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2017年12月21日00:58

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40数年前の約束

たぶん小学校4〜5年の頃、誕生日か母の日かに、母親に手袋をプレゼントしたことがあります。
細かな理由は覚えていませんが、母親が「手が寒い」というようなことを言っていたのを聞いて、近所のお店で購入したのだと思います。小学生の小遣いでも買える数百円程度の金額だと思いますが、ボクが母親にあげた最初のプレゼントになります。

ところが母親は、ボクがプレゼントした手袋を1度も使ってくれませんでした。不満に思ったボクが文句を言うと、「お母さんがあの世に行ってから使うから、死んだ時に棺桶に入れて」と言われました。そう言われたことは今でも覚えていますし、その後も、何回かその話を母とした記憶があります。「サイズが合わない」と言われたこともあったような記憶がありますが、こちらは記憶がはっきりしません。

いずれにしても、小学生時代の話ですし、死んだ時と言われても、ずっと先の話であり、ピンときませんでした。でも、ちゃんと覚えておかなければ、という意識があったからこそ、今でも覚えているのだと思います。

――あれから40数年。ついに、思いがけず、その時が、今日、訪れてしまいました。

実は今回、母が急変する前にも、そのことが気になって、母親の部屋にある箪笥の戸棚を探してみたことがあります。その時は、10分くらいで、見つかりそうもないと断念しました。その時点では、母親が死ぬとは思っていませんでしたが、それでも、そう遠くない将来のためにと思って、念のために探してみたわけです。

そして、母親が亡くなって1日後の17日の夜、これが最後のチャンスと思って、戸棚の中を全部空にして探しました。しかし、見つかりませんでした。ボクの幼いころの記憶では戸棚の中だったのですが、違っていたのか、または移動されたようです。それでももう少しと思って、戸棚の下のある箪笥の引き出しを探して。ちょうど未使用のハンカチ類が入っている一角があったので、そこを調べてみたら、奥の方にしわくちゃになった紙包みが出てきました。そこに入っていたのが、写真の手袋です。

ボクの記憶では白い手袋だったので、最初のうちは自信がありませんでした。ただ、外紙まで一緒に残してあるところなど、それらしき雰囲気もあったので、よく調べてみました。そうしたら、外紙にお店のゴム印の跡がうっすらと残っているのを発見。ボクが記憶していた店(山崎商店)と一致しました。これで間違いないです。母親が外紙も一緒に残しておいてくれたことで確証が得られました。

今日の出棺の時、花などを入れる前に、母親の両手にあたりにこの手袋を置き、セロファン袋や外紙も近くに置きました。手伝ってくれた従妹には、簡単に事情を話しましたが、上記のような経緯をちゃんとわかっているのは、ボクと母親の2人だけです。

大人になってから、母親とこの話をした記憶はありません。1回くらいあったかもしれませんが、「どこにしまったかは忘れた」という程度の答えだったと想像されます。少なくても、話せば思い出してくれたはずです。

ボクにとっても母親にとっても、40数年前の小学生時代なんて、遠い昔の話ですし、あまり現実感がありません。それでも今日、40数年前に母に言われたことを(幸運にも?)果たすことができました。40数年という歳月の重みがわかるのも、ボクと母親の2人だけだと思います。
それを幸運と呼ぶべきなのか、今でも戸惑いがありますが……。

こんなことでも、やれることはちゃんとやったよ。
少しは誉めてくれよ。あの時代が懐かしいね。

追記
手袋の横にあるリボン状の布切れは意味不明です。手袋と一緒に入っていましたが、単に、別のものが紛れただけかもしれません。でも、念のために一緒に棺に入れました。

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