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2018年03月03日00:55

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゚Д゚) < Sampoorna Ramayana (完訳ラーマーヤナ)

古代文明を持たなかった日本の芸術が、独特の魅力を持つに至った歴史的な理由=中国メディア
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=97&from=diary&id=5009231

「唐の文化を吸収したあとで、本国の芸術である大和絵が誕生した」って言うけど、あのですね、国風文化の発生は日中の自然風土の違いや、そこからくる生活感覚の違いにも原因を求めることもできるけど、そもそも中国の内紛による治安悪化に伴う、中華貿易の停止と「日本で勝手にやっちゃえばいいじゃん」と貿易不要になっちゃったこともデカイと思うよ…。

 まあ、そもそも中華文明との接触でも「言語」「衣食住」「造形感覚」がびくともしなかった日本に、古代文明がなかったと言えるかどうかは即断出来ないと思うぜ…。
 オセアニア〜東南アジア〜環インド洋文化圏との生活文化上の共通点とか取りざたされると、それはそれでオラワックワクするんだぞ〜。




Sampoorna Ramayana (完訳ラーマーヤナ) 1961年 159分(183分とも)
主演 マヒパール & アニータ・グハ
監督/美術監督/特殊効果 バブーバーイ・ミストリー
"大いなる信仰と敬意をもって、人々に捧げるラーマ王の完全なる物語を、ここに伝えよう…"

http://www.youtube.com/watch?v=BGyYQgcZ4ug

 遥かなる、神話時代。
 ミティラー国王ジャナク(*1)は、代々伝わるシヴァ神の弓を持ち上げ破壊する事が出来た者に、娘シーター(*2)との結婚を許そうと宣言した。
 ランカー島の羅刹王ラーヴァン(サンスクリット名ラーヴァナ)を始めとした豪傑たちが失敗する中、大聖ヴィシュヴァーミトラのお供でやって来たアヨーディヤー(*3)の王子ラーマは、いとも容易く弓を持ち上げて破壊し、これに抗議したパラシュラーマの斧を封じてシーターとの結婚を認められる。

 だがアヨーディヤー王宮では、侍女マンタラーにそそのかされた妃カイケーイーが「我が息子バラト(サンスクリット名バラタ)を次期王位に」「ラーマを14年間国外追放に」と願ったため、父王ダシャラタは過去の誓言からこれを断る事が出来ず、ついにラーマが妻シーター、異母弟ラクシュマン(サンスクリット名ラクシュマナ)と国を出奔する事を止められないままとなって悲嘆にくれたまま絶命してしまう。
 そのままラーマたちは、羅刹の住むと言うダンダカの森に入っていくことに…。


*1 サンスクリット名ジャナカ。現ネパールのジャナカプールを首都として、ガンジス平原東部のジャナクプル地域一帯を支配した王の称号。
*2 叙事詩では、ジャナカ王が祭壇建設のための掘削作業中に、土中から発見された"大地の娘"とされる。
*3 古代コーサラ国の首都。現ウッタル・プラデーシュ州ファイザーバード県アヨーディヤー。


挿入歌 Baar Baar Bagiya Mein Koyal Na Bole (いつもではないわ。カッコウが鳴く庭は)

http://www.youtube.com/watch?v=hujFjx5frRY
*ダンダカの森で草花を採取していたラーマの前に、突如現れた羅刹女シュールパナカー(羅刹王ラーヴァナの妹。演じている女優は、かの有名な女優ヘレン?…だそうな)は、さっそくラーマを誘惑しにかかる。美女の姿をしているが、その本性は醜く好色。皮肉や軽口を理解せず、ラーマとラクシュマナ兄弟にからかわれた事に怒り狂いシーターを襲うが、ラクシュマナに鼻(叙事詩ではさらに耳も)を切り落とされてしまう。
 まあ、なんと言うか、ラーマ兄弟自身が一番の戦争の原因じゃないかっちゅー…ねえ。


わーい(嬉しい顔) タイトルの意味は「完全版ラーマーヤナ」。
 1930年代からヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画界で活躍する、監督兼特殊効果技師のバブーバーイ・ミストリーの代表作の1つとなる、特撮神様もの映画。
 ラーマーヤナ全体の映画化としては、1958年のタミル語映画「Sampoorna Ramayanam」に続き、ヒンディー語映画では初となる映画作品(らしい...知られてないだけで、他にあるかもしれないけど)。

 インドを代表する2大叙事詩の1つにして、ヒンドゥー教の聖典の1つでもある「ラーマーヤナ(ラーマ王行状記の意)」の完全映画化作品。
 その48000行に及ぶ大長編の原作を換骨奪胎し、物語はシーターの婿取り競争から始まって、羅刹とラーマの戦い〜戦後のシーターとラーマの別れまでを映像化している。色々と込み入った物語構成を無理なく2時間半に収めている手法は手慣れたものと言うべきか。ネット上のデータでは本編183分との事だけども、私が見たのは159分くらいの長さってことは、後年の短縮版って事なんだろかどうだろか。それでも、数々のエピソードと、それを描くに絶対に欠かせない数々の名場面をあます事なく盛り込みまくっているのはさすが。

