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2018年03月10日16:23

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 ◎アメリカ大統領 一般教書解説

 ◎アメリカ大統領 一般教書解説

トランプ政権に関連した講演をすると、参加者からよく「トランプ大統領 は大丈夫ですか?」と尋ねられる。あんなに暴言ばかりを吐く下品な大統 領なので支持を失い、いずれ退陣するのではないかと思っている方が多い のだ。「いやいや、トランプ大統領のもとで景気を回復し、国民の支持も 意外に高いですよ」と言うと、「ええ、そうなんですか」と大抵の方が驚 かれる。要はトランプ政権の実情が伝わっていないのだ。

トランプ大統領は1月30日夜(日本時間31日午前)、米連邦議会の上下両 院合同本会議で初の一般教書演説を行い、2018年の施政方針を明らかにし た。一般教書演説というのは、政府としての年間方針を示すもっとも重要 な演説だ。

なにしろ国際政治に大きな影響を与えるアメリカ大統領の年間方針だ。世 界各国は懸命にこの演説を分析したはずだが、なんと日本のマスコミのな かで、この演説全文を邦訳して紹介したのは読売新聞だけであった。

同盟国の指導者の重要演説を詳しく分析するのは外交の基本だが、日本の マスコミの大半はその基本さえも理解していないわけだ。マスコミがこん な調子では、アメリカの動向や国際政治について日本国民が的確な判断を 下せるわけがない。

とにかく今回の一般教書演説は、トランプ大統領の政治哲学を知るうえで 極めて重要であった。

トランプ大統領はこの演説の冒頭で、アメリカを偉大な国にする力は政治 家でも官僚でもない、アメリカ国民の勇気と献身だと指摘している。

《この1年、我々は途方もない進歩を遂げ、たぐいまれな成功を収めた。直 面した試練には、予想していたものも、想像を超えたものもあった。勝利 の高揚も苦難の痛みも共にした。洪水、火事、嵐を忍んだ。それらすべて を通じて、美しい米国の魂、はがねのように強い米国の勇気を目にした。

ボランティアのレスキュー部隊ケイジャン・ネイビーは、破滅的な被害を もたらしたハリケーン被災地に釣り船で駆けつけ、人々を救った。ラスベ ガスの銃乱射事件では、見知らぬ人同士が銃弾の雨からかばい合うのを目 撃した》

景気回復が政府の役割

アメリカを偉大な国にしているのが国民の勇気と献身だとすれば、その国 民が活躍するために政府がなすべきことは何か。

それは景気回復であり、個々の所得を増やすことだというのがトランプ大 統領の信念だ。現にトランプ政権になって景気はかなり良くなってきている。

《選挙以来、我々は240万人の新規雇用を生み出した。製造業だけで20万人 に上る。ものすごい数だ。賃金は何年も伸び悩んでいたが、ようやく上昇 している。

失業保険の申請件数は45年で最も低い。そのことを私はとても誇りに思 う。アフリカ系米国人の失業率は記録のある中で最低だ。ヒスパニック系 米国人の失業も史上最低の水準だ。中小企業の景況感は記録的な高水準 だ。株式相場は次々と記録を更新し、この短期間で8兆ドル以上増えた》

景気が回復しているのは、トランプ政権の経済政策が適切だからだ。その 経済対策の第1が、減税によって個人の可処分所得(手元にあって自由に 使えるお金のこと)を増やす政策だ。

《11か月前、この演壇から米国民に約束したように、米国史上最大規模の 減税と税制改革を制定した。巨額の減税は中流階層と中小企業に大きな安 心感を与える。勤勉な米国人の税率を引き下げるため、全国民の基礎控除 をほぼ2倍にした。夫婦世帯で所得2万4000ドルまでは税を全面的に免除さ れる。児童扶養控除も倍にした。所得7万5000ドルの標準的な4人世帯は 2000ドルの減税となり、税額は半減する》

こうやって国民が使えるお金を増やすことで個人消費が活発になって飲食 店なども潤っていくという経済の好循環を生み出そうとしているのだ。

経済政策の第2は、雇用を生み出している企業に対する減税だ。

《法人税率を35%から21%に引き下げた。これで米国の企業は世界中のど の地のどの企業と競争しても勝てる。これらの変更だけでも平均的な世帯 の所得を4000ドル以上引き上げると見積もられる。大きな金額だ。中小企 業にとっても巨額の減税となる。これからは事業所得の20%の税額控除を 受けることができる》

