mixiユーザー(id:2958687)

2018年03月01日04:33

261 view

2月の読書記録

前半は好調だったが、終盤になってやや失速した感が。でも一時期に比べると、だいぶ本が読めるようになった。後、先月も女性作家の作品を読むことが多かったな。ナイスがわりに多かったのが嬉しい。今回は以前読んだ本へのナイスがいつになく多かった気がする。

2018年2月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5273ページ
ナイス数:156ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly
■物の本質について (岩波文庫 青 605-1)
読了して一言。読み進めるのが辛かった(笑)。特に前半、タイトルどおり「物の本質」に鋭く迫った、現代の目からみても、かなり正確な自然認識に驚かされたものの、精神について述べだしたあたりから、なぜか内容が頭に入ってこず。後半は殆ど字面を追っていたというのが正直なところ。終盤に至っては死についての陰々滅々とした内容で若干辟易させられたこともあって、何だか徒労感を覚えた程。もう一度じっくり読み返せば、新たに知見を得られるのかもしれないが、そんな気になれない。本家エピクロスの著作が散逸してこっちが残ったのは皮肉か?
読了日:02月28日 著者:ルクレーティウス
https://bookmeter.com/books/8332

■回転どあ・東京と大阪と (講談社文芸文庫)
「回転どあ」というタイトルが良い。まさに掌編集ともいうべきごく短いエッセイを集めたものだが、小説とはまた違った著者の魅力が味わえる。ごく身近な風景も著者独自の切り口によって、はっと気づかされたり、なるほどと感心させられたり…その類い稀な感受性に感服することしきり。また、この味わいは白洲正子に通じるものがある気がした。それと同時に、半世紀以上も前の東京の姿に何とも言えないノスタルジーを覚える。著者の感受性をもってしても、今の東京の風景を前にして、こんなエッセイを書くのは不可能では?という気にさせられる。
読了日:02月26日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/106341

■打たれ強くなるための読書術 (ちくま新書)
概ね興味深く読めたが、その一方で「何だかな…」感が否めなかったというのが正直なところ。読書人の多くが「青春読書」の段階に留まっているという説はともかくとして、その次の段階の読書というのが、カードを作ったり、要約したりとか、結局ある程度時間の融通が効く人に特化した…結局のところ青春読書の延長線上でしかないのでは?という疑念がどうしてもわいてしまう。ある程度の年齢を経た一般の読書人のスタイルというのは、もっと多様であっていいのでは?という気がしてならない。それこそネットを駆使したスタイルの探求もありかも。
読了日:02月23日 著者:東郷 雄二
https://bookmeter.com/books/578945

■黒い裾 (講談社文芸文庫)
「え、これエッセイ?それとも小説なの?」解説者も言っているとおり、あまりに等身大の著者とその家族を反映させていると思われるいくつかの作品に、そんな疑問を抱かされた。事実関係はそのまんまではないだろうけれど…そのリアルと虚構の危うい関係の間に立ちながら、著者は読者を自分の文学的世界へと誘っているのだろう…と解説を読んで認識させられた。それはともかくとして、その品格のある文体と何とも言えず読者をひきつけたり、はっとさせる擬態語の巧みさに改めて感服。また、そこにはまだ江戸の名残が濃厚な当時の東京の空気を感じる。
読了日:02月22日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/15890

■北愁 (講談社文芸文庫)
蓮っ葉で気が強くて、可愛げに欠けるけど、どこか憎めない…著者自身をかなり反映させたと思われる主人公あそぎにはなぜか読者をひきつけるものがある。何かにつけ辛辣な批評を加える従兄弟の順次との関係も、最終的に恋愛関係に至らないまでも、微妙な思慕が伺えて温かみを感じる。また、特に後半話暗い顛末を迎えるストーリーも、あそぎのバイタリティーのためか、それ程陰惨さを覚えない。恐らく転んでもただでは起きないというその後の展開を予想させるというか…個人的にはタイトルが暗示するように、実際北で活躍する姿を見たかった気がする。
読了日:02月19日 著者:幸田 文
https://bookmeter.com/books/7414961

