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2017年11月17日23:45

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モーリス・ベジャール・バレエ団 魔笛

2017/11/17金 18:30- 東京文化会館

振付:モーリス・ベジャール
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
装置・衣裳:アラン・ブレの原案に基づく
衣裳デザイン:アンリ・ダヴィラ
照明デザイン:ドミニク・ロマン

弁者:マッティア・ガリオット
タミーノ:ガブリエル・アレナス・ルイス
パミーナ:カテリーナ・シャルキナ
ザラストロ:ジュリアン・ファヴロー
夜の女王:エリザベット・ロス
パパゲーノ:ヴィクトル・ユーゴ―・ペドロソ
パパゲーナ:ジャスミン・カマロタ
モノスタナトス:ミケランジェロ・ケルーチ
夜の女王に使える三人の侍女:大橋真理、ソレーヌ・ビュレル、ヴァレリア・フランク
三人の童子:クゥィンテン・ギリアムズ、ローレンス・リグ、ドノヴァ―ヌ・ヴィクトワール
三人の僧侶:アンジェロ・ペルフィド、ダニエル・ゴールドスミス、ドリアン・ブラウン
三人の奴隷:アンジェロ・ペルフィド、ドリアン・ブラウン、アントワーヌ・ル・モアル
二人の武士:ダニエル・ゴールドスミス、コナー・バーロー
イシス:リザ・カノ
オシリス:ハビエル・カサド・スアレス


■本公演では次の音源を使用しています。(ドイツ・グラモフォン)
指揮:カール・ベーム
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:RIAS合唱団

ザラストロ:フランツ・クラス
パパゲーノ:ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ
夜の女王:ロバータ・ピータース
パパゲーナ:リーザ・オットー
パミーナ:イヴリン・リアー
弁者:ハンス・ホッター
タミーノ:フリッツ・ヴンダーリッヒ
モノスタナトス:フリードリッヒ・レンツ ほか


ベジャール・バレエの日本公演が始まりました。まずは初日の魔笛。

この作品、モーツァルトのオペラ「魔笛」をちょっとつまんで短くしてバレエにしてます。弁者っていう、まさに無声映画のそれみたいな役があって、場面の解説とか役の台詞をしゃべったりする。オペラはドイツ語ですが、弁者やその他の役がちょっとだけしゃべるときはフランス語です。

ベジャールの魔笛、だいぶ昔に一度観たのですが、予習なしだったのであまりよく分かりませんでした。オペラの魔笛を知ってから今回改めて観て、あ、ちゃんと理解できるな、と。オペラを知らない人は、全体的なストーリーの流れは分かるものの、各シーンで登場人物がどういう気持ちなのかということは全く分からないのでは?なんでもヨーロッパでは魔笛っていうオペラは本当に有名だから、それを知ってることは前提としてつくられてる、とある友人が言っていました。

というわけで、これからご覧になる方は、ぜひオペラのあらすじと、何なら有名なアリアの歌詞は一読しておくことを強くオススメします。

作品は、踊りがとてもクラシカルだなぁという印象が強かった。そして難しいですね。これを踊りこなすにはかなりのクラシックのテクニックが必要。ベジャールの舞踊言語ってもっと豊富だと思うので、この作品は敢えてクラシック周りのものを使ってるのかなと思いました。魔笛というオペラもそうですが、この作品はベジャールの中でも、ファミリー向けなものなのじゃないかな。だから弁者をわざわざ出して、登場人物を敢えてつくりものっぽく、一種の人形劇のようにも見える演出をしているのでは、と思ったり。

ただなあ、魔笛という作品としては、オペラの方が面白いと思っちゃった。あっちの方がもっとコミカルだし(時間を短縮するためにパパゲーノのコミカルなシーンが結構削除してある)、リズムもいいし。うーん、ベジャールファンの方、ごめんなさい。

あ、舞台美術はシンプルで洗練されたデザインで素敵でした。フリーメイソンの上向き+下向き三角のモチーフがありとあらゆるところに出てきます。

あと、録音音源がすんばらしかった。私はオペラに詳しくないので知っている名前はディスカウくらいしかいないのですが、タミーノ、パミーナ、夜の女王、ザラストロ、どれも見事な歌唱で、ついつい音に集中してしまった。こんなの生で聴いてみたいです・・・!

作品に関しては、魔笛よりはもっと大人ぽい作品とか、もっとコンテっぽいものが観たかったなぁと思いましたが、ダンサーは流石でした。ジルが芸監になって、クラシカルな基礎がきちんとしているダンサーが増えたなあという印象です。

一番印象的だったのは、パパゲーノを演じたヴィクトル・ユーゴー・ペドロソ。まだ体幹がしっかりしていなくてすっごく若いんだなぁと(もしかすると10代?)思いましたが、演技も含めてすっごくキュートで、そして上手い!彼がいるだけで舞台がぱーっと明るくなるような陽のオーラもある。

そして、やっぱりジュリアン・ファヴロー。彼の、強い体幹とかがっしりしてるけど柔らかい上半身とか大好きなんだけど、久しぶりに観たら更に大人になっていて。彼ももう40才なんですね。でも年齢を感じさせない美しい肉体と、そして安定感ある踊りでした。うー、私がチケットをとっていたのは彼がボレロを踊る日じゃないのが本当に残念。なぜ、彼がボレロのファーストじゃないの?ジル!

そして、前回の来日公演のときにオスカー・シャコンと並んで印象的だったシャルキナ、光り輝くように美しかった。腰や胸の、女性らしい柔らかなラインが本当にきれい。バレエに相応しい体型っていうとロパートキナみたいに細く長く強靭さのある手足を持つ人を思い浮かべるけど、彼女はそういう古典ダンサーとは違う独特の良さがあって好き。

あと、モノスタナトスを演じたミケランジェロ・ケルーチもちょっと粘っこい私好みのダンサーだったな。それから、三人の侍女のメインを務めていた大橋さん。手足は他の2人の方が長いのに、動くと彼女に目がいく。素敵なダンサーさんですね!

夜の女王を演じたエリザベット・ロスは、相変わらずきれいだなあとは思いましたし演技力は素晴らしいけど、ちょっとポワントが心もとない感じで、以前のような力強さは踊りからは感じられませんでした。彼女も48才ですね。ポワントで踊れていることさえ奇跡という年齢だから、贅沢言ってはいけないかしら。


会場には空席も目立ちましたけど、一階前方は終演後スタオベしてらっしゃる熱心なファンも沢山いらっしゃいました。ベジャールのファンの方は、これからしばらくは熱い日々が続きますね!私も全3演目制覇する予定です。
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