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2017年11月25日21:47

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デュエル56

久しぶりになりましたが、デュエルの話を更新しようと思います。
2カ月ぶりなので前回のページを下に

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1962538656&owner_id=5259603

雪鏡の力で羽蛾の記憶の世界へ誘われます。

「招かれざる決闘者」その56

インセクター羽蛾は童実野町をうつむきながら歩いていた。その足取りは重く、時折通り過ぎる通行人からの視線を避けるように顔を反らしその度に舌打ちをしていた。かつてはデュエルの日本チャンピオンにまで上りつめた羽蛾は当時こそそれなりの人気を得て、スター気分を味わっていたが王国で武藤遊戯に敗北して以来は目覚ましい活躍をすることもなくその人気は地に落ち、こうして人の視線すら気にして耐えられないほど落ちぶれてしまった。

「くそ・・・」

羽蛾はうつむきながら歩いているため前から来た少々人相の悪い若い男に肩をぶつけてしまう。当然、烈火のごとくその男は羽蛾に詰め寄る。

「痛!このガキ!気を付けやがれ!」
「くっ・・・この!」

人相の悪い男に対し怯える素振りを見せず、それどころかふてくされたように羽蛾は男を見ていた。それがその男には癇に障ったのかさらに怒りを露わにする。

「何だ?ガキが!やる気か?」

男の言葉に羽蛾はぽつりと答える。

「お前、僕のこと知らないのか?」
「あん?お前みたいなガキ知るか」
「僕はインセクター羽蛾だぞ!」

この名前を出せばかつてであれば相手は驚愕し羽蛾にひれ伏していただろう。だが、知名度がブラックマンデーの如く暴落した羽蛾の名前など男は知らない。

「インセクター羽蛾?知らねえな。」
「ヒョヒョヒョ・・・僕は全日本チャンピオンだったんぞ!」

そう言うと羽蛾はデュエルディスクを構える。それを見た男は呆れながらもデュエルディスクを取る。いろいろと突っ込みたいところがあるだろうが、デュエルによってすべてが決まるこの世界では自然の光景だ。デュエルが強い奴が偉い。これがすべてだ。

「ああ、そうかい。それならデュエルで勝負だ!」
「ヒョヒョヒョ!後悔させてやる!」

こうして羽蛾は単なる通行人であるこの男にデュエルを仕掛けた。

「デュエル!」

羽蛾vs通行人A LP4000

「僕のターン!ドロー!」

羽蛾 手札×6 LP4000

「僕はモンスターをセット!カードを1枚伏せてターンエンド!」

羽蛾 手札×4 場 モンスター×1 伏せ×1

「俺のターンだ!!」

通行人A 手札×6 LP4000

「俺はメカ・ハンターを召喚!!」

メカ・ハンター 攻撃力 1850 ★4 通常召喚

「さらに機械改造工場をメカ・ハンターに装備!!」

機械改造工場 装備魔法 
機械族モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。

メカ・ハンター 攻撃力 1850→2150
機械改造工場 装備

「まだまだ!!もう1枚あるんだよ!!」

メカ・ハンター 攻撃力 2150→2450
機械改造工場 装備

「ハッハッハ!!攻撃力2450ならどんな壁モンスターもいちころだ!攻撃!」

男は強化されたメカ・ハンターを従えて心が大きくなっていた。レベル4以下のモンスターの守備力は高くても起動砦のギア・ゴーレムの2200。これを超えれば確実に破壊できる。男はそう思っていた。だが、そんな男の思惑が伝わったのか羽蛾は憐れむような目をして自らが仕掛けた罠を見る。

(ふん、わざわざミラーフォースを発動するまでもないな。)

メカ・ハンターが守備モンスターを攻撃すると伏せられたカードから巨大な虫が現れた。

「ヒョヒョヒョ!お前は馬鹿か?人食い虫のリバース効果!フィールド上のモンスター1体を破壊する!」
「メカ・ハンターが!?」

人食い虫は攻撃され、消滅するが消える瞬間に放った毒の牙がメカ・ハンターを貫く。機械であってもこの破壊からは逃れられない。普通ならリバース効果を警戒するのは当然だが、大会に出ないような一般デュエリストのレベルはこんなものだ。

