あなたの書斎の窓から見える風景は、私にはとても懐かしい風景
昔、ここの近くの丘の上にあるプールに、大きな船が浮かんでいた
何を見てるの?
あなたはゆっくりと窓際に立つ私の背後に近づいて、私の肩を抱こうと手を伸ばす。
昔、ここに船があったでしょ?プールに浮かんで。覚えてる?
と、私は話しながら、私に触れようとしたあなたの手をかわすように窓際から離れた。
そうだっけ?忘れちゃったよ。
出した手を、何気なく下ろしながらあなたは答えた。
あなたの気持ちはわかるけど、
なぜだか素直に受け入れられないのは、
心の中に忘れられない人がいるからなのか。
あなたがあの大きな丘の上の船を忘れてしまったように
私も忘れてしまえば、
あなたの気持ちにもっと素直になれるのに。
丘の上の船もあの人のことも忘れることは
今の私には、まだ出来ない。
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