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2017年12月10日22:59

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ハンブルクバレエ2018年来日公演について(5)ダンサー紹介Part3

ハンブルクバレエのダンサー紹介。3回目は、ニジンスキーでの活躍が期待されるダンサー編です(ただし、椿姫編でご紹介した人を除く)。

バレエ団の公式サイト上のダンサー紹介ページ(英語版)はこちら。
http://www.hamburgballett.de/en/menschen/hamburg_ballett.php

NBS公式サイトの「ニジンスキー」キャストはこちら。
http://www.nbs.or.jp/stages/2018/hamburg/nijinsky.html

◆アレクサンドル・リアブコ Alexandre Riabko

奥様のシルヴィア・アッツォーニとともに、日本のバレエファンの間ではハンブルクバレエを代表するプリンシパルとして有名なアレクサンドル・リアブコ、こと、サーシャ。2000年の初演時のファースト・キャストでは「薔薇の精」役でしたが、その後すぐにニジンスキー役を踊るようになり、それ以来ハンブルクバレエでのニジンスキーの公演の半分以上は彼が踊っているのではないでしょうか。
彼の持ち味は、素晴らしいクラシックのテクニックと、そして、まるで役が憑依したとしか思えないようなリアルな感情を観客にずしっと伝えてくる表現力。特にニジンスキーは彼自身も思い入れのある役で、2幕などは、あそこで苦しんでいるのはニジンスキーなのか、サーシャ・リアブコその人なのか、もう見てる方にも分からなくなります。役を演じるときに自分自身の精神をどこまで役に重ね合わせるか、ニジンスキーを演じているときの彼は、そのリミッターを切っているようにも思えます・・・。
ノイマイヤーのニジンスキーは本当に緻密で考えに考え抜かれた素晴らしい作品ではありますが、それでも、サーシャの演じるニジンスキーは、他の人には絶対到達できない境地にあると思う。先日NHKのBSプレミアムシアターで彼のニジンスキーが放映されましたが、本当に彼で収録してくれて有難う、と思いました。彼も来日公演時で39才、体力的にもハードなニジンスキーの全幕を踊れる期間は、この先、そう長くないかもしれません。
サーシャのニジンスキー、ちょっとでも「観ようかな、どうしようかな」と迷っていらっしゃる方がいたら、是非この機会を逃さないでください。ライブで彼のニジンスキー全幕を観られる最後のチャンスかもしれません。
(つい熱くなって長く語ってしまいました。)

◆イヴァン・ウルバン Ivan Urban

現在はプリンシパルではなくSpecial Artistという立場のイヴァン。キャラクターダンサー、というようなイメージでしょうか。とはいえプリンシパルでいた最後の数年はほとんど怪我で舞台に上がれなかったのに、今シーズンは頻繁に重要な役を演じています。金髪が薄くなっても、佇まいが貴族的で美しい。ハンブルクバレエの中では背が高いほうで、広い肩幅でしっかりした体型。
ニジンスキーでは、初演時のファーストキャスト以来ずっと演じ続けている、バレエリュスの主宰、ディアギレフを演じます。彼のディアギレフは美しくて、そして、酷薄。ディアギレフは、ニジンスキーを自分の想いでがんじがらめにしておきながら、若いダンサーに手を出すなどして、彼の精神を蝕んでいく役どころ。サーシャとイヴァン as ニジンスキーとディアギレフ の男パドドゥは何とも言えず艶めかしく、濃密で、複雑な愛憎を感じさせるところが本当に大好きです。カーステンやロイドのディアギレフも観たことがあるのですが、あの妖しい魅力はイヴァンには全く及ばない・・・。
「ノイマイヤーの世界」では、サーシャと一緒に「Opus100〜モーリスのために」を演じるはず。サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」に乗せて微笑みを交わしながら踊る彼らのパドドゥは、心の底の何かが押されて思わず涙が出ます。

