■「ルパン三世」新シリーズ「PART5」2018年4月から放送 ルパンたちが最新テクノロジーを駆使して大暴れ
(BIGLOBEニュース - 01月16日 17:00)
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ルパン三世も50周年か。
ルパンワールドにはアニメ第一シリーズから入ったので、ちょっとだけ「遅れた」ファンではあるものの、それでも47年間、原作もアニメも追い駆けてきた。観損ないがいくつかあるが、テレビシリーズもスペシャルも映画も、ほぼ全作を観てきている。
だから正直なところ、今さら、ジャケットの色がどうの、声優がどうの、そういう話題は勘弁してほしいと思っている。聞き飽きたって言うか、声優だってクリカンで五人目、ナマミで目黒祐樹やルー大柴のルパンまで見せられてきたんだから、もうどうだっていいのだ。ファン一人一人にそれぞれのルパンがあっていいんじゃないの？ どの作品のルパンが好きって言うのならともかく、あれは許せんとか、自分の好みでないルパンを貶したり扱き下ろしたりするのはやめようよ。そりゃ私だって小栗旬のルパンは許せんと思ってるけどさ。
そんなことよりも、注目したいのは、ルパンのビジュアルと、謎の男の正体である。もちろん、このポスターだけでは殆ど情報が分からない。けれども、このモノクルを片目に嵌めた絵から想起する原作エピソードがある。
連載も後半の「サンフランシスコ編」のルパンは、ジョン・スターモー警部との闘いで、片目を潰されてしまう。しかしルパンは、最新テクノロジーを搭載した義眼を片目に嵌めて、スターモーへの復讐
を誓うのだ。「サンフランシスコ編」はこれまで二度アニメ化されたが(『ルパン三世 PART�掘戞峩皺瑤魯襯僖鵑鮓討屐廚硲圍屮好撻轡礇襦悒▲襯�トラズ・コネクション』)、どちらもルパンの義眼の設定はなくなっていた。
テレビ放送の場合、実際に片目をなくしている方に配慮して、義眼の設定を省いたんだろうことは分かる。けれども、原作を使わないオリジナルエピソードの方が多いルパンシリーズで、原作を二度にわたって映像化することは滅多にない。それだけ「サンフランシスコ編」は人気が高いエピソードなのだ。
もしもこのポスターのモノクルが、義眼を隠すためのものだったら？ と夢想してしまうのは、やはり「原作に忠実には描かれなかった」ことに対して、恨み節の一つでも歌ってやりたい心境になっているせいだろう。
そして右隣の謎の男。ハイテクを駆使するライバルとなれば、原作で連想されるのはマスクの怪人・シャードックだけれど、こちらは普通の人間っぽい。今回のシリーズのみのオリジナルキャラクターなのだろう。第２シリーズ、第３シリーズのような１話完結の単発ものではなく、前第４シリーズで、レベッカやニクス、ダ・ヴィンチらをレギュラーキャラにしたことが成功したと、トムスの首脳陣は判断していると思しい。
だったら原作のレギュラーキャラで、アニメには殆ど登場してない刑事メロンとか出してやれよ、とも思うのだが。怪人二十面相も、乱歩の著作権が切れたから、堂々と出せるぞ！ てゆーか、この謎の男が二十面相であってほしい！
刑事メロンもそうだし、二十面相編、シャードック編など、原作には魅力的なライバルが数多く登場して、ルパンとの知恵比べを披露している。ところが彼らの活躍がアニメ化されたことはほぼ無いに等しい。ヤップランド編、バッドシティ編などの長編シリーズも映像化されることがなかった。
理由はある程度想像は付く。モンキー・パンチという作家は、非常に理知的でトリッキーなエピソードを描くこともあれば、一転してナンセンス、それが更に行き過ぎてシュールの域に達する作品も平気で描いてしまうという特徴がある。シュールと言えば聞こえはいいが、要するに支離滅裂なのである。『ヤップ・ランド編』の「双子のルパン三世」のトリックとか、無茶苦茶でござりまするがなとしか言いようがなかったものなあ。
世の中には、モンキー・パンチのそのデタラメさが好きだという奇特なファンもいるが(私やあなたね)、ドラマにするにはちょいと困る。何とか「普通のドラマ」にするために、何とか話のつじつまを合わせて、かなりなアレンジを加えなければ、文字通り「話にならない」ことになってしまうのだ。よっぽど優秀な脚本家でもない限り、これは二の足を踏むよ。
モンキー・パンチ氏自身は、ルパンのアニメ化に関しては、何をどうアレンジしようと、若い人が新しいルパンを作ってくれればそれでいいというスタンスでいらっしゃるようだ。ただし、ルパンと峰不二子との間に子供がいるという設定の『ルパン小僧』だけは映像化してくれるなと、トムスに申し入れしているそうである。北九州でのトークショーで、モンキー氏がそう語られていた。まあ、ルパン小僧も、「二人の峰不二子」が登場してしまうシュールな話になっちゃってるから、映像化は難しいよね。
原作にあって、未だ映像化されていない作品の多くは、既に固定化しているアニメ版ルパン三世のイメージを破壊してしまう要素を多分に含んでいる。前述した義眼の件もその一つ。意外と知られてないが「次元大介には妹がいる」ってのもその一つね(兄貴もいたが死亡)。
しかし、モンキー氏が「最近のアニメのルパン三世はあまり『冒険』していない」と苦言を呈していたように、ルパンたちのキャラクターの魅力が薄れてきている嫌いがあるのではないか。ルパンはクールだけれど時々ドジな泥棒、次元は頼れる相棒のガンマン、五ヱ門はストイックな剣豪、不二子はセクシーな謎の(というほどでもない)美女、銭形はマヌケな警官と、お定まりのパターンでお茶を濁しているような印象を受ける。
原作のキャラクターたちは、そんな固定化されたイメージで描かれてはいない。今読み返しても彼らは自由奔放で、エピソードごとに猫の目のごとく印象を千変万化させている(次元にしろ、峰不二子にしろ、登場するたびにキャラ設定が違っていたのだ)。「原作を映像化できない」というのは、ルパンたちをもてあましているということではないのか。
なんだかんだで、第一シリーズの大隅正秋、高畑勲＆宮崎駿が作り上げたルパン以上の鮮烈なイメージを凌駕する作品には出逢えてはいないような気がする。その点では新シリーズにも過剰な期待はしていない。けれども、あえてルパン三世のさらに原典となった、モーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』に立ち返ってみせた前第４シリーズのような変則技に目を見張らされたのもまた事実なのだ。
何か一つでも「新しい仕掛け」があれば。新シリーズではそれを期待したいと思う。
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