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2017年11月25日23:10

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モーリス・ベジャール・バレエ団 Bプロ

2017/11/25土 18:00- 東京文化会館

◆ピアフ
振付:モーリス・ベジャール
音楽:エディット・ピアフ

『愛の言葉』:男性全員
『アコーディオン弾き』:クゥィンテン・ギリアムズ
『冷淡な美男子』(ジャン・コクトーの戯曲より):アンジェロ・ペルフィド
『私の回転木馬』:スン・ジャユン
『道化師万歳』:ハビエル・カサド・スアレス
『あなたはきれいね、分かってるでしょ...』:男性全員
『私の友達リュシアン』:ドリアン・ブラウン
『水に流して』:男性全員

◆兄弟
振付:ジル・ロマン
音楽:モーリス・ラヴェル、エリック・サティ、吉田兄弟、美空ひばり、
    シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

ガブリエル・アレナス・ルイス、リザ・カノ
那須野圭右、大貫真幹
ジャスミン・カマロタ、大橋真理
*出演順

◆アニマ・ブルース
振付:ジル・ロマン
音楽:シティ・パーカッション(ティエリー・ホーシュテッター&jB メイアー)

カテリーナ・シャルキナ、コナー・バーロー
リザ・カノ、ハビエル・カサド・スアレス
ジャスミン・カマロタ、ジェイム・オエッソ
エリザベット・ロス、クゥィンテン・ギリアムズ
キャサリーン・ティエルヘルム、ジュリアン・ファヴロー

◆ボレロ
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

メロディ:ジュリアン・ファヴロー

リズム:
アンジェロ・ペルフィド、ガブリエル・アレナス・ルイス、ファブリス・ガララーグ、コナー・バーロー、
スン・ジャユン、ダニエル・ゴールドスミス、マッティア・ガリオット、ミケランジェロ・ケルーチ、
ヴィト・パンシーニ、ローレンス・リグ、ハビエル・カサド・スアレス、フェデリコ・マテティッチュ、
ドノヴァーヌ・ヴィクトワール、ジェイム・オエッソ、クゥィンテン・ギリアムズ、大貫真幹、
ヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ、アントワーヌ・ル・モアル

※音楽は特別録音によるテープを使用


ジュリアン・ファヴローのボレロが観たくて、当日の開演数時間前に行く決心をし、当日券でBプロ行ってきました。行ってよかった。決断した自分を褒めてあげたいです。

ジュリアンのメロディ、ほんっとに凄かった・・・!終わった瞬間、会場全体から歓声が。物凄いスタオベでした。

出だしは柔らかで女性な雰囲気。筋肉質の美しい体躯の存在感は大きいのに、手先足先に至るまで物凄く繊細な動きで、美しい芸術品のよう。あくまで滑らかな動きの中に、ところどころふっ!と力が入る。音が大きくなるにつれてその力点が増えていき、次第に力強さが増していくメロディ。跳躍も多くなる終盤は、時折叫びながら、メロディとほぼ対等な存在感のリズムと濃厚にエネルギーを交わし、舞台から物凄い力が客席に流れ出してきました。最後は男性的な力強さに溢れながらも、決して荒ぶる神やシャーマンのような特別な存在ではなく、あくまで敬虔さあふれる「祈る人」だった。こんなメロディは初めて観ました。

ボレロは本当に名作ですが、誰が踊ってもこんなに心が震えるような感動を与えてくれるわけじゃない。ジュリアンのボレロも、前回の来日公演(2013年らしい)で観たときは繊細で美しかったけど、このパワーはありませんでした。あのときと今回の違いは、彼の気迫だったような。年齢的にもダンサーとしての終盤を迎え、バレエ団でも数少ないベジャールの直弟子。そういう状況のジュリアンの、この作品や踊るということに対する真剣な想い、それがボレロという作品の形をとって私達観衆の心を揺さぶったのじゃないかな、と思います。

この作品は、メロディに、何か背負うものや覚悟のようなものないと強くならない。ってことを、今回しみじみと実感しました。ボレロは何回も観ていますが、間違いなくこのパフォーマンスはベストの1つです。

そして本家のリズムはやはり素晴らしかった。リズムは東バで観ることが多くて、東バのそれも悪くはないのですが、やっぱり体格が違う。そして、メロディとリズムの間に存在感の差がさほどないことが、かえって全体の場の力を強くするんだなとも。

はー、素晴らしいボレロでした。これだけでチケット代の価値がある。。。

その他の作品は、残念ながらさほど印象に残ったものはありません。ピアフは、ベジャールだってボレロみたいな作品だけじゃなくてこういうお洒落なの作ってたよなぁ、それにしても女性歌手を男性ダンサーだけで構成するってベジャールらしいなあ、と思ったり(男性ダンサーの肉体美とパフォーマンスは素晴らしかった!)。ジルの作品はこういう洒脱さを受け継いでるんだなとは思いながらも、ベジャールと違って、ジルの作品には苦しさや哀しさなどの深い重い感情が少ないのだな、と思いました。それは時代の違いかもしれないし、パーソナリティの違いなのかもしれない。ジルは今幸せなんだろうな。。。

今回の来日公演3演目を観て、ベジャールバレエはすっかりジルのバレエ団になったのだな、という印象が強かったです。ベジャールの頃から残っているダンサーはもはや数人しかいないようですし、それも当たり前。・・・なのですが、彼の作品・今回のベジャール作品のセレクションに見られる、今のジルが目指す方向性というのは、私の嗜好性とはちょっと違うなというのが正直な気持ちです。ジルの作品自体、さほど個性が強いようには思えないし、やっぱり似ていて続けて観ると飽きがくる。バレエ団存続のためには、次の柱になり得るジル以外の新しい振付家の作品が必要そうな気がしました。ベジャールバレエ団は今後も来日公演があるものと予想しますが、さて、次回はどのような変貌を遂げているものか・・・。

自分のためのメモとして、2013年の来日公演時のボレロ入りプログラムの感想へのリンクを。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1894490064&owner_id=2438654
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