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2018年04月01日18:24

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3月の読書記録

前半はそこそこ調子良かったけど、後半は旅行に行ったり、イヴェントや急な用事が重なったため、思うように読めず。4月も色々とありそうだけれど、頑張って読もう。

2018年3月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5377ページ
ナイス数:124ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造 (朝日新書)
何かと顰蹙を買ったり、一笑に付されそうな本だな…でも、やっぱり著者の知見には耳を傾けるべき価値があると思う。後書きで述べられいるように、何かと脱線が多くて、分かりにくいが、でもそこで「これって何だろう?」と考えること。それこそが、今後必要とされるべき知性ではないか?という気がする。それから、特にゲンナリとさせられたのは、止まる所を知らない、経済戦争。あえて、理想論を言わせてもらえば、「もう少し、隣近所の人のことを考えたら、もっとうまくいくのでは?」と思ってしまう。つまり、新たなモラルが必要ということか?
読了日:03月31日 著者:橋本治
https://bookmeter.com/books/11812066

■認知症―専門医が語る診断・治療・ケア (中公新書)
認知症の種類や治療法や対応について易しく解説した良書。既知の情報も少なからずあったが、かつて得た知識を整理できたか。実際に高齢者介護に携わっている者として、認知症患者の対応の難しさ、財政やシステムの限界など、山積みされた様々な問題を改めて痛感。はたして人が長生きするということが、本当にいいことなのか?とさえ思ってしまった。とりわけ過疎地での高齢者による自動車運転という問題は、本当に深刻なもの。その問題の出口の見えなさについ暗澹たる気持ちになる。最終章で紹介された新たな取り組みがより前進することを願う。
読了日:03月29日 著者:池田 学
https://bookmeter.com/books/616783

■初期マルクスを読む
初期マルクスの思想をわかりやすく解説した良書。廣松を通してマルクスに接してきた者として、初期マルクスというのは、つい軽視しがちになるのだけれど、この時代のマルクスにも豊穣な思想をたたえていることを改めて認識。また、ヘーゲル哲学の強い影響下にありながら、それを乗り越えようとする若きマルクスの姿が感動的でさえあった。その一方でかつての教条的なマルクス理解や訳語の問題といったいわば負の側面にも言及しているのが興味深い。それから、マルクスの自然観という重要な概念を改めて認識したのも大きかった。マルクス入門に最適。
読了日:03月26日 著者:長谷川 宏
https://bookmeter.com/books/2377565

■みそっかす (岩波文庫 緑 104-1)
瑞々しい文体、独特にして絶妙な擬態音の使用、あたかもつい最近見てきたことを語るかのような細部にまで行き渡った記述…ただの回想記に終わらない、後の著者のキャリアを予想させるのに十分すぎるくらいのでき。著者後書きによると、相当苦労して書いたとのよしだが、大凡そんなことは感じさせず、さらっと書いたかのように思わせるのがまたすごい。これまで何度も触れてきた露伴との愛憎入り混じる関係、父母の不和、蓮っ葉だった少女時代のエピソードが、改めてぐいぐいとこちらに迫ってくる感じ。ぎくしゃくしていた母が見せる気遣いが切ない。
読了日:03月23日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/533499

■日本の覚醒のために──内田樹講演集 (犀の教室)
その内容の半分程は他の著作と被っている。講演によっては、以前読んだもの殆どそのままでは?というものさえある。でも、やはりその知見から得られるものは大きい。著者が繰り返し解く、霊的な物、目に見えないが、確かな手触りを与えてくる物への畏敬についての記述はとりわけ示唆を受ける。また、そのことを他人に伝えることの難しさを改めて痛感することしきり。いみじくもこんな時代にあっては。後、意外と興味深く読めたのは、本人もできがいいと自負している伊丹十三についてのもの。伊丹がそれ程、内田世代に強い影響を与えていたのは驚き。
読了日:03月23日 著者:内田樹
https://bookmeter.com/books/11962967