 叙事詩ではヴィシュヌ神の化身(=アバターラ)として、青い肌をしているとされたラーマをどう描くのかな、と思っていたけど、さすがに無理に青くしたり黒くしたり(=古代語における青とは、今で言う黒系の暗色の事とされる)ってのは無視されて、普通の外見になっていたりするのは馴染みやすいと言うか、拍子抜けと言うか。一方、普通の人間スタイルで出て来た十頭の魔王ラーヴァナは、ラーマとの対決迫る夜の逡巡にて、心の中のそれぞれのラーヴァナを十頭に出現させて描いてるのはウマい!

 そもそも原作では、ラーマ4兄弟(最も素直で最年長の妃カウサリヤーの息子ラーマ、最も美しくずる賢い妃カイケーイーの息子バラタ、最も賢く知識豊かな妃スミトラーの産んだ双子ラクシュマナとシャトルグナ)が全てヴィシュヌの化身であり、さらにラーマと対決するパラシュラーマ("斧持つラーマ"の意。バラモンを迫害するクシャトリヤたちを滅ぼすために生まれた、バラモンの救世主的存在。劇中ではシーターの婿取り競技中に登場していたけど、叙事詩ではラーマ少年期に登場する人物)もヴィシュヌの化身と言うんだから「どゆこと!」って感じな話でもう大変。ま、映画はその辺の因縁譚はあっさり描写するに留まって、あくまでシーターとラーマの結婚以後の物語に集中していくのは英断。わかりやすさを優先しているのがありがたい。

 時代が時代だから、特撮合成がちゃちぃいのはしょうがないにしても、過剰に過剰なキンキラキンアクセサリーや衣裳、王宮装飾の気合いの入り方がスゴいのに、キラキラならキラキラなほど安っぽく見えてしまうのがむぅ、って感じ(フィルムのざらつきのせいでそう見えるのかも)。
 もっとも、演技面でもわりと過剰な感情表現が多用されてる所を見ると、わざと舞台演劇的な雰囲気を出そうとしているのかもしれない。インド社会におけるラーマーヤナと言えば、お祭りやイベントの必須演目みたいだし、インド人は幼少期からそうした舞台演劇に馴染みまくってるみたいだしねえ。
 それにしても、尻尾に炎つけてランカー島を火の海するほど暴れ回るハヌマンの活躍シーンで、実際に火をつけた尻尾を振り回して大立ち回りさせてるハヌマンがスゴい。って言うか危険! 火傷した人が何人もいたんじゃなかろか、と心配になりますわ。

 本作の監督を担当しているのは、1918年英領インドのスーラト(現グジャラート州スーラト)に生まれたバブーバーイ・ミストリー。
 映画会社ワディア・ムービートーンの美術スタッフとして映画界でのキャリアを開始し、その仕事を通して特殊撮影技法を修得。33年からはプロデューサー兼映画監督のヴィジャイ・バットとともにアメリカ映画界を取材して特殊効果技術をインドに持ち帰り、その専門家として活躍。"カーラー・ダーガ(黒い操り糸)"とあだ名される、ヒンディー語映画界最初の特殊撮影カメラマンとなっていく。
 42年に、バトゥク・バットとの共同監督作「Muqabala」で監督デビュー。53年の「Nav Durga」で単独監督デビュー(?)し、その後40年間人気の特撮監督として大活躍していくことになる。特に60作を越えるヒンドゥー神話もの映画を世に贈り出した事で有名となり、本作はその代表作の1つ。後の87〜88年に放送されたTVドラマ「Ramayan(ラーマーヤナ)」でも技術指導していたと言う。05年のムンバイ映画祭にて、MAMI(Mumbai Academy of the Moving Image = ムンバイ映画協会)から技術的貢献賞が贈呈されている。
 2010年、ムンバイにて物故。享年91歳。

 主役ラーマを演じたのは、1919年ジョードプル藩王国(現ラジャスターン州ジョードプル)に生まれた役者マヒパール(・シン。またはマヒパール・バーンダリ)。
 地元の大学で文学を修了してから、40年代初期にボンベイに移住して劇場で働き始め、仕事がない時にはV・シャンタラムやソーラブ・モディ、ワディア兄弟と言った映画監督たちの下で作詞制作などに参加。その仕事ぶりを賞賛されて、42年のヒンディー語映画「Nazrana」で映画デビュー。以降、神話ものや歴史もの映画で人気を呼んで、40年代後半〜80年代前半に活躍する。
 2005年、心不全のためムンバイにて物故。享年86歳。