■R帝国
風刺に今一つ捻りが効いてなくて、やや皮相的に思え、「何だかな…」感が拭えないまま、一挙に読了。やや皮相的と思いながらも、今日の日本の醜悪な側面を強烈にあぶり出した箇所は、やはり胸苦しさを覚え、こういう表現が許されているうちは、まだ大丈夫かと思わされる。ただ、著者後書きでも示唆されているように、希望的観測が皆無なラストには、どうしようもない脱力感と無力感に襲われる。結末近くで加賀が述べているように、我々の多くは醜悪で憐れむべき存在なのか?それでも絶望的な状況下でサキのような意思をいかに維持し続けられるか?
読了日:02月15日 著者:中村 文則
https://bookmeter.com/books/12119756

■天使の柩
本当は愛されるべき存在なのに、その生い立ちから不当に自己評価が低い主人公茉莉。やはり、やたら自己評価が低く、どこにも居場所が見出せなかった十代の自分をつい重ね合わせてしまった。それはともかくとして、ベタといえばこの上なくベタなストーリーを独特の筆致で描き出す著者の力量に改めて感服。ある程度展開は見えても、つい先が気になって読み進めてしまう。決して悪いようにはならないとは思っていても、俗悪な恋人との関係に終止符が打たれたときは、かなりホッとした。それにしても、茉莉と歩太との今後の展開を描いた続編はあるのか?
読了日:02月14日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/7364486

■今夜もひとり居酒屋 (中公新書)
本書を読んでいると、幾度となく島田雅彦の『酒道入門』を想起された。殊更「道」を説いているわけではないが、酒を飲む上での心得、そこで察すべき人々とのやりとりで生じる機微など、これは広い意味で道に通じるものではないか…と。また、数年前に出た本であるのにもかかわらず、なぜかやたら昭和の香りが漂うのが妙。実際l、本書には駅前や大きな繁華街で展開しているチェーンの居酒屋は見事にスルーしている。要するにあれは著者にとっては本来的な意味での居酒屋ではないということだろう。ああいう嗜みを心得る人はもういないのかも…
読了日:02月14日 著者:池内 紀
https://bookmeter.com/books/3262501

■ありふれた愛じゃない
身も蓋もない言い方だが、やっぱり肉食系男子には勝てないのか?てか、これあまり男が読む小説じゃないな(笑)。肉食系男子ではないからといって、貴史に感情移入できるか?というとそれもまた微妙。結局、いわば神の目で主人公の動きに寄り添っていたという感じか?それはともかくとして、本作でも作者の筋運びのうまさに唸らされることしきり。ベタにならない程度に、わかりやすい伏線をはるやり方が特に絶妙。後、真奈からはかなり辛辣に言われていたが、高橋社長って結構憎めないキャラだと思う。また真奈と広美の意外な交流が微笑ましかった。
読了日:02月13日 著者:村山 由佳
https://bookmeter.com/books/8002149

■坊っちゃん (新潮文庫)
直情的で一本気というイメージが強い坊っちゃんだが、特に前半部分で意外と気弱な部分が見えるのに驚き。また、一見快活なべらんめえ調で語られる、周囲への批評も、実は彼のコミュ力不足によるものではないか?とか、無闇な江戸文化礼賛と田舎蔑視はいかがなものか?など、つい意地悪な読み方をしてしまうのは僕だけか?それととりわけ気になったのが、解説でも示唆されている一見明朗闊達に思える本作に巣食う暗い翳りのようなもの。それは作品中度々言及されながらも、殆ど実態が描かれないマドンナの存在が象徴しているように思えてならない。
読了日:02月12日 著者:夏目 漱石
https://bookmeter.com/books/578336

■最愛の子ども
あまりの面白さに一気に読了。寡作で知られる著者だが、こうして忘れた頃に良質な作品を出してくれるなら、許してしまえる…と多くのファンは認識してるのでは?男女共学でありながら、女子クラス所属という微妙な環境の中、擬似同性愛かつ擬似家族的な関係を紡ぎあげる三人と彼女達を取り囲む少女達。自分が体験したわけでもないのに、妙な親近感と既視感を感じさせるのが不思議。時代設定は一応震災前ということになっているが、この風景は普遍的とさえ言える。また、この風景の中で男子はあくまで副次的な存在というのも面白い。映画化希望。
読了日:02月11日 著者:松浦 理英子
https://bookmeter.com/books/11703984