■人間 (岩波文庫)
読了するのに時間がかかったこともあって、理解の程はあやしいが、一読してこれは繰り返し読むべき良書だと強く思わされた。解説にもあるように、カッシーラー哲学入門書であるのと同時に、良質な哲学入門書である。こんな良い本だったら、もっと早くに読んでおけばよかったと後悔することしきり。副題にもあるように、「シンボル」を鍵概念として、様々な領域を読み解いていくことで、人間…ひいては哲学の全容が明らかにされていくそのくだりは、かなりスリリング。とりわけヘレン・ケラーの言語習得の解説は、まさに一つのドラマで感動的。
読了日:03月22日 著者:E. カッシーラー
https://bookmeter.com/books/12506

■ダンス・ウィズ・ドラゴン
恐らく著者としては異色の幻想的要素が強い作品。概ね面白く読んだけれど、若干爪の甘さが感じられるというか、ここはもう少し突っ込んで書いて欲しかったな…という箇所が散見されるのが残念。龍・ドラゴンを巡って四人の男女が織りなす物語。それぞれ複雑な過去を抱えた人物を巧みに交差させつつ描くのは著者の真骨頂なのだけれど、とりわけそのあたりの描写に食い足りなさを覚えたか。もとが雑誌連載をまとめたものだから、できれば本にまとめるにあたっては、加筆修正してくれたら、もっと納得できるできになっていかかも、と思うと残念かも。
読了日:03月22日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/4968644

■生の肯定
超然を目指し、あえなく挫折した男が次に目指すのは生の肯定。目標を変えても、当の本人が本質的にどうしようもなくずれているのだから、空回りするのは目に見えている。そのずれた認識と指向性に従って向かう先は言語を絶する…つって言語で表現されているのだけれど(笑)、とにかくとんでもないカオス状態。そして、そこには『宿屋めぐり』や『ホサナ』に通底する宗教観が伺えるのが妙。今更ながらに著者独特の世界観や言葉遊びの世界はこれからどうなるのだろう?と期待と不安が入り混じった複雑な気持ちを抱いてしまう。当分死ぬなよ、町田。
読了日:03月20日 著者:町田 康
https://bookmeter.com/books/12468136

■スピンクの笑顔
生きとし生ける者は全て死ぬ。当然このスピンクだって例外はない。しかも、自分で再三述べているように、大型犬は小型犬よりも寿命が短いという。でも、このシリーズを読み続けてきた者の多くはスピンクの死を想像できなかったのでは?という気がする。あの不器用で小心者の癖に見栄っ張りな主人ポチに呆れつつも、愛情を込めて語るこのシリーズがこんなにも早く終わりを告げるとは…こんなことを言ってしまうのは何だが、内容はともかくとして、キューティーによる後書きが全てを物語っているという気がしてしまう。ポチのバンド活動のその後は…?
読了日:03月16日 著者:町田 康
https://bookmeter.com/books/12261337

■星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)
一見平凡な家庭にも様々な…それこそ人に言えない事情がある。四人兄妹とその父親、そして孫という六人の人物の視点から紡ぎ出される物語。著者特有のベタになる一歩手前に踏みとどまった絶妙な伏線の張り方に、改めて感心。そして、女性でありながらどうしてここまで?と思わせるくらいに男性の描き方のうまさに舌をまく。とりわけ驚かされたのが、最後の重之の章。それまでは無骨なエゴイストという印象でしかなかった重之が実は深い傷を負った人間だということを克明に語った描写には胸が締め付けられた。後、曉と沙恵とのその後が気になる…
読了日:03月14日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/562244

■増補 幸田文対話(下)――人生・着物・樹木 (岩波現代文庫)
前巻に引き続き、やはり父露伴とのエピソードにどうしようもなく興味が惹かれる。厳格であるのと同時に憎めない茶目っ気を発揮する姿に、平成ではありえない明治の男を感じさせる。また、個人的にとりわけ印象深かったのは、美輪明宏との対話。ここでの美輪は多くの人のイメージを裏切る程男の部分をさらけ出しているのに驚かされる。それと同時に、繊細さと辛辣さ、強靭な意志が垣間見られるその言葉に、今日に連なる萌芽が見受けられるのが面白い。それから、着物や木を巡る対話も、平成の世では気づかないその視点に虚をつかれた思いがする。
読了日:03月12日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/5441055

