野氏本人も言っていましたが、今回は(現場を知らない研究者との)情報の共有が目的とのことなので、アカデミックな要素はあまりありませんでした。個人的には、1000円で10秒間のゲームというのが、興味深かったです。

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