■須賀敦子全集 第2巻 (河出文庫)
改めて、著者の力量、技量、魅力に感服。文体、内容、構成、どれをとっても一級品。こういう人はもうでてこないだろうな…と思わされることしきり。個人的に唸らされたのが、擬態音の使い方のうまさ。特に奇をてらった表現を用いているわけではないのに、ここぞというところで何気ない擬態音を用いて、それがピリリと絶妙なスパイスのように効いてくる。そして、それが全然嫌味ではないのがまたすごい。個人的にとりわけ印象的だったのが、父親とのエピソード。身勝手な父親に振り回されながらも、最終的に許し、愛していたいうことが強く伝わる。
読了日:02月11日 著者:須賀 敦子
https://bookmeter.com/books/558638

■悲しみについて(津島佑子コレクション)
愛するものを喪うという経験。夢と記憶と現実が時に融合し離反する中で、その経験は様々な変容を見せる。それはまさに悲しみという言葉では括り切れない重みをたたえ、読者に投げかけてくる。とりわけ、夢の中で亡くした息子を取り戻した語り手が、喜びと同時に戸惑い、二度と離すまいと身構える姿は、形容を越えて読む者の胸を打つ。また、善意から心ない言葉を読み手に投げかける人々のあり方に、もしかして自分も…?と思った人は少なくないに違いない。誰も完全には他人の代わりはできない。取り返しのきかない「個」の意味を今一度見つめ直す。
読了日:02月08日 著者:津島 佑子
https://bookmeter.com/books/11625320

■小津安二郎 (岩波新書)
若い時に見ても、全く魅力を感じなかった小津の映画。それが年を経ると共に、魅力を増してくる…その魅力の秘密の一端を知る上で本書はかなり役に立った。あの独特に美意識、一見して退屈極まりない会話に秘められた豊潤な陰影とニュアンス。それがあの時代だったからこそ実現可能だったということが如実に理解できる。また、芸術映画が興行的にも成功を収めていたという事実はまさに驚愕。この頃は大人が大人として振舞えた時代だったのでは?という気にさせられる。後、小津と志賀直哉との交流はにも驚かされた。志賀の作品を読み直したくなった。
読了日:02月05日 著者:浜野 保樹
https://bookmeter.com/books/19493

■ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)
実は数年前に新潮文庫版で読んでいたことに全く気付かなかった(笑)。その時の感想を読んで「そういえば…」と思い当たったのだけれど、新訳のためか印象がかなり違っていたのかもしれない。同性愛を始め、時代的な制約のため、色々な表現をオブラートに包まざるを得なかったという弱みはあるが、そういう状況下であったからこその、様々な技巧や工夫が凝らされ、読者に豊潤なイメージや想像力を掻き立てることにもなったのかもしれない…と改めて思わされた。ドリアン、バジル、ヘンリーの愛憎入り混じった微妙な関係はいくらでも深読み可能。
読了日:02月04日 著者:ワイルド
https://bookmeter.com/books/525054

■不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)
こんな作家がいたんだ!!と少なからず驚かされた。収められた八つの作品はどれも外れなしで、内容も多彩。こんな作品が南北戦争の頃に書かれたということが不思議に思えてくる。また、アイルランド出身ということで、他のアメリカ文学にはないエキゾチックな味わいがあるのも妙。彼が描くニューヨークにもどこか異国情緒のようなものがある。個人的に最も強烈な印象を残したのは「不思議屋」か。小人が殺人機械と化すというモチーフはかなり怖い。それから薄幸な恋人同士が最後に結ばれるというモチーフは作者の個人的体験が反映されているのか?
読了日:02月02日 著者:フィッツ=ジェイムズ オブライエン
https://bookmeter.com/books/8967047

■私の読書法 (1960年)
本書の執筆者の恐らく全てが鬼籍に入ったかと思うと、昭和が遠くなったことを改めて認識。それはともかくとして、一読して結局究極の読書法なんてないのかも?という身も蓋もない結論に。要するに楽しみのため、勉強のため…といった目的によって読書法も自ずと違ってくるから、どれが一番なんて言ってもしょうがない。とにかく自分なりに数多くの本を読みこなしていくことで、方法を確立していくしかない。また、主に明治後期から大正生まれの執筆者の読書歴はやはり我々世代には遠く及ばないもの。教養の基礎体力の違いを見せつけられた感が…
読了日:02月01日 著者:大内 兵衛
https://bookmeter.com/books/1845910


▼読書メーター
https://bookmeter.com/

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年03月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

最近の日記

もっと見る