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2017年12月03日14:28

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母親に近い《症例報告》2件(4例)

V-Pシャントを装着した状態で転倒して、硬膜下血種になった事例を探していたら、以下の3つの症例報告を発見しました。
なかなか意識が戻らない今の状況をどう評価したらいいのかわからないので、精神的にも疲れるのですが、そのためには、うちの母親となるべく同じような症例を知る必要があります。

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症例報告
脳室腹腔短絡管保有患者に外傷性急性硬膜下血腫を合併した2症例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcns/6/6/6_KJ00002979314/_pdf

20年前の報告だが、うちの母親と同じようにV-Pシャントをしている状態で硬膜下血腫を発症した事例。これまで調べてきたことと矛盾する内容はないが、治療の経過などが具体的にわかるのが有益。

2例とも、受傷前と同程度までに改善しているが、2例目の女性は、呼びかけに応答するまで、3週間もかかったらしいので、回復にはある程度の時間が必要になるようだ。

(54歳男性)
| 術直後から瞳孔不同は消失した.脱水療法を行い,頭蓋内圧は20mrnHg以下に
| 保った.術後1週間ほどで,自発開眼,簡単な応答が可能となF),1カ月後に
| 顔面,四肢に麻痺なく,軽度高次機能障害を残すのみにて独歩退院となった

(61歳女性)
| 術後脱水療法と人工呼吸器による管理にて頭蓋内圧を20mmHg以下に保った.
| 術翌日には瞳孔不同が消失.術後3週間頃に呼びかけに対する応答が現われ,
| 2カ月後には左手を用いた摂食と簡単な会話が可能となり,運動性失語,右半
| 身麻痺,神経因性膀胱を残し,リハビリ目的にて紹介転院となった,

2人とも、初期段階では意識レベルがJCS200(昏睡)と、母親よりも重症だが、すぐに血種除去手術をしていて、V-Pシャントの圧力を高レベルに変更している。母親の場合は、血種除去手術が外傷の1週間後で、シャントの圧力変更がその10日後。さらに年齢が82歳と高齢。――こうしたことを加味すると、回復に時間がかかるのは、ある程度は必然だと考えられる。

考察では、予後が良好だった要因が3つ挙げられている。

(1) 受傷から手術まで2時間。
(2) V-Pシャントによる減圧が、二次的脳損傷を最小限に食い止めた。
(3) 損傷部位が小範囲だった。

ただし、V-Pシャントについては、功罪があることも指摘されていて、以下のように結論付けられている。

| しかし,滅圧効果が一時的に頭蓋内圧のコントロールに効果的であったかもし
| れないが,逆に血腫を増大させ,結果として脳ヘルニア症状を早く出現させる
| 原因になった可能性もあり,一概にV-P shuntによる減圧効果を強調するわけに
| はいかない.

| 本症例はV-P shuntが存在しなければ小範囲損傷部位からの出血が自然に止血し,
| 軽度の硬膜下血腫にとどまり,脳ヘルニア状態にまで達しなかったかもしれない.

| われわれの2症例はV-P shuntの存在により血腫が増大し,脳ヘルニア兆候を示し
| たが,早期の手術による減圧が可能だったため脳幹障害が軽度ですみ,もともと
| の損傷部位が小範囲のため,機能予後が良好であったと考える第3の要因の方が,
| V-P shuntの減圧効果による二次脳損傷防止効果と考える第2の要因より考えやす
| いと思われた.

