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2017年11月11日23:38

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MAXレーガーのあとクラりんレッスン

今日はついにラフマニノフとレーガーのベックリーン死の島比べです。

○新日本フィル♯10 ルビー <アフタヌーン コンサート・シリーズ>
開演:2017年11月11日(土)14:00
会場:すみだトリフォニーホール
曲目:
ラフマニノフ/交響詩「死の島」 op.29
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23*
レーガー/ベックリーンによる4つの音詩 op.128
ピアノ:カティア・ブニアティシヴィリ*
指揮:上岡敏之

ついに永年念願だったマックス・レーガーの「ベックリンによる4つの音詩」を生で聴く日が、そして同じベックリーンの死の島に題材をとったラフマニノフとレーガーの作品を並べて一つの演奏会で聴ける日がやってきましたよ!!!

ラフマニノフ/交響詩「死の島」
かなり(上岡さんにしては)オーソドックスな演奏ながら予想通りというかかなり熱い演奏で赤い炎を思わせる。オーソドックスというのはテンポをあまり揺らさなかったという意味で各楽器の奥行きの取り方とかは重層的で深い感じな味付けで気に入りました。

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番
せっかくベックリーンつながりなのにちょっと特異な曲の持って来かたですがラフマニノフつながりなのとブニアティシヴィリのための前座と後座というつもりの人にはちょうど良いのかも(前座も後座も20分前後なので)
さてじゅ。はブニアティシヴィリを聴くのは初めてです。(音源含めて。)当然見るのは初めて
ブニアティシヴィリ(以下ブニちゃんと略)は巷間で噂されるように素敵なプロポーションのかたですが弾き始めてオーケストラを圧する圧倒的な鍵盤テクニックに脳の上から3枚くらいを持って行かれたくらいの感じ (そもそも色白な写真と異なり精悍そうな肌色と何より腕の筋肉がすごいです、そっち好きの人には堪らないだろう) それでいて、オケの伴奏を破壊するということはなくきちんと立ててくれるのが良い。この曲の特質であるオーボエやクラリネットとのしんみりするやり取りはしんみりするけどそれでも少し艶っぽい。要するに健康的。正のオーラを出しまくり。という感じで聴いていて元気になる
上岡氏も曲造りはこちらもオーソドックスながら例によって時々ブニちゃんを大きく覗き込む変態指揮で冥利に尽きるとはまさにこのこと
サービス精神旺盛でブニちゃん奏者アンコール2曲。最初はドビュッシーの月の光でこちらはそれこそしんみり。すごいゆっくり。テンポ・ルバートは速い。風みたい。リフレインは一か所フラットを弾かなかったとこあるけどわざとかな?そうするとしんみりじゃなくなる。2曲目はシューベルト=リスト編曲セレナーデ。
(以下ブニちゃんと略と言いながらブニアティシヴィリと出てきた回数同じだった)

レーガー/ベックリーンによる4つの音詩
言われてみればラフマニノフと同年生まれ(没年は26年も早い)マックス・レーガーですが、歩みは全くの別世界、ただベックリーンの絵でのみ邂逅といった趣の死の島。(死の島は4つの音詩の第3曲。)
音源などでは明らかに異なるアプローチであってラフマニノフが燃える炎の赤ならレーガーは深く沈潜する冴え冴えとした青の色調なのであるが、今日の演奏ではそこまで大きな違いを感じずむしろああ、どちらもあの絵のことだなと思える印象
もともとブラームスの直系で難渋な音楽で知られるレーガーにしてはそこそこ解り易い明るい音楽として知られたベックリーンによる4つの音詩ですが本日の演奏は微熱を帯びているというかレーガーの基調の冴え冴えとした青に比べると暖色系の印象 特に第1・2曲に顕著 第3曲はさすがに暖色とまではいかないが微熱〜本格的発熱に近い情熱的な感じで、なにかあのレーガーでも熱い血が流れているんだと感じさせる演奏。ラフマニノフが演繹的・拡散的で死の島の山から吹き下ろす感じなのに対しレーガーが帰納的・集約的で死の島の山に吹き上げて昇り詰める感じの演奏なのが興味深い
一方、第4曲は巷の音源ではこれまでの鬱積を一気に晴らすような演奏が多いが本日の演奏は派手な中にもデモーニッシュな印象で全体としてベックリーンの陰鬱を外さないながらも血はたぎっているような地獄鍋を遠くから眺めているようなユニークな演奏 第4曲に限らずですが随所にテンポを妖しげに揺らす変態上岡氏の真骨頂が垣間見えてレーガーも決して謹厳実直な杓子定規の人ではないということが窺い知れた。

さてオーケストラアンコールにワーグナー/ニーベルングの指輪より「ジークフリートの葬送行進曲」!してやられたり!!レーガーはブラームスの直系でワーグナーの官能爛熟の対極にあるとされるが半音階的な複雑な進行などはワーグナーの直撃を受けており、(ブラームスの古典形式のまま複雑化したので難渋となったと思われる)それを見透かしたかのようなワーグナー攻撃であった!!まさにレーガーに顔面パンチ!しかも本日のテーマ「死」つながりでもある。なるほどこうしてみると中間に配されたブニちゃんの健康的な「生」(「性」ではない!)との対比がくっきりと浮かんでくるわけだ。

このあと、吉祥寺でクラリネットのレッスンを受けて帰宅。
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