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2018年03月23日22:14

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検証・メディア   NHKが再生できるかどうかは、安倍政権下の重要事件を一から独自検証できるかにかかっている  「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会の検証報告書」(2015年5月)の調査を 

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201803231849035






2018年03月23日18時49分掲載  無料記事  印刷用

検証・メディア

NHKが再生できるかどうかは、安倍政権下の重要事件を一から独自検証できるかにかかっている  「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会の検証報告書」(2015年5月)の調査を 


  安倍政権下では国会に提出される公文書が改ざんされ、法案のためのデータも組織的にねつ造されていた。これは氷山の一角かもしれない。安倍政権下での行政は安倍首相に喜んでもらえるように官僚や政治家たちが忖度して事実でも平気で捻じ曲げることに特徴がある。これは内閣人事局の存在によって官僚たちが内閣の意向を忖度するようになったからだ。したがって重要な事件については独立した検証をやり直す必要がある。

  たとえばシリアで湯川遥菜氏と後藤健二氏がイスラム国に人質に取られ斬首された事件で日本政府が的確な対処をしていたか、という問題である。湯川氏は2014年8月に、後藤氏は11月にイスラム国に拘束された。
  安倍首相が2015年1月に中東を訪問した際、1月17日にエジプトでイスラム国対策としてイラクやレバノンに2億ドル支援することを表明したことがイスラム国に日本人を処刑する口実を与えたと考えられている。さらに1月19日にはイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、共同声明を行っている。このこともアラブ諸国やイスラム主義者を刺激したと見られているのだ。あるいは少なくともイスラム国に日本人を殺害する格好の口実を与えてしまった。前年から人質に取られていた二人は翌20日に処刑前のオレンジ色の衣装を着せられ、その姿がインターネットで流された。

  「1月20日午後2時50分――。衝撃的な動画がインターネットを通じ、全世界にばらまかれ、蜂の巣をつついたような騒ぎになったが、NSC(国家安全保障会議)の主要メンバーである安倍晋三首相は中東歴訪中、岸田文雄外相、中谷元防衛相も外遊中で不在。イスラエル・エルサレムを訪問中だった安倍首相は慌てて会見を開き、人質の釈放を求めたが、このパフォーマンスは『外務省の大失態』とされている。」(朝日)

  ところが、2015年5月21日に公開された「邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会の検証報告書」である。これは検索すれば読むことができる。この検証委員会の委員長は内閣官房副長官(事務)であり、安倍政権内の人物である。であるが故に、先ほどの安倍首相の中東での言動がどのような意味を持ったのか、という点に関してこう述べている。

「 〇戦後70年の節目の今年、戦後日本の平和国家としての歩みを世界へ積極的に広げていくとの意志を、国際社会、特に、中東地域に発信することが重要であると考えられた。また、過激主義、テロや暴力の最前線に置かれている穏健な中東諸国においては、食糧支援、医療支援等、平和の道を歩んできた日本だからこそできることに対する需要は高まっていた。そうした中で、総理がこのタイミングで中東諸国を訪問し、中東地域の主要勢力との関係強化を図り、中東地域の平和と安定に対する強いコミットメントを表明したことは、時宜を得たものであり、日本の存在感を強めることにつながったと考えられる。
  ○ 総理の中東訪問を検討した時点で、政府としては、ISILにより、邦人2名が拘束された可能性が排除されないとの認識であった。ISILについては、随時関係省庁から総理をはじめ官邸に現状及び分析の報告がなされ、総理以下、ISILによる残虐な行為、恐怖支配の現状等を十分認識していた。その上で、仮に、ISILを恐れるあまり、これまで積み重ねてきた日本の対中東外交や人道支援を止めるようなことになればテロに屈することになり、決してすべきではないとの考えから、訪問を決定したことは、適切な判断であったと考えられる。」

  検証と言いながら、抽象的な弁解ばかりがやたらと目立ち、一読して空疎な報告書になっている。総理のエジプトでの発言が人質処刑の引き金になったにも関わらず、総理のテロとの闘いの宣言を絶賛する言葉が続く。これではいったい、なんのための検証委員会なのかわからない。日本人の人質の命をどうやったら救えたかがテーマではなく、そもそも報告書では冒頭から湯川さんや後藤さんたちは危険を認識したまま彼らの勝手な事情で出かけた点で、他の人質事件とは異なるということが議論の前提にされているのだ。さらにイスラム国に人質に取られたら、政府にできることはほとんどない、と言っているのである。そして、安倍首相のエジプト訪問とその声明に関する検証委員会の結論は以下だ。

 「 以上を踏まえると、ISILは自らに都合よく様々な主張を行うが、ISIL関連部分を含む総理の中東政策スピーチの内容・表現には、問題はなかったと判断される」

  国民もなめられたものだ。この検証報告書は自分たちがいかにベストを尽くしたかのオンパレードの印象がある。ところどころガス抜き程度に有識者のつっこみを掲載しているが、先述の通り、報告書での評価には反映されず、息抜きの小話くらいの扱いになっているのである。こんな身内による検証はまったく検証に値しない。一番大切なことは日本政府が日本人の人質二人を救出できなかった失敗の原因の解明にある。テロとの戦いが大切かどうか、そんなことはこの検証委員会のテーマではないのだ。だからこそ、ゼロからもう一度検証を政府から独立した委員会でやり直す必要がある。

  本来、NHKはこうした検証を政府とは異なる独自の立場で見つめる必要があった。しかし、それができていなかったということは検証委員会だけでなく、NHKの独立性をもまた今後、国会で検討する必要があるだろう。


※首相のうっかり発言が致命傷に 安倍外交慢心と誤算(朝日)
https://dot.asahi.com/wa/2015012700080.html?page=1

「日本女子大の臼杵陽教授(中東現代史)がこう指摘する『安倍さんが一番まずかったのは、イスラエルで会見をやったこと。安倍さんの会見はユーチューブにアップされ、全世界にばらまかれたわけですが、日本の旗とイスラエルの旗(ユダヤ民族の象徴のダビデの星)がバックだった。『人道的な支援で軍事的に加担しているわけではない』と釈明しましたが、アラブ人が見れば、『何だ、イスラエルと日本は同盟を組んだのか』と誤解をされる。政治的に最悪でした』」


村上良太


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