森友をめぐる一連の報道は甘いと思います。
根っ子は大変深く、少なくとも以下の3点の構造的な問題を解決しないと、本当の解決にはならないと思います。
たとえ首相が変わっても似たような統治エリートによる政治行政のままにしていては、「当面の一時しのぎ」に終わります。
1「戦後政治の総決算」「美しい国」構想
森友問題は、教育勅語を礼賛するような私学教育を安倍首相らが支援して教育を戦前的なものとする動機が発端でした。
削除された公文書には日本会議に関わる安倍総理、麻生財務相、中山成彬・元文部科学相・平沼赳夫・元経済産業相の名前もありました。
教育全体を右傾化させる狙いの一環です。
改訂された小中学校の学習指導要領では日の丸・君が代をはじめ「愛国心」を育成する道徳教育の抜本的強化が図られています。
検討中の高校の学習指導要領案でも人権保障や平和主義を教えている今の「現代社会」に変えて、それらを軽視し愛国心を掲げる「公共」が新科目になる予定です。
その先には戦前的な回帰を目指す憲法改正があります。改憲は自民党・財界の総意によるものです。
なお、12日のニューヨークタイムズは「安倍氏の九条を変えようとする動きは多分難しくなったであろう」と論評しています。しかし、仮に今回の改憲を止められたとしても法律以下の法制や政治で教育をはじめとする右傾化を止めるという根本的な課題はそのままです。
まともな「近代国家」を建設したいものです。新憲法制定時以来の目標です。もう70年も経ったのに!
2 政財官の癒着による国家の私物化
政治家も官僚も国民全体の奉仕者です(憲法15条1項)。
現状は自らの私益や財界・富裕層・アメリカの利益を国民の利益の上に置いています(森友は小さいけれど「財」――このために国有財産を提供する背任罪)。
個別の贈収賄でなく政治献金などによる政治丸ごとの買収の方が比較にならないほど悪質です。官僚も天下りや出世などで癒着しています。司法もです。
3 反民主主義
首相による「丁寧な説明」などはなく、議会制民主主義を破壊しました。日本は待ったなしの重大問題が山積しているのに多くの時間と労力をムダに使いました。
国権の最高機関は国会。国会が行政を監視する最高の武器は国政調査権による証人喚問。これも拒否。
民主主義の一丁目一番地である国民の知る権利を侵害し情報を知らせず(国有地売却の経過や文書問題をはじめフェイクの連発)、民意を無視し、国民にとっての民主主義を破壊しました。
安倍内閣に限らない構造的な重大問題です。
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