mixiユーザー(id:10881945)

2018年01月19日22:33

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惜しい、もう一歩

集団の大きさの違いを指摘してこの記事をミスリードとする主張は、間違いじゃないんだが医療行政に対する視点がやや欠けている気がするな。

医薬品(相対リスクは小さいが曝露集団は極めて大きい)とハチ刺症(相対リスクは大きいが曝露集団は極めて小さい)とでどちらがより重大な要因かという話は、相対リスクの大きさのみでは決められない。

効果の指標としては、相対リスクをどれだけ下げられるかよりは何人救えるかということのほうが重要になる(単純に絶対リスクという訳でもなく、集団の大きさが影響する)

それと、介入に要するコストが如何許りになるかも重要になる。

この辺りのことを考えると、取り組むべき対象としてはハチ毒より薬剤のほうが重要ということは間違った話ではないだろう。

尤も、アナフィラキシーそのものへの治療法は原因が何であれほとんど変わらないから、その点に関しては原因を分ける必要はないと思うが。

この記事において重要なことは、注射剤によるアナフィラキシーショックは非常に足が速いということだろう。早急に対応しないと取り返しのつかないことになる。
そして一般に注射剤は医療機関にて投与されるため、きちんとしたシステムを整えれば早急な対応が可能であり、高い介入効果を期待できるということもまた重要だ。

朝日新聞にはいろいろと”前科”があるので批判したいのは分からないでもないが、この記事に限ってはそれほど悪い記事でもないと思うよ。





この記事において不満なのはむしろ、注射剤のみに焦点を当てていること。

注射剤によるアナフィラキシーショックの死亡は2年で12例だそうだ。10年間では60例……とは限らないが、大きな変化がなかったとすればそのくらいだろう。

医薬品によるアナフィラキシーショックの死亡が10年で263人なので、ざっと200人くらいが注射剤以外の薬により死亡していると思われる。

機構のその報告がこの200例についても検討を加えているか否か私は知らない。
もし触れているのならば、記事としては2年で12例の注射剤によるアナフィラキシーショック死に触れつつ、それ以外の200例への対応に焦点を当てるのがよかろう。
触れていないのならば、その部分について問題提起をするのがよかろう。

もう少し言うと、主に医療機関にて投与される注射剤とは対照的に、それ以外の薬(おそらくそのほとんどは内服薬だろう)は主に自宅や職場など医療機関外で使用される。対策はこの点を踏まえて打つことが望ましく、情報の発信に関しても医療機関への周知ばかりではなく一般市民への周知もある程度有用だろう。
一般市民レベルだとたとえば、一度アナフィラキシーショックを起こした薬は今後間違っても服用しないようにという話などは有用かもしれない。なかには楽天的すぎる人もいて、アナフィラキシーショックを経験していながらその時たまたま具合が悪かったから薬の副作用が強く出ただけだと危険を軽視する人が出ないよう、こういう注意は必要だろう。
これは個別には主治医の仕事なのだが、実際にそういう知識が定着するためには正しい情報に触れる機会の多いほうがよく、たとえば厚労省など大きな組織がwebや報道機関などを通じて市民向けに大々的に情報発信することは望ましいことのように思う。






■注射剤で全身アレルギー症状か、2年で12件の死亡報告
(朝日新聞デジタル - 01月18日 19:35)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4948898
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