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2018年03月10日19:57

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精神に障害を有する犯罪者

日本においては毎年800人ほどの精神に障害を有する犯罪者(以下、精神障害犯罪者と略称)が、刑法第39条の規定に基づいて、不起訴処分を受けるなどして釈放されている。我が国には、諸外国が備えている精神障害犯罪者処遇制度がないため、彼らは釈放されると同時に一般患者として医療の側に委ねられることになる。しかし、彼らの中には一部、少数ではあるが、強い犯罪傾向を持っていて危険な犯罪を繰り返す者たちがいることが、問題である。


 この制度的欠陥については刑法制定当初より気付かれていたが、我が国では膨大な数の精神病院の存在がこの欠陥を覆い隠す役割を果たしたこともあり、100年もの間改善されずに放置されてきた。30年ほど前にこの制度的欠陥を正す努力が法務省によってなされたが、精神医療の改革を求める世論の高まりのもとで法案は阻止され、以来この問題は長くタブー視されてきた。近年の精神障害者による重大事件の続発を受けて、政府は、この春に「心神喪失者等医療観察法案」を国会に提出したが、法案の評価については専門家や関連諸団体の間に賛否両論があり、反対声明を出された団体も多い。

 精神障害犯罪者問題については論議が錯綜しやすいが、筆者は、その最大の原因が、実態に関する正しい情報が欠如していることにあると考える。司法精神医療がすでに確立している欧米諸国においては、精神障害犯罪者は専門治療施設に収容されて治療を受けるため、専門家は無論のこと一般国民もその実態をよく知ることができる。


これとは対照的に我が国では、不起訴記録も入院カルテも原則非公開とされ、司法―医療間の情報交換もなく、そのうえ、精神障害犯罪者が全国1000もの指定病院に分散収容されることから、一般国民はおろか、専門家と称する方々の中にも、その実態を知る者は稀で、偶々個人的に体験することのできた、その一側面をしか知らない方々がほとんどなのである。
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