手。

私、心霊現象は未体験ですが。
前のマンションに住んでいた時の話。



深夜、たまたま休日前で起きていたら、玄関ドアの新聞受けから、成人男性らしき手が、ズゴッ、と突っ込まれたことがあります。



ちなみに、どう見ても生きてました。
血色めっちゃ良かった。





……と、今だからのんきに書いておりますが、当時はかなりビックリしましたよ。


勢いよく差し込まれた衝撃で、新聞受けの「新聞が入る部分」が落っこちた。鉄板で出来た箱が落ちるガァン！という音が、そう広くない玄関に、高く響いた。

キッチンと玄関が一体の1Kだったから、たまたまキッチンにいた私には、幸か不幸か、その手の動きがよく見えました。

その「手」は、甲の中ほどから先だけが、新聞受けの狭い口から、室内に侵入した状態。
まるで手紙か何かを探すような素振りで、バタバタと数秒間ドアの表面を這いまわった後、すぐに引っ込められました。





……その後私はすぐさまリビングに引っ込み、内鍵を掛けてしばらく困惑しながらガクブルしておりましたので、「手」の持ち主がその後どうしたのかは、よく分かりません。


単に、隣人(男性)が、自分の部屋と間違えて手を入れただけかもしれません。

……まぁ、普通、自分の部屋の新聞受けは〈室外〉からではなく、〈室内〉から開けるとは思いますが。


もしくは、隣人は何かの連絡(手紙)を待っていて、それがなかなか来ないことに焦り、「隣室(私の部屋)に間違って投函されてしまった」という可能性に思い至って、焦りのあまり、酔った勢いかはたまた深夜テンションか、他人の部屋の分かりつつ手を突っ込んでしまった、とか………この辺が一番平和的な解釈でしょうか？


ドアの外では足音らしき物が聞こえたような気もしますが、隣室の鍵を開けた音は、どうでしょう、しなかったようにも思います。
よく分かりませんでしたが。

そもそも、あのマンションの住人ではなかったかもしれません。





――その後は、結局翌朝まで、何事もありませんでした。
新聞受けはドアの金具にがこん、と嵌め直したら元に戻りました。

警察に相談しようかとも思いましたが、何を盗られた訳でも無し、足を踏み入れられた訳でも無し。
結局そのままになりました。


たぶん、事故物件ではなかったと思います。
たぶん、隣人が酔っていただけ、でしょう。


駅近で、新宿まで乗り換え無し・コンビニ徒歩一分・徒歩３分に何でも揃う便利なジャングルまでありましたが、家賃はなかなか悪くありませんでした。
部屋がもうちょっと広かったら、今も住んでいたかもしれません。



■怖いイメージのある事故物件。住んだことがある人の3割はあえて選択!? 事故物件調査（1）
(弁護士ドットコム - 02月22日 09:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=149&from=diary&id=4997485