■増補 幸田文対話(上)――父・露伴のこと (岩波現代文庫)
これまで小説、随筆を通して垣間見てきた幸田と露伴の父娘関係。それがここでは幸田の肉声を通して語られることになる。若い頃は何かと反発していたものの、見ているところはちゃんと見ていて、適切な言葉を投げかける露伴。そして、その露伴の最後を看取り、悪口を言いながらも、その一方で愛情を隠さない幸田。明治大正昭和という激動の時代を生き抜いてきた二人の姿は何とも言えない重みを覚える。また厳しいだけでなく、娘と推理ごっこに興じる露伴というのも、何ともお茶目で可愛らしい。こういう側面があってこその親子関係なのだろうl。
読了日:03月11日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/5313121

■ON THE ROCK 仲井戸麗市“ロック"対談集 (立東舎)
2段組で4百数十頁という大部だが、一気に読了。いやあ、面白かった!!というのと同時に、ほぼ全部の対談が「もっと語って!」と思わせられるもので、一抹の物足りなさを感じたのも事実。それにしても、あのチャボがテレビのMCを…と思うと感慨が湧く(笑)。とりわけ異色だったのは、橋本治。この人の著作で、面倒臭そうな人というのは、薄々感じてはいたけれど、それが予想以上だったのには、笑ってしまった。後、氏とチャボとの関係が垣間見られたのもトクした気分。それから村上秀一のぶっ飛んだ経歴には口あんぐり。続編がでないかな…
読了日:03月07日 著者:仲井戸 麗市
https://bookmeter.com/books/12266950

■さざなみの日記 (講談社文芸文庫)
著者親子の姿を反映させたと思われる、多緒子と緋緒子。一見淡々としているように思える生活にも、思わぬ波風が立つ。その日常を著者ならではの筆致で、巧みに擬態音を盛り込みながら描いていくその手際につい引き込まれてしまう。基本的にきつい性格でありながら、その一方で優柔不断な一面を見せる娘に淡い苛立ちを覚える母親という微妙な関係性に、時代は変わってもこういう親子は今もいるのでは?などと思わされる。後、印象的だったのが、悪い人ではないけれど、何とも言えず痛い家政婦の石山さん。この人が落ち着くところに落ち着いて安心。
読了日:03月05日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/451170

■猿のこしかけ (講談社文芸文庫)
巻頭のエッセイのタイトルが「平ったい期間」…この一見何でもない、でも常人には及びもつかない卓越した言語感覚が、本書の本質の一端を表している。また、他のエッセイのそれも何がしかキラリと光るものをたたえているのも驚き。個人的にとりわけ印象深かったのは、最後の「捨てた男のよさ」。勝手な推測だが、それ程豊かな男性遍歴に持ち主とは思えない著者が、あえてこのテーマのエッセイを書いたという事実に何かいわく言いがたい重さを覚える。それと印象的だったのが、他の著作でも垣間見られる著者と父親との関係。露伴の言葉が深く重い。
読了日:03月04日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/517056

■学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む
かなり刺激的な講義録で、ほぼ一気に読了。主題となる田辺元の「歴史的現実」は一読して、すっと内容が頭に入るものではないだけに、逆にある種の魅力をたたえているように思える。これは現代への警鐘として、今一度世にあらしめるべきものかもしれない。それと佐藤氏は何ども田辺を嫌な奴と表しているけれど、あれだけ人を魅了する講義を行ったのだから、それこそ悪魔的な魅力がある人物だったのでは?という気がする。現在にこれだけのイデオローグがいると思えない状況を鑑みるに、情けなさ安堵感が入り混じった、複雑な思いがしてしまう…
読了日:03月03日 著者:佐藤 優
https://bookmeter.com/books/12041554

■季節のかたみ
独り身として老年を送る…男女の性差はあるとはいえ、その予備軍として(笑)、何か身につまされるものを覚えた。その一方で明治生まれの人の胆力や感受性に「これは叶わない」とも思わされる。それから、これまで小説で読んだ、著者の離婚の経緯が、随筆というよりリアルな形で語られたのが、何とも言えず重たい。ただ、それもどこかバイアスがかかっているのでは?という疑念が拭えないけれど。後、とりわけ印象的だったのは、良い意味での物へのこだわり。百均商品にまみれた今日では想像もできないような、職人堅気への憧憬につい恥じ入る。
読了日:03月02日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/495588


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