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2018年02月19日22:55

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ハンブルクバレエ2018年来日公演 ニジンスキー 2/10, 2/12

大好きなハンブルクバレエの日本公演が全日程終わってしまいました。演じる側はもちろん、公演にいらしていた観客の皆様も物凄く集中していた、素晴らしい公演だったと思います。ファンとしては本当に嬉しい限りです。

今このタイミングであの演目を日本でやるという決断をしたジョン・ノイマイヤー氏と招聘元のNBS、そして高い期待で会場に来て下さった方々すべてに、心から感謝。

公演期間中は全力で観ていて感想をアウトプットする余裕がありませんでした。ぼちぼちと思ったことを上げていこうと思います。

まずは、一番思い入れの深いニジンスキーから。作品については事前にさんざん書いてますので、ダンサーのパフォーマンスに絞っての感想です。長くなりそうなので、二回に分けます。今回はファーストキャストの方。

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2018/2/10土 14:00-
2018/2/12月祝 14:00-
東京文化会館

音楽:
・フレデリック・ショパン
・ロベルト・シューマン
・ニコライ・リムスキー=コルサコフ
・ドミトリー・ショスタコーヴィチ

振付・装置・衣裳:ジョン・ノイマイヤー

◆主な配役◆

ニジンスキー:アレクサンドル・リアブコ
ロモラ:エレーヌ・ブシェ
ブロニスラヴァ・ニジンスカ、妹:パトリシア・フリッツァ
スタニスラフ・ニジンスキー、兄:アレイズ・マルティネス
ディアギレフ:イヴァン・ウルバン
エレオノーラ・ベレダ、母:アンナ・ラウデール
トーマス・ニジンスキー、父:カーステン・ユング
タマラ・カルサーヴィナ:シルヴィア・アッツォーニ
レオニード・マシーン:(2/10)ヤコポ・ベルーシ(2/12)リロイ・ブーン
【ダンサーとして役を演じるニジンスキー】
 『謝肉祭』のアルルカン:(2/10)アレクサンドル・トルーシュ(2/12)ヤコポ・ベルーシ
 『ばらの精』:(2/10)アレクサンドル・トルーシュ(2/12)ヤコポ・ベルーシ
 『シェエラザード』の金の奴隷:マルク・フベーテ
 『遊戯』の若い男:(2/10)ヤコポ・ベルーシ(2/12)リロイ・ブーン
 『牧神の午後』の牧神:マルク・フベーテ
ペトルーシュカ:ロイド・リギンズ
内なる世界でのニジンスキーの象徴、ニジンスキーの影:
 アレイズ・マルティネス、
(2/10)アレクサンドル・トルーシュ(2/12)コンスタンティン・ツェリコフ


最愛のサーシャ・リアブコのニジンスキー。2/9金にゲネリハも観たので、4日間で都合3回観たことになります。

サーシャ、凄かった。何て人なの。

彼のニジンスキーは10回以上観ていますが、2/10と12のニジンスキーはそれまでのと印象が大きく変わっていた。今までの彼のニジンスキーも究極の完成形だと思っていたのに、まさかそれを越えてくるとは。若いダンサーは進化するものだと思っていたけど、ベテランでもこんな風に進化をするのか、と衝撃を受けました。

もちろん、ニジンスキーが憑依してるとしか思えないあの狂気は凄絶なのですけれど、そして終わり方も凄まじいのですけれど。でもどこか、今回の彼のニジンスキーには潔さがあり、彼の苦しい感情の渦に巻き込まれながらも終演後は観ているこちらの魂が浄化されて救済された気持ちになりました。

ニジンスキーを観てそんな気持ちになったのは初めてです・・・。

最後のシーンは、ニジンスキーの目からは狂っているとしか思えないこの世への別れ。でもそのとき彼は、この世界に何も求めずに生きる道を選択したのだなと思いました。それは絶望的なほど孤独な道だけれど、彼が生きるために選べる道は、それしかなかった。

そういう誇り高い孤高の精神、哲学的なまでの魂は、サーシャの素なんだろうなあと思います。ステージ降りるとほわっとした雰囲気なことが多いので分かりにくいけど、何物にも侵されない、何物にも阿らない、強い自我を持っているのだなぁと。

