2017/10/14土 12:30- 国立劇場
四世鶴屋南北=作
奈河彰輔=監修
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ) 四幕九場
― 亀山の仇討 ―
序 幕 第一場 甲州石和宿棒鼻の場
第二場 同 石和河原仇討の場
第三場 播州明石網町機屋の場
二幕目 第一場 駿州弥勒町丹波屋の場
第二場 同 安倍川返り討の場
第三場 同 中島村入口の場
第四場 同 焼場の場
三幕目 播州明石機屋の場
大 詰 勢州亀山祭敵討の場
◆配役
藤田水右衛門/古手屋八郎兵衛 実は 隠亡の八郎兵衛:片岡 仁左衛門
大岸頼母:中村 歌 六
石井兵介/石井下部袖介:中村 又 五 郎
石井源之丞:中村 錦 之 助
源之丞女房お松:片岡 孝 太 郎
若党 轟金六:中村 歌 昇
大岸主税:中村 橋 之 助
石井家乳母おなみ:中村 梅 花
藤田卜庵/縮商人才兵衛:片岡 松 之 助
丹波屋おりき/上村 吉 弥
掛塚官兵衛/仏作介:坂東 彌 十 郎
芸者おつま:中村 雀右衛門
石井後室貞林尼:片岡 秀 太 郎
歌舞伎は全くの初心者レベルですが、にざさま目当てで国立劇場に行ってきました。楽しかったー!
私の常として予習ゼロでした。1人2役がいくつもあって分かりにくいところもありましたが、この作品ってストーリーで感動させるものじゃないのでチラシのあらすじを読んでいれば全然OK。仇討ちものということでしたが、カタキ役が主役でしかも最初の感情に任せた殺人をきっかけにその関係者をズバズバ躊躇なく殺していくし、女同士の切り合いがあるわ、妊婦の腹を刺して殺すわ、孫の病気を治すために祖母が自分を刺して肝の血を飲ませるわ・・・と何とも血なまぐさい壮絶なお話でした。
が、それが全く生臭くない。むしろ悪の美学さえ感じさせ、殺しのシーンさえエンターテイメント。ストレートプレイじゃこうならない。歌舞伎の持つ形式美のなせるワザですね。そして、にざさまの洒脱さ!
にざさま、御年73才ですよね(wikiで調べた)。私にとっちゃ親の年代なんですけど、ななななんですか、この色っぽさは!何て粋なの!彼の色っぽさは、イタリア男のむんむんフェロモンと違って、清潔感があるけど色気がにじみ出る感じ。そしてどこかに軽さもある。暗さもある。
もちろんルックスも超二枚目だし所作も本当に美しいのですが、それだけじゃなく、悪い役とか狂気の役をやったときのあの、精神的に危うい感じ。あれを出せる演技力が好きでたまりません。
と、”悪いにざさま”にメロメロになった公演でしたが、演出もいろいろ面白かったな。雨が降るし、井戸に落ちるし、燃え盛る棺桶をぶち破って悪役が登場するし^^ 派手な演出で飽きませんでした。
にざさま演じる悪役水右衛門がみごと打ち果たされて終演ですが、最後は死んでたはずの彼もコロッと起き上がり、主要な役を演じた役者が正座して「本日はこれにて」と口上して幕。この作品がおどろおどろしくならないのは、こういう、「見世物」に徹する姿勢が貫かれているからだと思います。
あー歌舞伎って面白いな。
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