 ヒロイン シーター役には、1932年生まれのベンガル人女優アニータ・グハ。姪に、モデル兼女優として70〜90年代に活躍していたプレマ・ナラーヤンがいる。
 15才の時に美人コンテスト参加のためにボンベイに上京してから女優業を開始。53年のベンガル語映画「Bansher Kella」で映画&主役デビュー(?)し、55年には「Tangewali」でヒンディー語映画にも主役デビューする。59年の「Goonj Uthi Shehnai (ウェディングベルの呼び声)」でフィルムフェア助演女優賞ノミネート。その後の本作の大ヒットによって、以降数々の神様もの映画でシーター役を演じる事となった。
 75年の大ヒット作「Jai Santoshi Maa(母神サントーシーに拝礼を)」で演じたマイナー女神サントーシー役が大きな評判を呼び、インド各地でサントーシー信者が激増。彼女自身を神様と崇める人が大量発生したと言う(アニータ自身はこれを嫌い、自分は女神カーリーを崇めると反発したとか)。神様もの映画のオファーばかり続く事についても不満であったと言われ、少数ながら娯楽映画でも活躍している。
 2007年に心不全のためムンバイにて物故。享年75歳。

 ラーマーヤナが現在の形に成立したのは3世紀頃と言われ、その核心部分であるラーマとシーターの結婚〜羅刹たちに勝利したラーマたちの凱旋まではさらに古く、紀元前4〜5世紀頃には完成していたとされる。
 クリシュナ神話とともに、インドの物語文化を始めとした舞踏、詩歌、音楽などの表現文化の基礎教養として活用され続けて来たこの叙事詩は、映画でも数々のメタファーとして引用され続けている。現在のインド映画文法への影響具合を知るためにも、必見の物語と言える。
 例えば、「きっと、うまくいく(3 idiots)」での主要登場人物3人の立ち位置や学長との対立具合、各キャラクターの団結具合や孤立具合なんかにもラーマーヤナ的要素は散見されるし、もっと直接に主人公ランチョーがハヌマンの格好して一瞬出てくる所に、色んな意味が付加されているのが分かってくると、インド映画の楽しみ方は何倍にも膨れ上がるっちゅーものですわ(にしても、ランチョーのハヌマン仮装といい、本作のハヌマンといい、ただハヌマンが空を飛ぶ時は地面と水平姿勢になるわりに、山を持ち上げて運ぶ時の飛行姿勢は、地面に対して直立してると言うのは"お約束"なんだネ!)。

 さらに、"動物(猿や鳥)の助力"による"悪魔退治のために島を渡る"英雄物語と言う所に、古くから日本の昔話「桃太郎」との共通性を指摘する人もいて、桃太郎成立の大きな要素としてラーマーヤナがあるのではないかと言う研究もあるとか。
 日本の昔話にも、よく猿が橋を造る話とかがあるので、日本の昔話との共通性を探す目的でも、見てみて損はない一本ですよ!(たぶん。保証はしません)


挿入歌 Kamdev's Nritya (春の神カーマデーヴの舞)

http://www.youtube.com/watch?v=3qyH4ScYOEI
*ラーマとシーターの婚礼を祝い、シヴァ神は瞑想によって春神カーマデーヴ(=愛神カーマのこと。一般には春神ヴァサンタの親友とされる)とその妻ラティ(愛、性欲、情熱を司る女神)に祝いの舞踏を捧げさせる。
 カーマがシヴァに焼き殺されたと言う神話は、本来ラーマーヤナではなく叙事詩クマーラ・サンバヴァで語られる、阿修羅ターラカを倒すシヴァとパールヴァティの子スカンダ誕生時の逸話。この事から、カーマに"アナンガ(身体なき者)"と言う別名が生まれたとされる(後に、シヴァの意志に従い転生したカーマとラティは、来世で再会して再び夫婦となったとされる)。

挿入歌 Bolo Sabhi Jai Ram (全員で唱えよう、ラーマよ永遠なれ! [我らの仕事はもうすぐ完了する])

http://www.youtube.com/watch?v=eagv0xHsTXY
*ハヌマンの指揮で、羅刹たちの本拠地ランカー島までの橋を造る猿軍団の図。
 ある程度様式化されたものとは言え、猿仮装の適当さよ…w

挿入歌 Ghar Aaye Bhagwan ([どうして祝わずにおれようか] 神が、卑しい我が家においで下さった)

http://www.youtube.com/watch?v=Ao0QkcZMYpM
*ケーヴァトラージ(マーリーチャとは違う人…?)率いる森の民が、ラーマたちがやって来た事を喜び迎える宴会の図。
 この頃から、祝い事には色粉が大量に使われていたとは…!!w

ハヌマンとシーターの出会い

https://www.youtube.com/watch?v=Z7XZUskdEqI
*高木に隠れる男が、その下のヒロインに見つかる、って構図は、日本神話におけるヒコホホデミ(山幸彦)と海神の娘豊玉姫の出会いを彷彿とさせますネ。

ハヌマン大暴れ

https://www.youtube.com/watch?v=DvzRABn6mNM




・Sampoorna Ramayanaを一言で斬る!
「"シーター"の発音が、よく"シーテー"に聞こえる…のは、ヒンディー化した発音?(いつもではないのが、さらに謎。そこの区別はないんだろうけど)」
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