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2017年10月23日23:27

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超能力とメタと賢人「斉木楠雄のψ難」を観た!

「銀魂」が思いのほかヒットした福田雄一監督と、最近の実写化は大体この人、ジャニーズの山崎賢人を主演に据え、ジャンプのギャグ漫画を実写化。いち原作ファンとして観てきましたよ「斉木楠雄のψ難」。 ※軽くネタバレあり

●斉木楠雄のψ難(さいきくすおのさいなん)

【あらすじ】

 生まれつきありとあらゆる強大な超能力を持った高校生・斉木楠雄。彼はその能力を抑える事で平穏な日々を送る事に勤めていた。ある日学校の文化祭を迎えるが、クラスメイトは個性あふれるトラブルメイカーばかり。あらゆるアクシデントを予見しつつ、楠雄はなんとか目立たないように過ごそうとするが……。


【比較的ハードルの低い実写化】

 近年ますます風当たりの強い実写化作品だが、本作に限っては原作は現代を舞台としたギャグ漫画。キャラクターの奇異なビジュアルこそあれど、元々コスプレありきのような作風でもあるため(作中でメタネタすらある)見た目の抵抗はそこまでなく、また監督も「変態仮面」や「勇者ヨシヒコ」でおなじみ福田雄一監督と完全にギャグ畑の人間。テーマも作り手も一致した作品だけに、見る側としても「そこまで外れた作品にはならないだろう」という安心感があり、実際観ていて原作を丁寧に実写化したなあという印象。

 原作ファンならマンガの1コマ1コマを思い浮かべるような展開にニヤリとし、原作未見でもマンガのシュールで淡々とした笑いが上手く散りばめられていて、両者無難に楽しめる内容ではあったと思う。


【安心と信頼の山崎賢人】

 実写化でことあるごとに引っ張られ、最近だとジョジョに出たがために無条件で叩かれまくった山崎賢人だが、本作では冷静沈着にして脳内ツッコミの冴えわたる斉木を熱演。「ここさけ」「ジョジョ」「斉木楠雄」と奇しくもバラバラな高校生役が続いているが、どれもきっちり演じ分けているのはさすがといったところか。

 また脇役もしっかり固めていて、クラスのマドンナ照橋さん役がまさかの橋本環奈、多分「銀魂」の縁で引っ張ってきた強力なキャスティングで本編を盛り上げてくれる。分かってはいたけど、あざとい美少女をリアル美少女がやるのは見てて面白いよ!

 燃堂(天然バカ)や海藤(中二病)といったクラスメイトも健在だが、映画の尺に収まりきらなかったのか、個性だけでシンプルにまとめられていた印象。原作を読んでいると二面性や意外な一面を楽しめるのだが、本作ではあくまで「言動がおかしいクラスメイト」どまりなのが少々物足りない。メインが斉木と照橋さんに当てられているぶん仕方ないが。

 ただ、斉木の両親(バカップル)は大御所俳優が演じている事もあってか、少しの出番ながらきっちり存在感を示していて良かった。


【超能力とツッコミの細々とした笑い】

 ギャグは超能力を使った視覚的に派手なものや、会話のやりとりに生ずる細かいツッコミがメイン。パターンとしては日常風景を斉木のフィルターを通してみて、「自分なら力が強すぎてこうなっちゃう」とか「相手の心を読んでツッコミ入れる」といった感じ。原作がテキスト多めの構成がきっちりしたギャグ漫画なので、実写だとやっぱり台詞が削られがちなのが気になったところ。

 とはいえ、メタネタを存分に盛り込んだツッコミや視覚的にシュールなギャグは切れ味がよく、場内でも小笑いがたびたび起こっていた。

 ただあえて言うなら、一般層を意識してかマニアックなネタやパロディが緩和されていた気がするので、個人的にはもっとディープなネタを見たかったところ。ちょっとネタバレすると、劇中で一番面白かったのが「斉木が歩いてる後ろの教室で、暗殺教室っぽい事してる」だったので、観客の混乱(本編に関わるかどうか分からない怪情報)を覚悟で、ああいうしょうもない小ネタをもっとやってほしかった。


【総じて見て見ると】

 文化祭を基軸とした原作のネタの繋ぎ合わせと、事件の連鎖による終盤に向けての盛り上がり(用意周到な照橋さんはちょい違和感あったが)、ワンポイントで使われるキャラクターなど作りは的確ではあるのだが、個人的には個々のパンチに欠けていて、ラストもオチを付けるためとはいえ「えっ、これで終わり?」と拍子抜けしてしまった。

 あとヨシヒコ繋がりのムロツヨシ(マジシャン、原作では連載前からいるゲストキャラ)はまだいいとして、完全にねじ込んだ佐藤二郎(校長役、原作ではモブ)が明らかに浮いているのが気になった。福田監督作品としてのファンサービスなのかもしれないが、ちょっと出てきて妙な空気になって何事もなく次のシーンに移る。そんな時間があるなら原作ネタの一つでも入れてくれればいいのに。

 ただ、ギャグ作品にありがちな「本編にちょっと良いシーンを入れて何となく感動でお茶を濁す」といった逃げがなく、最後まで純粋なギャグに徹していたのは良かった。


【まとめ】

 早く劇場版ヨシヒコつくってよ。
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