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2017年11月03日21:37

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少し欠けたケーキ

我幼少の頃は、幼稚園に行く子は珍しかった。
母は私を幼稚園に行かせた。
因みに3歳上の姉は行かなかった。
教会運営の幼稚園に1年間通ったが、
子供の足で30分ほどかかるし、
内向的な性格もあって、友達はできず、
キリスト教の説明もよくわからない。
出来れば行きたくない、が本音だった。

冬休みに入ると直ぐに、
幼稚園からクリスマスパーティーの招待葉書が来て、
全員にケーキを配ると言う。
幼稚園は好きではないが、
ケーキにつられて出かけた。

パーティーで何をしたのかはさっぱり覚えていないが、
最後にケーキを配るので、並びなさいとのこと。
50人くらいの列のやや後ろのほうに並び、
やがて、順番が来た。

サンタのおじさんが、私の顔を見て、
葉書は?と言うのだが、
何のことかわからず、きょとん・・・としていた。
今から思えば招待の葉書を持参すれば、
ケーキと交換する、とでも書いてあったのだろう。
サンタのおじさんは、怪訝な顔をして、
時間をかけて、たくさんあったケーキの中から
端が欠けたケーキを選び、 差し出してくれた。

後ろに並んでいる子供達と、それを見守る周りの親達が、
あの子は教会と関係ないのではないのに、
ケーキをもらおうとしている、
それでも、流石は教会のサンタのおじさん、
あの子にもケーキをあげようとしている、
と思っているのではと、恥ずかしくてたまらなかった。
ケーキなどもらわずに立ち去りたかったが、
そんなことをすれば余計目立つ。
兎も角、ケーキをもらい、直ぐに家に戻った。

後刻、食べたそのケーキは、
ぱさぱさしで美味しくなかった・・・・と感じたのは、
ことの顛末を誰にも言えず、
幼き胸にしまい込んでいたからだろうか。

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