しかも減税の目的は、雇用の拡大、供与の増加、新規設備投資の促進だ。

これだけ減税をすると、政府の予算は減ることになる。実際に対外援助を 大幅に削減したほか、官僚の人件費や事務費、環境や人権の団体への支援 なども削っている。そのため官僚たちや環境・人権活動家たちからは極め て評判が悪いのだが、トランプ大統領は臆することなくこう述べる。

《我々米国人は、米国の生活の中心が政府や官僚制度ではなく、信仰と家 族だと知っている。我々のモットーは「我ら神を信ず」だ。(中略) 私 は今夜、良き労働者たちに報い、国民の信頼を損ねたり裏切ったりする連 邦政府の職員を排除することができる権限をすべての閣僚に与えるよう、 議会に求める》

アメリカ政府は、官僚のためではなく、愛国心と信仰心をもつアメリカ国 民のために尽くすべきなのだというのが、トランプ大統領の信念なのだ。

 経済政策の第3は、規制緩和だ。

オバマ民主党政権は、環境保護を理由に国内のシェール・ガスや石炭など の開発を妨害してきた。また、多国籍企業が安い人件費を求めて海外に工 場を作ることを支援してきた。その結果、国内の製造業は急速にさびれ、 雇用は減っていった。そこで、エネルギー産業に対する規制を緩和すると ともに、国内に工場を作る企業を支援する仕組みに変更しようとしている。

 経済政策の第4は、インフラ投資の拡大だ。

アメリカの地方都市はさびれていて、橋や道路もぼろぼろのところが多 い。それは資金不足だけでなく、役所での面倒な手続きが余りにも多く、 道路や橋の建設許可を得るために時間がかかり過ぎるからだ。

そこで今後10年間で実に150兆円ものインフラ予算を組むと同時に、道路 や橋を作るための役所の手続きを簡素化しようとしている。

中国はライバルだ!

このようにトランプ大統領は、経済を立て直し、国民を豊かにすることで 再びアメリカを偉大な国にしようとしている。

では、対外政策はどうしようとしているのか。特徴的なことは、世界の平 和を乱しているのは「中国やロシアだ」と名指しで批判したことだ。

民主党のオバマ政権は、中国との「友好」を重視し、南シナ海に中国が軍 事基地を作ったり、尖閣諸島を脅かしても事実上、黙認してきた。その一 方で同盟国の総理大臣が靖國國神社参拝、つまり自国の戦没者に敬意を表 すると批判した。

だが、トランプは同盟国を擁護する一方で、中国の軍事的挑発行動を批判 し、連邦議会に対して国防費の増額を支持するよう、こう呼び掛けた。

《世界各地で我々はならず者政権やテロ組織、我々の国益や経済、価値観 に挑む中国やロシアなどのライバルと対峙している。こうした恐ろしい脅 威に立ち向かうとき、我々が知っているのは、弱さが間違いなく争いを呼 び込み、比類なき力こそが本当にすぐれた防衛の最も確実な手段となるこ とだ。私は国防費の危険な強制削減をやめ、我々の偉大な軍隊を十分な財 政で支えるよう議会に求めたい》

民主主義国の場合、国民の福祉を優先させる余り、防衛費を増やすことに はどうしても及び腰になりがちだ。しかしトランプは、中国などによる軍 事的挑発から、アメリカと同盟国を守るためには、防衛費を増やして防衛 力を強化することが重要だと主張したのだ。極めて勇気ある発言だと言え よう。

トランプ大統領が、同盟国の日本に対して防衛費の増額を求めているの も、中国やロシアの脅威が念頭にあるからだ。中国による軍事的挑発を受 けている日本としては、トランプ政権の方針を、防衛体制強化に向けた追 い風と受け止めるべきであろう。

アメリカの大統領を、われわれ日本人が選べるわけではない。とするなら ば、トランプ大統領の言動を批判してもいいが同時に、トランプ政権をし たたかに活用する賢さも持ちたいものである。

【江崎道朗】
1962年、東京都生まれ。評論家。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌 編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策 提案に取り組む。著書に『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新 書)、『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社)、『マスコ ミが報じないトランプ台頭の秘密』(青林堂)など
(2018年2月1日付読売新聞朝刊、収録 中山)



■金正恩氏、トランプ氏に非公開メッセージ 信頼構築狙う
(朝日新聞デジタル - 03月10日 11:06)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5020977
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