昨日、「無筆重宝国尽案内」という判じ物をアップしたのと、その中に「ひ」と「し」の混同とおぼしき例があったのとで、思い出しました。
似たような例に「東海道五十三次はんじ物」というのがあります。これ、在職中に担当していた教養教育科目の「日本語と文化」の中で毎年のように取り上げていました。
「東海道五十三次」とありますが、全部で20項目しかなく、対象となっている宿場も日本橋から岡部までという東側の地域に限られます。これ、本来は東海道五十三次の東部・中部・西部の3部構成か、あるいは東部・西部の2部構成のうちの東部に当たるものと思われます。
20項目の中には分かりやすいものと難解なものとがあります。
分かりやすいものとしては、右端の上から3つ目。歯と猫がひっくり返っている絵。「ねこ」がひっくり返って「こね」、その上に「は」があるので、「は+こね」です。
左端の中程にある戸板と刀の柄(つか)の絵は「と+つか」ですね。その右隣は竹の皮を割いているので、「かわさき」。(^_^)
さて、2枚目の画像は、戸塚の下にある絵を拡大したものです。
難解ですが、日本橋から岡部までの範囲で考えると、どうやら平塚のようです。なぜ平塚になるかというと、左側に魚(かつお)が描かれています。尾がないので、「かつ」。頭を下にしているので、「つか」でしょう。
かつおの右側の男は「お若えの、お待ちなせえやし」の白井権八と思われます。着物に丸に井の字の紋所が見えます。その上半身なので「しら」。両方合わせて「しら+つか」となります。
白井権八は、本名は平井権八だそうなので、それならば素直に「ひら+つか」となりますけれども、この人物、講談や歌舞伎の世界では白井権八の名で通っているものと思われますので、やはり「しら+つか」と考えるべきかと思います。
そうなると、これも昨日の信濃と同じく「ひ」と「し」の混同例となりましょう。
信濃の場合は以下のような感じですかね。
「しなの」はどうしよう。「しな+の」で、「の」は野原の絵を描けばいいな。
「しな」は……、「そうだ。おシなさまにしよう」。(^_^)
平塚の場合はこんな感じでしょうか。
「シらつか」はどうしよう。「シら+つか」かな。「つか」は刀の柄なら簡単だけども、戸塚で使っちまったからなぁ。ちょっと難しくしてみるか。
「シら」は、おいらの大好きな白井権八で行こう。
なんてことかと。(^_^)
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