何か、また次のステージに上がってしまったな、彼は。

と同時に、今回のサーシャは激しい感情を表現しながらも一つ一つのパを驚くほど丁寧に踊っていて、パフォーマンスの一瞬一瞬を愛おしんでいる様子と、そして日本の観客への彼なりの愛情というかリスペクトというか、そういうものが伝わってくるようにも思いました。

そういうのもあって、最後のシーンは私達の苦しみを背負ってくれているキリストのようにも感じられました・・・。

サーシャ、カーテンコールで、2/10は一瞬目を潤ませていたし、2/12は投げキスをしてましたね。彼はどんなに熱いパフォーマンスしててもカーテンコールはいつも儀礼的なので、これは本当に珍しい。出待ちで会ったときに、観客が集中しているのが分かってすごく嬉しい、この役をここで演じられて本当に嬉しい、って言っていたので、彼としても、観客の雰囲気も含めて最高に満足のいくステージだったのだと思いました。

よかったなあ・・・(T_T)

はー、サーシャへの愛を語りだすと本当に止まらないので、この辺にしておいて、他のダンサーのことを。

サーシャのニジンスキーに欠かせないのは、イヴァンのディアギレフ。イヴァン、憎らしいほど美しくて素敵だった。彼らのPDDは愛情はあるけどお互いどうしても寄り添えない葛藤が何ともたまりません。イヴァンはディアギレフと全く似てはいないけど、佇まいが美しくて貴族的な雰囲気があるところがこの役にはまっていると思います。

ロモラ役のエレーヌ。産休明けですっかりふくよかになっていたのには驚きましたが、それでもエレーヌはエレーヌでした。スターの追っかけのミーハーなお嬢さん、発狂したニジンスキーを見捨てずに寄り添う母のような女性。その二面を破綻なく演じられるのは彼女ならでは。しかも彼女はサーシャと対等な強さを持ってる。2/12は二人の間に濃厚な感情のやりとりがあって、よりストーリーの厚みが増しているように感じました。

ペトルーシュカはこの人でないと!のロイド。私は彼のペトルーシュカからはいつも淋しさだけじゃなくて「怒り」みたいな黒いものを感じるのですが、それがあのシーンではニジンスキーの気持ちと共鳴して胸にずしんと来る。ロイド、直前まで怪我でステージに出てなかったので日本公演で彼を観られて本当によかったです(T_T)

パトリシアのニジンスカの無機的な強さ、めっちゃ好き。スタニスラフのアレシュ、サーシャ以上の凄まじさ。彼は実はハンブルクでニジンスキーも演じてます。どんなだったんだろう・・・。そして家族役では母役のアンナが本当に本当に素敵だった。終盤で椅子に座ったニジンスキーの額にキスするシーンは、思わず泣けました。今まであのシーンは最後までの休憩だと思っていたのに・・・ニジンスキーは家族の美しい思い出の中に生きることにしたんだなと思ったら胸に迫るものが。

シルヴィアのタマラ・カルサヴィナ。シルフィードの妖精感もこの世のものとは思えないのだけど、牧神のニンフの強さが大好き!小さいのに強靭で現代的なところが大好き!

トルシュの薔薇の精は好きなんですけど、2/10は次の日のニジンスキー役の準備をしているのか、ちょっと暗い目をしていたように思いました。マークの金の奴隷、以前観たときより大幅に進化して艶っぽくなっていて驚き!やっぱり、回数を重ねるというのは大切なことなのだなあ。

2/10も2/12も会場はかなり人が入っていて、スタオベでした。今回の公演は全部最後スタオベだったけど、2/12のニジンスキーのときは特に熱狂的だったように思いました。

ニジンスキーはノイマイヤーの最高傑作だと思うのですが、そして私は大好きな作品なのですが、結構マニアックだと思うので、こんなに人が入ってしかも皆さんが感動してくださるというのは意外であると同時にとても嬉しかったです。

ジョン、サーシャ、他のダンサーのみんな、そして招聘してくれたNBSさん、本当に本当にありがとう。一生忘れられない公演でした。
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