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2018年04月07日12:21

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小説・冬の王の物語・・2

前日記に続き・・
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村や小さな街の人々に

一夜の祭りが来る事を・・ 宴の知らせを・・

男の手から生まれるのは
小さな灯かりの玉

幾つも
幾つもの・・光の玉

光の玉は手を離れると
夜空に浮かび

そして氷で出来た城を 幾つもの灯かりが
照らしだす


氷の彫像がそのまま動き出したような馬

その馬に乗った男が、
ひょいと杖を振るい 大地を杖で叩く

すると湖の水が 振動で揺れ まるで鉄砲水のように
弾けて 湖の空中に浮かぶ城
その城を めがけて 飛び上がる

水はそのままの形で氷つき
城の下部分に植物のツタのように絡みつく・・

小さい氷の生き物達が
一斉に集まり
固まった鉄砲水の氷に手を加えて、階段の形に仕立てあげる・・。

鷹は じっと男を見ている。

「・・そうさな、100年前の王達にくらべるなど
我が魔力は・・・微々たるもの 」

「その魔力により
大地は豊穣に満ちあふれ
癒しの魔法は多くの病から人達を救い
長い長寿と繁栄を得た。

そう・・私の出来る事など
微々たるもの・・。 氷の城の宴と 冬の嵐から人々を守る魔法・・」

「前の王は、冬の中でも
果実が実り続ける永遠の森を一つ残された・・。」

「我は何が残せるだろうか?」王は寂しげにつぶやき 思う・・。


「・・次の王ならば
もっと多くの事は可能だろうか・・?」

鷹が 魔法を操る男の腕に止まる
まるで同じ姿をかたどった 氷の鷹も近くを舞う・・。

その顔に寂し気に笑みがこぼれる。


「そう・・100年前の王に比べ 私の出来る事など
ささやかだ・・。」

「たった一晩の贈り物が せいぜいだ・・。」
自嘲ぎみにつぶやく冬の王・・。


そして・・ふと思い出す・・私を憎む あの魔女の事を・・
失った愛しい妃と同じ顔をした魔女・・雪の女王

「あの魔女めは、我が結界で閉じ込めておる 氷の宮殿の中で
私の事を どれだけ、笑っておるやら・・・。 」

氷の鷹達が空を舞う・・。

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