大森。

大森に地獄谷ってところがありましてな。大森駅の山王側にへばりついている飲食店街で池上通りから急な階段を降りたところにある。だから地獄谷。居酒屋やワインバー、果てはオカマバーまであって、昭和のカオスの雰囲気が濃厚に漂っている。
自分は、キネカ大森の常連なので、帰りはそのご近所で飲みたくなる。この映画館自体がスーパーの5階の奥まったところにある昭和の遺物のような名画座なので、その延長はやはり昭和テイストでなければならない。大森という街は、競艇場もあるし、大井町や蒲田と一味違ったしぶとさを保っている。地獄谷については、いずれ詳しいレポなど。

年号が変わる話が本格的になってきた。そうなると、昭和という時代が、古いモノクロ写真のような、セピア色の記憶に包まれた蜃気楼の如き存在になる。昭和に対する憧憬をテーマにした映画や小説が流行るのは、不景気で世の中が懐古趣味になっているせいだろうな。
懐古趣味といえば、ハンチングや中折れソフトなど帽子を被るオヤジが増えてきた。自分もそうで、クローゼット開けると７〜８個置いてある。使うのは、休日だけ。いつのまにこんなに増えたかな。
土曜日の大森で、革ジャンにネルシャツに帽子を被った怪しいオヤジがいたら、それはオレだ。

おしまい。