「ヒョヒョヒョ!さて、どうする?」
「くっ、ターンエンド。」

通行人A 手札×3 LP4000

「僕のターン!!」

羽蛾 手札×5 LP4000

「僕は代打バッターを召喚」

代打バッター 攻撃力 1000 ★4

「そして殺虫剤。代打バッターを破壊。」

殺虫剤。フィールド上の昆虫族モンスター1体を破壊する通常魔法を羽蛾が発動すると巨大な殺虫スプレーが代打バッターに吹きかけられ代打バッターは光の粒と消える。

「代打バッターの効果。手札から昆虫族モンスター1体を特殊召喚する。おいでませ女王様!!」

インセクト女王(クイーン)
昆虫族 地属性 ★7
(1):このカードの攻撃力は、フィールドの昆虫族モンスターの数×200アップする。 (2):このカードの攻撃宣言の際に、自分は自分フィールドの他のモンスター1体をリリースしなければならない。 (3):このカードの戦闘で相手モンスターを破壊したターンのエンドフェイズに発動する。 自分フィールドに「インセクトモンスタートークン」 (昆虫族・地・星1・攻/守100)1体を攻撃表示で特殊召喚する。
攻撃力 2200 守備力 2400

代打バッターがフィールドから墓地へ送られた時に発動する効果で羽蛾は自らの最強モンスターを呼び出す。巨大な蟻と人間の女性を合成したような不気味な風貌の虫だ。これこそが羽蛾が誇る虫たちの女王だ。

インセクト女王 攻撃力 2200→2400 ★7

「魔法カード二重召喚発動!その効果で甲虫装甲騎士(インセクトナイト)召喚!」

二重召喚(デュアルサモン)。通常1度しかできない通常召喚を2回行うことを可能とする魔法で羽蛾はレベル4通常モンスターで最強の昆虫を召喚する。

甲虫装甲騎士 攻撃力 1900 ★4
インセクト女王 攻撃力 2400→2600

「甲虫装甲騎士で攻撃!!」
「ぐわ!?」

甲虫装甲騎士 攻撃力 1900 直接攻撃 戦闘ダメージ1900
通行人A LP4000→2100

「ヒョヒョヒョ!甲虫装甲騎士を生け贄にインセクト女王でダイレクトアタック!!」
「ぐわああ!!」

甲虫装甲騎士 攻撃コストとして生贄 インセクト女王 攻撃力2600→2400
インセクト女王 2400 直接攻撃 戦闘ダメージ 2400

通行人A LP2100→0

勝者 羽蛾

「くっ・・・覚えてやがれ!!この虫野郎!」

デュエルに負けた男は捨て台詞を吐きながら走り去っていった。そんな男の背中を見ながら羽蛾は笑っていた。

「ヒョヒョヒョ!!雑魚が吠えてやがる!おっかしいの!!」

指を差して逃げる男をひたすら笑う。自分が日本チャンピオンだったという過去の栄光にすがり陳腐なプライドが傷つかないように羽蛾は笑う。だが、しばらくして我に帰った羽蛾は笑うのを止め舌打ちする。

「・・・けっ!あんな雑魚を倒して喜んでどうするんだ。」

人気のない道を選んで羽蛾は歩を進める。別に行くところなんかありはしない。ただ、家に一人でいるのも人がいるような場所にいるのも苦痛でしかない。当てもなく街を彷徨っていた。

「うん?何だ?変な気配が」

妙な気配がする。ビル街の裏通りを歩いているとそれは突然感じ取れた。羽蛾はそれに誘われるように歩いていく。その先にはわずかに開けた空間があり、苔だらけの井戸が佇んでいた。

「古井戸?何だろう?中に何かあるのか?」

街中にいつからあるのかわからないほど古い井戸がある。不思議に思った羽蛾は井戸の中がどうなっているのか気になりその中を覗き込んだ。おおよその予想通りそこには深い闇が広がっている。

「真っ暗だ。まあ何かあるはずないか・・・え?」

ポンと羽蛾は背中を押された感覚に襲われる。バランスを崩した羽蛾は井戸の中へ頭を突っ込んでしまう。必死にもがいた。そして誰が背中を押したのか確かめようとした。だが、そこには誰もいない。いるはずがなかった。羽蛾は吸い込まれるように井戸の中へ落ちていった。

「うわあああ!!!」

井戸の中に羽蛾の情けない声が響いていた。深い深い井戸はいつまでも底に辿り着かず、それを待たずして羽蛾は意識を失った。

・・・・・

今日はここまで。
何とも底辺のデュエルを展開してしまいました。
でも逆にそれがおかしくなって良いんじゃないかと思います。
次回は羽蛾が首謀者と対峙します
ここまで読んでいただいてありがとうございます!

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