扶養控除申告書とは？（年金と税金の話）

【扶養控除申告書とは何ぞや？】

扶養控除申告書とは、一言で言えば
『毎年確定申告するのは大変だろうから、案内文見て自分の状況をこのハガキに書いて日本年金機構に出してくれれば、機構が代わりに手続きしますよ』
と言うモノです。
年金受給者で、年金から所得税を引かれている人は、機構から毎年10月頃に送られてきます。
障害年金や遺族年金などのように非課税だったり、年金額自体が少なく、年金に税金がかかっていない場合、送られてきません。
税金がかかっていなければ、手続きは不要だから。

一方、源泉徴収票は1月から2月にかけて、非課税でない年金を受給してる人に対しては金額の大小関わらず送られてきます。
さすがにこの日記を読む人で源泉徴収票を知らない人は少ないと思いますが……
源泉徴収票とは、会社の給料や年金の詳細な内訳が乗っているもので、税務署に提出する確定申告に使うものです。

【確定申告や年末調整は、誰しもが行う。行わなければ、所得税が高いままになる】

会社員だったら会社が従業員の収入を把握できれば、代わりに会社の経理の人がやってくれます。
（給料以外の収入がある人や、減税措置に当てはまる人は、書類を用意すれば代わりにやってくれるケースもある。会社次第だけど）
自営業や、複数の収入がある人は、自分で書類をそろえて確定申告にいかないといけません。

『自分は誰も扶養してないし、減税措置の対象もない。だから年末調整や確定申告は要らない』と考える人がいたら、それは大きな間違いです。
なぜか。
税制には、基礎控除と言うものがあり、これは誰しもが適用されるものです。
総所得の額から38万円までは、無条件で減算してもらえると言う事です。
この基礎控除は、会社の給料だろうが、株式の収入だろうが、不動産の収入だろうが、年金の収入だろうが、自分から申請しないと適用されないと言う事です。

国税庁のHPから、基礎控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1199.htm

年金も然り。
機構が用意した次年度の扶養控除申告書を提出しなかった人や、年金以外の収入がある人は、書類を揃えて確定申告する必要があります。
それをやらないと、基礎控除が受けられず、基礎控除が受けられないだけでも3万円前後年金が少なくなってしまうと言う事になってしまいます。

【税制が自分から申告しないといけない理由は、収入を申告しないと誰も把握できないからである】

日本の行政福祉や税制は、基本的には全て自己申告制度です。
生活保護も年金も減税措置もすべて然り。
（生活保護だけは例外的に行政が必要ありと認めたら、職権で保護することもできるけど、そんな事例はほとんどない）
何故そんな風になっているのか。
理由は簡単。
市町村役場も、年金機構も、税務署もその人の収入を全て把握することは出来ないから、自分で申告してもらわないと分からないから、です。
車を買いました、車を持っています、なら、どんな車種の車を持ってるかと言うのが分かるから、車にかかる税金はこれだけですよ、と把握できますよね。
でも、例えば実家を増改築して、それが減税措置になるとか。
株で収入を得たとか。
親と同居して面倒を見始めたとか、子供ができたとか。
そういうのは、申告しないと税務署分かりませんよね。

『申告しないと勝手に年金を減らすのはおかしい！』とか言う人もいますが、上記のような仕組みになっているから、申告が必要になるのです。
それを少しでも簡略化するための制度が、扶養控除申告書です。
それすら「分からないから、ポイッ」なんてやってたら、そりゃあねぇ……
（余談だけど、私はそういう人を作りたくないので、現職時代は『年金のお知らせや手続きは、放置してると大体よくない事が多いです。だから、分からない事があったら何でも聞いてください。そのために私達いるんですから。いつでも、お気軽にご相談ください』と積極的に言ってた）

【今後は、マイナンバーを活用してより簡略化を進めてほしい】

マイナンバーには、収入を紐づけて、各種手続きを簡略化するためと言うのもあるでしょうから。
まだ始まったばかりの制度なので国も手探りなんでしょうけど、今後は国が旗を振って、国民の生活に寄与してほしいものです。

本年度の扶養控除申告書は私も叔父が年金受給者で、現物送られてきて、私が代わりに書いてあげたので見ましたが……
正直、本年度の分はマイナンバーなども絡み、非常に煩雑で分かりにくいと思いました。
マニュアルも細かい字でフローチャートがギッシリ詰まっており、注意書きも多い。
年配の人にこれは難しいだろうし、現場の年金事務所の職員もこれは問い合わせ対応に苦慮するだろうと思いましたから。