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2017年11月23日22:10

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Hamburg Ballet / The Little Mermaid

Hamburg Ballet / The Little Mermaid

2017/11/10金 19:30- ハンブルク州立歌劇場

The Poet: Ivan Urban,
The Little Mermaid: Silvia Azzoni,
Edvard / The Prince: Carsten Jung,
Henriette / The Princess: Carolina Aguero,
The Sea Witch: Alexandre Riabko

いろいろ思いがたくさんあって文章にまとまりにくかったハンブルクの人魚姫の感想です。だいぶ時間が経ってしまいました。

11/10のハンブルクの人魚姫の公演を観に行ってきました。2泊4日の弾丸でしたが(そしてハンブルクは1泊だけ)、本当に行ってよかったと思っています。

この作品、何度も観てるはずなのに今回やっと意味が本当に理解できた気がしました。

人魚姫の最後の絶望の理由は、ライバルが現れて恋が叶わなかったということだけではないのですね。むしろ彼女の真剣な想いが全く理解されないという、コミュニケーションギャップの絶望の方が大きいのかもしれない。 ジョンが表現したかったのはそこなのではないか。

人魚姫は、アンデルセンの原作では「美しい」ということになっています。にも関わらず、ノイマイヤーは、歌舞伎のような一見醜くもとれるメイクを施し、足がついてからもどこか魚類を思わせるぎごちない動きのキャラクターに仕立て上げました。ただし、作品中で、王子や他の人々が人魚姫を「外見が醜い者」として扱っているというようには見えない。幼児のような扱いをしていることが感じられるだけです。

歌舞伎メイクや魚類のような動きは、外見の醜さではなく、何を表現しているのか?

・・・恋愛感情に関して王子と絶対にコミュニケーションがうまく行くはずがない、その根本的なギャップを視覚化して強調したものなのではないかなあ・・・。

私は今まで人魚姫の気持ちを少女の恋だと思いこんでいた(たぶん子供の頃に読んだ童話からの刷り込み)けど、この日のシルヴィアの演技を観ててそれが間違っていたと気づいて、初めてこの作品の意味を理解して、涙が出ました。 人魚姫の王子に対する態度はまるで私(や王子)には少女の恋のような表現に見えるのだけど、人魚姫にとっては実は真剣な愛情表現なのでしょう。人魚族の愛情の表現は、人間族のそれとは違う。あるいは、絶対に愛情表現に見えない。

愛情のコミュニケーションに大きな隔たりがあること。人魚姫が負っているこのハンデは、その作者であるアンデルセンの、友人(王子)に対する恋愛に対するハンデと呼応しているのだろうな。 男性であるアンデルセンがどんなに愛情を示そうと、王子にはそういうものとして受け取られない。

なんて哀しい。

人魚姫が王子を刺そうとしたとき、ふざけて死んだふりをした王子を見て(人魚姫はフリだとは知らない)、彼女は嘆き哀しみます。このシーンが物凄く切ない。シルヴィアの人魚姫は、幼児のように見えるのに、奥にある深くて真剣な愛情が伝わってくる。この複雑なバランスのなんと素晴らしいことか!素の彼女自身が持っている、いたいけなルックス+強靭な身体機能+人間性の全てが結実してこの役にこれだけの命を与えている。本当に素敵なアーティスト!

この日は、日本から何人もファンがきていました(しかもほとんどが一人でいらしてた!)。バレエ週間でもないのに、私のハンブルク仲間以外の日本人がこんなにたくさん来ているのを見るのは初めて(そして、お互い「来てるとは思わなかった!」って驚き合うという)。シルヴィアも嬉しかったんでしょう、出待ちで日本人ファンの一人一人に名前を聞いて、名前入りのサインをしてくれました。 自分達が観に行くことをアーティストが喜んでくれるって、ファンとしてこの上ない喜び。

もっと彼女が踊るのを観たいけど、最近主役級にキャスティングされる機会がどんどん減っていて。来年2月の来日公演も、彼女の活躍はあまり見られない。日本での椿姫のマルグリット、一回くらい彼女にしてくれればいいのに、ジョン・・・。

気を取り直して、他のダンサーのことを。

大好きなサーシャ・リアブコが、怪我降板のカレンの代役でSea Witchをやってました。この役では繊細な感情表現は見られないけど、彼の他の持ち味である、素晴らしいダンスを堪能できました!海神はパワフルな役ですけど、ジャンプの軽さ、キレのよさ、リズム感、どれとっても一緒に踊ってる若手のどのダンサーよりもサーシャが上。ワイルドに踊る彼も本当に素敵!夏に人魚姫を観たときは彼のノーブルな王子の美しさにノックアウトされたけど、男っぽい海神もすっごくいい!!最初はサーシャに会える予定じゃなかったのですが、キャストチェンジで見られて幸せでした。 あ、でも、海神をやる予定だったカレン・アザチャンも、私のお気に入りダンサーなので、怪我の具合は気になるところです。日本公演には絶対間に合わせてほしい。

詩人=アンデルセン役は、イヴァン・ウルバン。詩人役の最高峰はロイドだと思っていたけど、イヴァンも想像以上によかったです。彼は2年くらい怪我で舞台に立てなくて、やっと帰ってきたと思ったらダンサー登録ではなくなって。なのに、最近、当時よりも多く舞台に立っていて本当に嬉しいです。彼の美しい佇まい、そしてキレある貴族的な踊りはノイマイヤー作品には欠かせない。ディアギレフは絶対彼じゃなきゃ!

ところでこの日の客席で、リリオムでバルーンマンを演じてたサーシャ・リヴァに会いました。席が近かったのでじーっと見てたら、君たち日本からきたの?って声かけてくれました!来年早々に彼のカンパニー、ジュネーブバレエがアジアツアーするんだけど日本には行かないんだって残念そうでした。演目がロミジュリらしくて、ロミオをやることになった、と嬉しそうに教えてくれましたよ!彼とよく組んでるパートナーが日本人の女性ダンサーなので、日本のガラで踊れればいいんたけどって。アステラスとかに出てくれないかなー!サーシャ・リヴァ、かっこよくて可愛くて、そして人懐こい。彼が他のカンパニーに行ってしまったのは本当に痛いです・・・。

と、相変わらずとっても楽しかったハンブルク遠征。次の予定はしばらくなくて、その前に彼らの来日公演!盛大にお出迎えしなければ、です!
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