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2017年11月23日19:14

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カンブルラン×読響 アッシジのフランチェスコ

2017/11/19日 14:00- サントリーホール

メシアン:歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」(演奏会形式/全曲日本初演)

指揮=シルヴァン・カンブルラン
天使=エメーケ・バラート(ソプラノ)
聖フランチェスコ=ヴァンサン・ル・テクシエ(バリトン)
重い皮膚病を患う人=ペーター・ブロンダー(テノール)
兄弟レオーネ=フィリップ・アディス(バリトン)
兄弟マッセオ=エド・ライオン(テノール)
兄弟エリア=ジャン=ノエル・ブリアン(テノール)
兄弟ベルナルド=妻屋秀和(バス)
兄弟シルヴェストロ=ジョン・ハオ(バス)
兄弟ルフィーノ=畠山茂(バス)
合唱=新国立劇場合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
(合唱指揮=冨平恭平)

日本初演となるメシアンのアッシジ、初日に聴きに行ってきました。

いやーメシアンの音楽って色彩的に素晴らしい!そしてカンブルランに率いられる読響素晴らしい!歌手もよく、これだけの人を主要キャストに揃えたものよ!

と結果的には楽しんだものの、35分×2回の休憩を込みとしても5時間半の長丁場。演る方も聴く方も大変です。3幕は退屈する間もなかったけど、1幕や2幕はグレゴリオ聖歌みたいなゆったりしたトーンも多くてパフォーマンスが素晴らしいと思いながらもうとうとしてしまうことも。

メシアンの音楽って、これ以外にはトゥーランガリラしか生で聴いたことないのですが、独特の色彩感豊かな響きがとっても好き。彼が共感覚者で音に色が観えたというのが納得できます。ただ、その分、横のメロディーラインは古典の音楽ほど分かりやすくはなく、慣れないと辛い部分もありました。

とはいえ、生で観ていると、普段とは違うオーケストラ編成で見た目に楽しい部分も多かったです。オンド・マルトノという電子オルガンが3台、今回は高いところに設置されていて、何と効果的なことか!また、木琴鉄琴の従弟みたいな打楽器も大活躍。それ以外にも、風や波の音の効果音を立てるような楽器(?)、金属の薄い板を揺らして「ベラベラベラ」て音を立てる楽器(?)、などが音楽の中に効果的に組み込まれていて面白かった。パーカッション大活躍!

特に第5景の天使の奏でる音楽のシーンでは、合唱とオンド・マルトノの、まさに天上の音楽のような感動的な音で聴いている方も昇天してしまいそうな幸福感でした。

あと、鳥の声を採取し楽器で表現するのが大好きだったというメシアンのヲタク度が如何なく発揮されている作品でもあります。ありとあらゆるところに、野鳥のさえずり声を模した音楽が!聴いていると、ホールの中に本当に野鳥が飛び交っていると錯覚するような感覚に。

この曲、本当に長いので私も思わず途中で帰ってしまいたい気分になりました。実際、休憩を重ねるごとに完売だったホールに空席が増えていく・・・でも、最後が素晴らしいのです。あれを聴かずに帰っては意味がない!最後まで残った聴衆は、演奏する側とともに一つのことを成し遂げた一体感も感じられました。

歌手は皆さん、素晴らしかったです。特にフランチェスコを演じたテクシエ、落ち着きのあるたたずまいと深い温かな声がフランチェスコにぴったり。衣装はなしでしたが、男性陣では彼だけがジャケットなし、シャツにズボンだけでした。フランチェスコの清貧の精神を表現。

天使のバラート、美しいだけでなく強くてしっかりした音程の持ち主。顔も美しかったです。あと、重い皮膚病(=ハンセン氏病)を患う人を演じたブロンダー、凄い声量と見事な演技力でした。この方、プロフィールを読むとジークフリートのミーメを十八番としてらっしゃるとのこと、うんうんそういう感じだったな。聴いてみたい。

この曲の日本初演を行ってくれた読響の英断に心底感謝!そしてきっと熱意を持って実現に動いてきたカンブルランにも。この公演のチケットが完売と聴いて、日本のアートシーンも捨てたものじゃないなと明るい気持ちになりました。

アッシジのフランチェスコ、今日がびわ湖、そして26日にまたサントリー。オケと歌手とそしてマエストロ、頑張ってくださいませ!
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