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2018年04月07日17:34

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小説・守護せしもの あいまえしは・・

以前の作品です^^; 三国志を元にしたファンタジー・・関羽将軍の赤兎馬が美女に変身して・・

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これは遠い昔の物語

昔も今も人びとは 生きるが為の争いを繰り返す

勝ち戦の中 今度は森の中で残党を追いつめる
「兄者!」「張飛!」「この張飛さまの相手など百年早い!」

しかし相手は思いのほかに強くて 小柄な身体ながら
素早い動きで圧倒している。隙を見ては相手は 刀をつく 切り返しては銀色に輝く刀で引き裂こうとする。

今度は高々とジャンプして
すぐ横にいた相手に向かい
近くまで相手の身体を滑り込ませて、横腹の鎧の継ぎ目に刃を突き刺そうとする。

長くて黒い髭が揺れた
「関羽様!」「兄者!」
「うっ!」 危うく僅かに身をひき 向きを変えると
今度は 青龍刀を短く持ちかえて その刀を振り下ろす

相手の兜が二つに割れて
ぱらりと長く艶やかな黒髪が宙に舞う・・整った美しい女の顔があった!

「女だと!」
その瞳は海のような青・・青い瞳

現世を一瞬忘れる程の
この世ならぬもの・・

漆黒の髪は揺れ
瞳は輝き妖しい光を放つ・・

足元の大地がひび割れ
ポカリと大きな穴があく・・
二人の将や兵士達を
暗い虚無に似た穴が飲み込もうする!

兵士達の悲鳴
「兄者!」「張飛!」

ありえない事・・動いている者達の時が止まり

暗い穴に墜ちる事なく
宙に浮く・・

浮いたままの姿で目を見開き・・絶句する「張飛・・」
やっとの思いで 言葉をつむいだ・・。

「私はささやかな力を持つ者・・僅かながらの力で貴方をお守り致します」

柔らかな女の声が聞こえた・・
乗っていた赤い馬

伝説となる名馬・・赤兎馬
瞳が紅く輝き 緩やかに飴細工の如く形を変える

女の形状に姿を変えて変身する
それも素晴らしく美しい女の姿に

その瞳は紅宝・・紅くもえたち煌めく

紅玉姫」と呟く関羽将軍・・

その身体は 彼女の力で 空に浮いた状態

彼女が肩かけていた 横長の布が
生き物のように絹が触れ合う心地よい音をたてながら
緩やかに身体に巻きつきそっと大地に身体を下ろす

他の人びとも同じくして

関羽将軍と違っていたのは
他の者達が
まるで人形か彫像のように
時を止めていた事のみ

ほんの少しの間だけ
他の方々には時を止めておきました・・

微笑む紅玉姫


カチリと刀の音がする
風をなぐ音

時を止めた魔法の中で動く戦士・・

刀の先には、紅い瞳の娘
紅玉姫
変身した赤兎馬・・ほんの少し目を細め
視線を相手の動きを見つめ

笑みさえ浮かべたまま
瞬く間に両手を広げ

両方の手先には光る玉・・光る玉は白銀に輝く剣となる。

相手の剣を受け取るべく
自らの剣を頭上で斜めにクロスさせた。

すんどめ・・

紙一枚の所で音もさせずに
相手の剣は止まった。


カチリ!
相手の剣は動きを変え
今度は 紅玉姫の胸に向けて
突き刺そうとする!

紅玉姫は笑みを崩さぬまま
両手の剣を今度は 目標の自分自身の胸元にクロスさせて

相手の剣先を防ぐ!

剣が触れ合う小さい音

実際の所、相手も本当は殺す気持がないらしく
またしても寸前で剣を止めていた・・。

相手はくるりと回って踊るように身をひる返す
青い瞳の娘の黒い髪が風に・・
その動きに揺れた・・。

彼女もまた 何処か愉しげな笑みを浮かべていた・・。
「久しぶり・・紅玉姫・生きていたのね!」

のんびりとした口調

しかし!剣は再び彼女に向けられ 横に振られ、彼女に切りかかる・・。

寸前で紅玉姫は 身体を上半身を後ろにそり返して
剣を避ける!

「碧姫! 私達は敵同士になってしまったの?」
淡麗な顔を少し歪め
問いかけた・・。

紅玉姫の問いかけに
碧姫と呼ばれた 黒髪 青い瞳の娘も 表情を硬くして答える

「そのようね・・」青い瞳
哀し気な目・・

その間も手先を休ませる事なく
剣を振り続ける・・


「本当に殺しあいたい?」ため息と哀しい表情・・。

「いわば姉妹なのに・・」

「・・私は、ここで貴方達を足止めするように命じられているの」

・・あの方達は 関羽様の敵に味方するの?

呟くように・・問いかける紅玉姫・・

華陀さま・・何故?

・・どうするの? 私達は
あの方々を守る為に造られた者・・
守護すべき者

長い月日・・はぐれて 行方知れずに
なっていた紅玉姫

貴方はこのまま 敵側につき 私達と離れてしまう気?

紅玉姫・・優しく呼ぶ
低い男の声・・。

ジッと・・問うように
静かな表情で見つめている

関羽様・・


私は関羽様のもとに・・

・・闘えば どちらが勝つ?
そう問いかけた・・

黒い美しい髪を風になびかせて
青い瞳の娘は持っていた刀を大地に突き立てて
その問いかけに答えた

ため息一つ

おそらくは紅玉姫・・

能力は彼女が上だから
と静かな口調で 碧姫は答える。

・・逃げるがいい・・
逃してやれ、紅玉姫

関羽様・・

長きに渡りそなたは良く尽くしてくれた
そなたも その青い瞳の娘と行きたいなら・・行くがいい・・
我は構わぬ・・

いいえ!私は貴方様のお傍におります。

紅玉姫

行って!碧姫
今は刃を交わす事はしない!

何か言葉は言いたげにしながら

碧姫は三度振り返り去ってゆく・・

良いのか?まだ今なら・・

良いのです・・
今は貴方の傍に

そう微笑み・・再びその姿は赤い馬へと変化をとげた・・。

狐につままれたかのように
何事が起こったのかとまわりの人びとは首を傾げ

ただ 碧姫が大地に突き立て残した剣が太陽の光を浴びて煌めく

風だけが

周りの木々のこの葉を
揺らしては小さな囁きのような音を奏でていた。


FIN



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