◆カロリーナ・アグエロ Carolina Agüero

セカンドキャストでニジンスキーの妻・ロモラ役を演じるのは、プリンシパルのカロリーナ。先日のBSプレミアムシアターのニジンスキーでもロモラ役を演じていました。
カロリーナは、ちょっと女優ダンサーみたいなところがある人で、コミカルな役をやらせても上手いし、真逆の幸薄い役も似合う。彼女のエミリアは素晴らしいです(オテロに出てくるイアーゴの妻役。ノイマイヤー作品では、イアーゴのDVを受ける役です)。
ノイマイヤーのニジンスキーのロモラはなかなか難しい役だと思います。最初はニジンスキーの華やかな面に憧れて猛烈アタックするミーハーな女性として登場し、最後は発狂した彼に耐えながら傍らに居続ける妻を表現しなければならない。カロリーナのロモラは、1幕よりは2幕の発狂したニジンスキーとのすれ違いのパドドゥのところで見せる哀しさがとてもいいと思います。

◆カレン・アザチャン Karen Azatyan

ニジンスキーが演じたセクシーな役、「牧神」と「黄金の奴隷」のファーストキャストはプリンシパルのカレン。彼はバイエルン歌劇場のバレエ団から移籍してきた、ハンブルク歴の割と浅いダンサーですが、素晴らしいクラシックのテクニックと巧みな表現力、そして美しい顔立ちで、主要な役を次々と踊っています。ただ、少し怪我が多くて、2016年の来日公演のときも怪我で来られなかった。今回は無事に来てくれることを切望してます。
ハンブルクバレエの男性ダンサーは、どちらかというと少年ぽいタイプが多いのですが、カレンはその中では貴重な大人の男の色気を持っている人。個人的にはブベニチェク兄弟を彷彿とさせるところがあるな、と感じており、そのオットーが初演した黄金の奴隷はカレンに絶対似合うだろうとかなり前から思っていました。で、昨年9月にそれを観られて大満足!黄金の奴隷のオットーが大好きだったのですが、カレンのはそれに勝るとも劣らない色っぽさ!・・・と思ってたのに、収録のときはMarc Jubeteがこの役をやっていて、かなりがっかりしました。いえ、Jubeteも悪くはないのですがカレンが本当に素晴らしいんです。来日公演ではカレンがファーストに戻っているのを見て心底嬉しかった。ぜひご注目ください。

◆アレイズ・マルティネス Aleix Martínez

ニジンスキーの兄のスタニスラフを演じるのは、ソリストのアレイズ(普段アレシュと呼んでいるのでここから先はそちらで失礼)。スタニスラフの見せ場は、2幕のソロ。ローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリーバリエーションでも比較的よく演じられる、あの発狂シーンです。アレシュはそのローザンヌでも賞をとったことで分かるように、バレエ団の男性ダンサーの中でクラシックのテクニックは1、2を争う強者。背が低いのが本当にもったいないのですが、テクニックだけではなく、役が憑依したような表現力を持つダンサー。最近は、本拠地で演技力が必要な主要な役を演じることも多くなってきました。
ニジンスキーがサーシャくらいインパクトが強いダンサーだと、スタニスラフもそれ以上のインパクトが与えられる人でないと物語が成立しない。そういう意味で、アレシュのスタニスラフは素晴らしいです。
「ノイマイヤーの世界」では、クリスマス・オラトリオの群舞などで彼の弾けるような踊りも楽しめます!


ダンサー紹介編は、これで終わり。来日公演についての記事、残すは「ノイマイヤーの世界」についてだけとなりました。

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ハンブルクバレエ2018年来日公演についての記事のバックナンバーはこちらより。

その1)「椿姫」のご紹介
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-302.html

その2)「ニジンスキー」のご紹介
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-306.html

その3)ダンサー紹介 Part1
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-311.html

その4)ダンサー紹介 Part2
http://kikoworld.blog.fc2.com/blog-entry-320.htm

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