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2017年11月19日00:17

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吉例顔見世大歌舞伎

2017/11/5日 16:30-
2017/11/18土 16:30-
歌舞伎座


一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同   二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
早野勘平 仁左衛門
女房おかる 孝太郎
斧定九郎 染五郎
千崎弥五郎 彦三郎
判人源六 松之助
母おかや 吉弥
不破数右衛門 彌十郎
一文字屋お才 秀太郎

恋飛脚大和往来
二、新口村(にのくちむら)
亀屋忠兵衛 藤十郎
傾城梅川 扇雀
孫右衛門 歌六

真山青果 作
真山美保 演出
元禄忠臣蔵
三、大石最後の一日(おおいしさいごのいちにち)
大石内蔵助 幸四郎
磯貝十郎左衛門 染五郎
おみの 児太郎
細川内記 金太郎
吉田忠左衛門 錦吾
赤埴源蔵 桂三
片岡源五右衛門 由次郎
久永内記 友右衛門
堀内伝右衛門 彌十郎
荒木十左衛門 仁左衛門

11月、歌舞伎座に2回行ってきました。そしてまだ行きたいと思っているという・・・。にざ様、本当に素晴らしい。大好き。

仁左衛門の勘平。育ちがいい、人のいいボンボンで、とても繊細でもろくて人情味たっぷりの勘平でした。武士というよりは町人っぽいけど、でもこの役作り、私のツボだったみたいで、彼に感情移入してボロボロ泣いてしまった。まあなんか私は、弱い人間が結構好きなんですね、きっと。

にざ様の役作り、本当に緻密だなと思います。指先の動き一つ、眉の動かし方に至るまで、考えに考え抜かれてると思う。だけど、それが理にまさる感じではなくて物凄く自然で、そこに勘平が生きている。歌舞伎って形式美なところがあるから、リアルさを追い求めるタイプの芝居とは違うよねと思ってたんだけど、にざ様の演技は歌舞いていながら感情が生っぽい。

勘平の、やるせなさとか、情けなさとか、そういう胸がぎゅっとなるような切ない感情の表現が物凄いのです。舅を殺したのは自分だ!と思った後、肩をすくめてうつむいたまま、長時間ぎゅーっとかたまる。胸の中に去来するいろんな想いを必死で閉じ込めようとしてる勘平の必死さが切ない。そして、おかると母親の会話を聞いてたまらず前に崩れ落ちていくところとか、切なさマックス。おかるが連れていかれる瞬間、たまらず彼女の名を叫んで抱きとめてしまうけど、真実はやっぱり言えなくてくーっとなる。何て可愛い人なんだろう勘平って、そして、何てやるせない状況なんだろうって、ハートわしづかみです。

大きく動いていなくても、胸の中にたまってる何かが伝わってくるって、どういうことなんだろう。

舅の遺体が運ばれてきた後は、突っ伏して組んだ手をずーっと細かく震わせてるんです。仏さんに謝ってるのかな。必死な想い。

そして、私が一番胸にぐっと来たのは、赤穂浪士仲間が家を訪ねてきたときにそれに答えようとしたら、舅殺しがばれて逃げるつもりだろうと姑に疑われ、「なさけなや〜」の台詞から始まる件。自分がこんなときに逃げるような人間だと、今まで家族同然の関係を築いていた姑から思われたことが、そして、そういう原因を作った自分が、本当に情けないと思っているのがにざ様の表情から、詞回しから伝わってきて、涙腺大決壊。人に信じてもらえない辛さ。その原因は自分にある。何と情けない・・・。

そのあと、仇討ちのために提供したお金は受け取れないと突き返され、姑だけでなく赤穂浪士仲間にも舅殺しの件を糾弾され、絶望した勘平は切腹。でもそのとき、舅の死因は彼の鉄砲でないことが判明する。このときのにざ様の、切った腹の痛みをこらえながらもぱーっと安堵の笑みがお顔中に広がるシーンが何とも・・・。姑に、「私が殺したのでなかったのですよ(セリフ正確じゃありません)」というシーンのお顔の優しさ、たまりません。ああこの人は、この家族を本当に愛していたのだなと。

さらに、仇討ちの仲間に入れてもらえることになり、血判状に並んだ自分の名前を確認して、もう一段、絶望から解放される。最後は姑の腕に抱かれながら、上を見上げて心底幸せそうな笑顔を見せた後、がくっと前に首を垂れて絶命。

最初に周りからぐわーっと追い詰められて絶望の谷に突き落とされ、そのあと一気に二段階の救済がやってくる、この感情の起伏を、にざ様は実に丁寧に繊細に表現してらっしゃって、もう途中からは涙が止まらなくなりました。私だけじゃなくて周りでもかなりぐすぐすしてらっしゃる方がいました。

にざ様の役作りについて熱く語ってしまいましたが、もちろん彼のもう一つの魅力はお姿の美しさ。横顔は二次元の世界から抜け出たようなビジュアル。あと、この方は本当に所作がきれいだなと。背筋がすっと伸びていて、指先に至るまで、細かい動きがすべて舞踊のよう。この役は舞台上でいろんなものを脱いだり着たり、ロープを結んだりするのですが、そういう仕草も芸術的。

はー、今まで少ないながら観てきた歌舞伎の中で一番の感動でした。にざ様の勘平、千秋楽までまだ一週間あるのだけど、もう一度観に行くべきだろうか、うーん。

にざ様、三幕の情に厚いお侍様も素敵だったなあ。幸四郎演じる内蔵助に切腹を申し渡したのち、二人でしばし視線を交わし合うシーンは、幸四郎も含めてしみじみいいシーンでした。

三幕の、大石最後の一日、幸四郎が重みのある内蔵助で凄くよかったです。あ、そうそう、染五郎、一幕の定九郎は存在感ある悪役でよかったし、三幕では瑞々しくて純真な若者役もよく似合ってました。三幕と言えば金太郎!すっごい美しくて、思わずオペラグラスでガン見。演技も堂々としてるし、これから先が楽しみですね〜。

熱くなりすぎて何だかまとまりませんでしたが、このへんで。


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