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2018年02月23日20:43

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新国立劇場 松風

2018/2/16金 19:00- 新国立劇場オペラパレス

指揮: デヴィッド・ロバート・コールマン
演出・振付: サシャ・ヴァルツ
美術: ピア・マイヤー=シュリーヴァー、塩田千春
衣裳: クリスティーネ・ビルクレ
照明: マルティン・ハウク
ドラマツルグ: イルカ・ザイフェルト

松風: イルゼ・エーレンス
村雨: シャルロッテ・ヘッレカント
旅の僧: グリゴリー・シュカルパ
須磨の浦人: 萩原 潤

音楽補: 冨平恭平
ヴォーカル・アンサンブル: 新国立劇場合唱団
管弦楽: 東京交響楽団
ダンス: サシャ・ヴァルツ&ゲスツ

ハンブルク祭りでバタバタしているなか、絶対これは見逃せない!と、新国の松風は初日に観てまいりました。3階1列目正面という通常ならベストな席だったのですけど、1階で観ればよかったなぁとちょっと後悔。

というのも、美術が素晴らしかったから。塩田千春さんの網(でいいのか分からないけど)に奥から光が透けてくる感じとか、上から観ていても素敵だったのですが下からだともっと幽玄の美が感じられたのだろうな。その後の、骨組みだけの家や、そこに降ってくる大きな松の葉とかも本当に秀逸。松の葉のところは、落ちる音もいい。しんしんと積もっていく想い・・・。全体的にはシンプルでモダンで欧州的なんですが、根底にはわび・さびな雰囲気がある。過去にそこにあったものの痕跡−逆に言えばその不在−を物凄く感じさせる美術だったと思います。いやー好きだわー、これ。

作品自体はオペラと思って観に行ったら実はコンテンポラリーのダンス作品だった、という印象でした。歌手は4人+合唱ですが、これがみんな踊るんです。松風と村雨の役のお二人は、よくもまああんなリフトされてて歌えるな、と。演じられる人が物凄く限られますね。そしてサシャ・ヴァルツのカンパニー、みんなとてもよく訓練された素晴らしいダンサー達でした。ググったら初演の松風はバーバラ・ハンニガンなんだな。彼女、一度も観たことも聴いたこともないけど、とても気になっている歌手です。

とはいえ、私が感心したのはダンスではなく先に言及した美術の方。サシャ・ヴァルツの振付のムーヴメント部分については感動はなく、振付よりもダンサーの配置などの空間の使い方が印象に残っている。多分、そこに重点を置いた作品づくりだったのだろうと推測しています。

細川さんの音楽は、私は他に「静かな海」しか知らないんですが、それとかなり似ているなと感じました。西洋の音響でありながらベースにお経があるような。不思議なマッチングですけれど、それが本当に個性的。

平日の夜の現代音楽のオペラということでガラガラなんじゃないかと思っていましたが、席は9割方埋まっていました。土日の公演も完売だった様子。ここでもまた、日本のファンは保守的で有名な演目でないと人が入らない、と思い込んでいる運営陣の認識を正してもらいたいなと強烈に思った次第です。日本のアートファンをなめてもらっては困ります!

カーテンコールは細川さんとサシャ・ヴァルツの二人も登場。このとき京都にはジョン・ノイマイヤーもいたわけで、ドイツで活躍するバレエ・ダンス界の大御所二人が日本にいるって凄いなあ、何て光栄なことなんだろうと思いました。

新国のチャレンジに心から感謝と称賛を。来シーズンの紫苑物語も楽しみにしています!
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