関東の秘境・千葉県。その山深い森の中に、現在は到達不可能になった幻のダムがあるという!
全てが謎に包まれた、鴨川の山奥に緊急取材!
(ナレーター:田中信夫)
人々の来訪を拒む森の奥に到達するには、我々の想像を絶する困難が待っている。その為には、厳しい自然と命がけで闘わねばならない!
我々片喰探検隊(隊長=隊員)は、その謎を解く為に、今まさに、清澄の森に挑もうとしている!
そこから始まる過酷な旅程、我々探検隊を待ち受けるのは、いかなる困難なのか!?
『第二袋倉ダム』
清澄と鴨川の間の山奥、袋倉川の上流にあるといわれるダムである。
そのダムは鴨川と勝浦の間、『東町交差点』から入った未舗装の悪路を、車で40分。さらに底なし沼が隠れるトンネルや、足元もおぼつかない崖沿いの急坂を上ること20分で姿を見ることができたという。
その悪条件の重なる道のりに、ダムマニアの間でも到達困難なダムとして知られ、幾人もの挑戦者が無念の涙を飲んだという。
さらに近年、その崖沿いの道が崩壊、ついに到達の道が断たれてしまった!
だが、我々探検隊は、かつて訪れた『遠沢新道』への途中の道、『郷台林道』の地図に、一つのインスピレーションを得た!
【片喰探検隊:幻の明治道・遠沢新道は実在した!】
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1925462365&owner_id=14892747
この『郷台林道』から出る『広場林道』との間に、何らかのルートがあるのではないか!?
そのインスピレーションを元に調査を進めると、驚くべき情報が得られた!
なんと、ダムから広場林道へ抜けた到達者が存在したという!
『堰堤(ダム)上の手摺柵が一か所開いていて階段がある』
『左岸を回り込んで坂を登る』
『背の低いトラス(三角形構造)の鉄橋で湖を渡る』
『全体にかなり急で、足元には細心の注意が必要』
『ところどころに先達の取り付けたマーキングがある』
『最後は林道の終点に出る』
断片的な情報ながら、この『広場線ルート』は存在していると確信した我々探検隊は、このわずかなる情報を頼りに、再び清澄の地へと向かった。
だが、『郷台林道』へ潜入した我々は、早くも第一の困難に直面した!
なんと、先日関東を襲った大雪がまだ残り、路面が氷結しているではないか!
もしも以降の道がこの状態では、到底探検を続ける事は不可能である。
探検を打ち切るか続行か、生命に直結する危機だけに、慎重な判断が望まれた。
隊長の判断は続行であった。
理由は、前回の探検時、この周辺は湧き水が道に溢れ、晴天の日でも水たまりが点在していた。
つまり、凍結はこの周辺のみであろうというのが理由であった。
果たしてその判断は正しく、以降の道は比較的雪も解け、問題なく進むことができた。
そして入口から徒歩40分、ついに『広場林道』入口に到着。
ほとんどの資料では、この先は行き止まりとなっているこの林道を、我々はわずかな情報に縋っ
て歩き続けた。
さらに徒歩30分後、、ついに『広場林道』の終点に到着、我々は、未知の山奥へと歩を進めた!
そこは森の中、尾根筋の道であった。
かろうじて道と思われる道をかなりの急角度で降りなければならず、我々探検隊は慎重の上にも慎重を重ねて足元を確かめつつ降下していく。
そして密林への侵入から30分、一瞬、木々の切れ目にそれは現れた!
湖がわずかだが見えたのである!
あれが、『第二袋倉ダム』なのであろうか!?
はやる気持ちを胸に、慎重に尾根筋を降りていく。
だが・・・
道は行き止まりとなっていた!
左右を何度見渡してみても、道はない。
一体どこで、道を間違えてしまったのだろか?
降りてきた道を再び上り、左右にわずかにある獣道を調べてみたものの、それらはすべて人が歩くのには適さない道ばかりであった。
時刻はこの時点で12時20分。
気ばかりが焦り、「撤退」の二文字が頭をよぎった、まさにその時!。
「!!!」
尾根筋の崖の下に、かなり急な角度ではあるが、別の尾根が存在していた!
あれが隠されたルートなのだろうか!?
慎重に崖の下へと降り、新たな尾根に足を踏み入れる。
この道なのだろうか!?
今度こそは、という思いで、尾根筋の道を降りていく。
するとそこには!
『背の低いトラスの鉄橋で湖を渡る』
情報通り、小さな鉄橋が姿を現した!
長さは20m程であろうか?
鉄板の横に鉄骨のトラスの簡素な鉄橋である。
人工物であるにもかかわらず、森の中にたたずむその古い鉄橋は、違和感なく自然に溶け込んでいた。
周囲の光景をしばし目に焼き付けた我々は、再びダム攻略の為に歩を進める。
ここまでは情報通りに進んだ。あとはダムへ到達するのみか。
そう考えたその時、我々に最大の困難が訪れた!
目の前に現れたのは、荘厳な雰囲気を見るものに与える杉林。
思わず立ち止まり、その幽玄さに目を奪われざるを得ない光景であった。
だが、杉の木々は等間隔に立ち上り、この先のルートがわからない。
どこだ、どこが最終ルートなのだ!?
我々は目を凝らし、慎重にこの先の道を模索する。
その時我々は、決定的なものを発見した!
『ところどころに先達の取り付けたマーキングがある』
その言葉通り、そこかしこにテープでマーキングがしてあるではないか!
かつてこの山々を越えてきた人々が、我々に置いて行った道標。
その道標に感謝しながら、我々は力強く歩を進めていく。
そしてついに!
『堰堤上の手摺柵が一か所開いていて階段がある』
その言葉通りの階段があり、その階段から一歩、また一歩と歩を進める。
開けた先にあったのは、50mはあろうかという堤防。
ついに我々は、求めていた幻の地に到達した!
時に、13時10分。
数々の挑戦者を退けた『第二袋倉ダム』に、我々は足を踏み入れたのだ!
あたりは静寂に包まれ、ダムから落ちる水の音だけが周囲に響いていた。
ダムの奥には先に錆びた手すりのある急な山道があり、おそらくここが潰えてしまった道なのだろう。
実際、歩を進めると大規模な崖崩れがあり、踏破はかなり困難だと思われる状況であった。
振り返ってみると、ダムの全貌が露になった。
奥の壁には定礎と、第二袋倉ダム概要が掲載され、昭和46年に作られたことがわかる
高さ24mのコンクリートダムを半世紀も前、あの悪路から資材を搬入して建設するのは、想像を絶する難工事であったことだろう。
『第二袋倉ダム』への幻のルートは実在した。
断片的な情報と先人の助けによって、我々探検隊は、この困難なルートを制覇する事ができたのだ。
だが我々は、その水門用の操作機器を見た時、ある事に気が付いた。
明らかに、新しい塗装が施されているのだ。
という事は、このダムに人が来ているという事なのか!?
そもそも、水路操作の為に、職員はどうやってこの地へやってきているのだろうか?
第一ルートが潰えた今、我々が来たあの過酷なルートを、彼らは機材を持ってやって来ているのだろうか?
それとも我々の知らない、第3のルートがあるのだろうか?
湖は静かに水をたたえ、我々の問いに、何も答えることは無かった。
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