我幼少の頃は、幼稚園に行く子は珍しかった。
母は私を幼稚園に行かせた。
因みに3歳上の姉は行かなかった。
教会運営の幼稚園に1年間通ったが、
子供の足で30分ほどかかるし、
内向的な性格もあって、友達はできず、
キリスト教の説明もよくわからない。
出来れば行きたくない、が本音だった。
冬休みに入ると直ぐに、
幼稚園からクリスマスパーティーの招待葉書が来て、
全員にケーキを配ると言う。
幼稚園は好きではないが、
ケーキにつられて出かけた。
パーティーで何をしたのかはさっぱり覚えていないが、
最後にケーキを配るので、並びなさいとのこと。
50人くらいの列のやや後ろのほうに並び、
やがて、順番が来た。
サンタのおじさんが、私の顔を見て、
葉書は?と言うのだが、
何のことかわからず、きょとん・・・としていた。
今から思えば招待の葉書を持参すれば、
ケーキと交換する、とでも書いてあったのだろう。
サンタのおじさんは、怪訝な顔をして、
時間をかけて、たくさんあったケーキの中から
端が欠けたケーキを選び、 差し出してくれた。
後ろに並んでいる子供達と、それを見守る周りの親達が、
あの子は教会と関係ないのではないのに、
ケーキをもらおうとしている、
それでも、流石は教会のサンタのおじさん、
あの子にもケーキをあげようとしている、
と思っているのではと、恥ずかしくてたまらなかった。
ケーキなどもらわずに立ち去りたかったが、
そんなことをすれば余計目立つ。
兎も角、ケーキをもらい、直ぐに家に戻った。
後刻、食べたそのケーキは、
ぱさぱさしで美味しくなかった・・・・と感じたのは、
ことの顛末を誰にも言えず、
幼き胸にしまい込んでいたからだろうか。
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