いずれにしても、うちの母親の場合も、(2)と(3)が当てはまるし、(1)に関しても、初期段階では脳ヘルニアの兆候がなかったので、手術のタイミングはそんなに遅くないと評価できる。とはいえ、上記した、1週間後、10日後、82歳というマイナス要因を考慮すると、回復が順調にいかないのは仕方がないのかもしれない。

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次は、2008年の症例報告。同じくV-Pシャントで硬膜下血腫の症例。

《症例報告》
軽微な頭部打撲後に硬膜下血腫を来たした脳室腹腔シャント留置患者の2例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/45/3/45_3_193/_pdf/-char/ja

(65歳女性)
| 第26病日から訓練室でのリハを再開し,

| 当初は,刺激がなければ傾眠傾向で,車椅子への移動や経口摂取は全介助の状態で
| あったが,2カ月目頃から口頭指示に応じられるようになり,動作は緩慢であるも
| のの,誘導によって自発的な動きが見られるようになってきた.

| 3カ月目頃には移動は杖歩行,食事はスプーン使用で自力摂取可能となり,
| Barthel Indexは30点となった.第103病日,更なるリハ目的でリハ病院へ転院した.

この患者の場合は、受傷前のバーセルインデックス(基本的生活動作)が40点だったので、3か月後に30点まで回復したというのは驚異的。しかも、単なる出血ではなくて脳挫傷があり、再出血・再手術をしているので、かなりの重症といえる。

だからなのか、回復傾向が目に見えるようになるのに2か月もかかっている。ただ、細かい経過は母親とは異なる部分も多いので、一概に比較はできない。
シャント圧の変更や結紮(けっさつ)をして、第11病日には脳室拡大が認められて、シャント再開・減圧に転じている。シャント圧変更の効果が出るのに、10日くらいかかったことになる。

(60歳男性)
| 第60病日よりベッドサイドでのリハを再開し,関節可動域訓練,筋力増強訓練,
| 日常生活動作訓練を施行した.当初は歩行時のふらつきが著明で,

| 第80病日頃より運動機能の向上が認められるようになり,3カ月目頃には移動は
| 介助歩行,食事および整容動作はほぼ自力で可能となり,Barthel Indexは40点と
| なった.第106病日,更なるリハ目的でリハ病院へ転院した.

この患者も、受傷前のバーセルインデックスが55点なので、100日目で40点はかなりの好成績。ただ、意識回復の時期の情報がない。当初は経過観察だったが、第6病日に、開頭ではなく穿頭手術、その後に髄膜炎を併発しているので、母親のケースとはかなり違う。
脳室拡大が認められてシャント再開をしたのは第29病日だから、圧力変更から脳室拡大まで4週間かかったことになる。

2例に関する考察は以下の通り。
やはりシャントの功罪について指摘している。

| 動脈が損傷した場合は急性硬膜下血腫が惹起されるが,シャントにより髄液が
| ドレナージされるため初期には頭蓋内圧が亢進せず,血腫の増大が急激である
| にも関わらず症状の出現が遅れる場合がある.しかしながら,更に血腫が増大
| し続ければ,最終的には頭蓋内圧亢進を緩衝する髄液が消失するため,極くわ
| ずかの血腫増大により非常に急激で破局的な頭蓋内圧亢進が惹起され,本症例
| 1 のように突然に意識障害を来たしたり,さらには脳ヘルニアを起こし突然の
| 呼吸停止を来たしたりすることになる.

| 静脈が損傷した場合も,シャントによる髄液ドレナージのため頭蓋内圧が亢進
| せず,血腫による圧迫止血効果が消失するため,本症例 2 のように血腫が増
| 大し続け,亜急性の経過をとる場合がある

母親の場合、出血が動脈なのか静脈なのかわからないので、今度、主治医と話すときに確認しておく必要がある。経過を比較する限りでは、症例1と症例2の中間くらいという印象。

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《症例報告》
脳室腹腔シャント留置患者のリスク管理
http://ci.nii.ac.jp/els/contents110001849043.pdf?id=ART0002013488

19年前の報告だが、これは死亡例。かなりの重症で、3日後に死亡しているので、参考にはならない。

| 柳川らも,VPシャント患者での軽微な外傷が重篤な硬膜下血腫に至った症例を報告
| したが,VPシャントの減圧効果が主因ではないかと推察している.

柳川氏の推察というのは、上述した20年前の症例報告のこと。

以上。

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