「オトナだったら言うなよ」

「そこまで言うなよ　もうオトナなんだからさ」

そう思うことが世のなかには結構ある

「排除しないということはありませんね　排除します」と言放った小池百合子もそうだし
「選挙に行かなかった」とツイートする半端芸人もそうだ

そんなこといちいち言うなよ
と思うのだ
聴かれてもいないのにいうヤツもいうヤツだが
聴かれたからといって言っちゃうヤツもいうヤツだ

みうらじゅんが某番組で
「そんなこと言わなくてもいいから」というハナシをしていた

安齋肇というイラストレーターと仲のいいみうらは
安齋の言動にそれでも結構イライラしている

安齋はみうらに言わせると「コドモ」である

「いいよ　そういうのいわなくて」と思うことを口にする

「生あわび」がテーブルに出てくると
安齋は生あわびをじっくり見つめ
「これヤバくね？」と大きな声でいうのだという
「だって　まんこそっくりじゃん　ね？みうらさん」というのだという

みうらは「安齋さん　そういうのいいから」と止めるのだが
安齋はそのテンションを変えない
「ヤバいよねえ　みうらさん」

みうらはいう
「オトナなんだから　そういうこといわなくていいんだよ」

腹に据えかねるようなことだったらともかく
生あわびが女性器に似ているなんてことは
オトナは人前で口にしなくてもいいのだ

「いっちゃいかん」ということでもないのだ

「いうことないじゃん」というニュアンスだ

それを密かに胸に収めつつ
オトナは暮らしていくのだ