mixiユーザー(id:721151)

2018年01月09日00:50

207 view

「アテネのタイモン」(兵庫県立芸術文化センター)1/7

2018年初観劇。蜷川シェイクスピアを引き継いだ吉田鋼太郎さん演出・主演ということで、蜷川さんのこころが確かにそこにあると思えたし、あたりまえだけどそうじゃないと感じたものもあって、だいたい私のシェイクスピアってほぼ蜷川さんだったから、なんだかちょっと不思議な感覚にもなりました。たぶん、あ、蜷川さんもういないんだな、っていうのを改めて実感したんだろうなあ。
一応、観劇前に予習で戯曲を読んでおいたのですが、文字だけでみた印象としては、なんだこれ???っていうのが正直なところ(苦笑)。話の筋としてはたいしたことないといえばたいしたこともないのだけれど、シェイクスピアの装飾ゴテゴテな独特な台詞の感じとか、歴史的文化的背景への知識不足とか、そんなところなんでしょうが、実際に舞台で見てみるとものすごくわかりやすかったです。意図的にわかりやすく見せてる感じはしました。日本人にわかりにくそうな場面とかばっさり切ってるみたいだし。
開演前のがらんとした何もない舞台上に役者たちが出てきてウォーミングアップをはじめたり、という演出は蜷川的。たくさんの役者たちの中、最後の方に舞台に出てきた鋼太郎さんは多くの役者さんたちと同じような白っぽい衣装というのにひときわ目を引く存在感で、舞台に出てきた瞬間に、あ、鋼太郎さん、とわかりました。

タイモンの鋼太郎さんは、このタイモンの台詞を語れる役者はこの人しかいないんじゃないかってくらいに思いました。気前よく人にいろんなものをあげちゃったりする愚かしいくらいの人の良さと、貧しくなったとたんに誰も手を差し伸べてくれない現実に絶望して呪いの言葉を吐き続ける後半と、どちらもすごい。
藤原竜也くんは、哲学者のアペマンタス。こちらも毒を吐く台詞ばかりですが、本心はいつもタイモンの身を案じているように思えて、そのツンデレっぷり(笑)が素敵。そしてやっぱり竜也くんの語るシェイクスピアの長台詞が素敵だなと思います。ものすごいいきおいで怒鳴り散らかすのもすごい迫力で圧倒されますが、私は後半のタイモンと向かい合う時にちょっと抑えたような語り方が好きな感じでした。鋼太郎さんとお互いに容赦なくやりあってる感じがとても良い雰囲気。
タイモンの執事の横田栄司さんがとてもやさしくタイモンを守ろうとしている包容力というかそういうものが見え隠れしていて、あたたかい雰囲気で殺伐とした物語の中で癒しの存在でした。もう鋼太郎さんと竜也くんと横田さんとか、安心感しかありません。
アルシバイアディーズの柿澤勇人くんは初シェイクスピアということですが、なかなかに良い存在感を発揮していた印象。衣装の赤も目をひきますが、台詞まわしもきりりとした印象で、見事な武将ぶりでした。ミュージカル中心の方ですが、歌でも感情を語れる人だと思ってたので、こういう場所でも思っていたよりずっと素敵な印象でした。しかし役の名前が長すぎて覚えられません・・・ただでさえカタカナ名は苦手なのに(笑)。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する